2019-06-15 (土) に Sonos と PHILE WEB による「Sonos Amp」のスペシャル・イベントがあったので参加した。
- 日時: 2019-06-15 (土) 13:00-14:30
- 会場: EDGEof 8F (東京都渋谷区)
- 参加費: 無料 (抽選)
イベントの内容
イベントは 4 部構成。
- Sonos Japan 瀬戸和信氏による Sonos 社の説明
- Sonos Patrick "PG" Gall 氏による Sonos Amp の技術的な説明
- オーディオ評論家 土方久明氏による Sonos Amp 及び Sonos App の説明
- 質疑応答 及び フリー視聴
瀬戸氏の説明では、Sonos 社の沿革や同社の initiative である「Listen Better」の説明があった。Sonos 社は 2002 年開始の比較的新しいオーディオ・メーカーで、2018 年 10 月に日本参入。ストリーミング音楽との親和性・音楽を身近に楽しんでもらう体験を通じてファンを増やしてきた。Sonos はソフトウェアにも力を入れていて、製品のファームウェアはアップデートを通じて常に最新に近い状態を保つようになっている。アプリを使ってスピーカーを操作することが可能で、複数のスピーカーをグループでまとめて音楽を再したり、複数のグループに対して別々の曲を再生するデモが行なわれた。
PG はアムステルダムで働いている Sonos の技術者。ヨーロッパ及びアジア・パシフィックの Install Solution の担当。Sonos Amp の技術開発者でもある。Sonos Amp の特長を 3 つに絞って説明してくれた。各項目は次の通り:
- 各チャンネル 125W のハイパワー
- TV との連携
- Look & Feel
TV との連携については、HDMI (ARC) を搭載すること、IR リモコンに対応していることを上げていた。見た目に関しては、Sonos Amp の上にある円形の、ちょっと CD とか LD の再生器にも見える部分がスタイリッシュな排熱スリットになっていることが言及された。
オーディオ評論家の土方氏は、今回のイベントに先がけて 4 か月間 Sonos Amp を試用した体験を交えて、Sonos Amp と Sonos App の説明をしてくれた。3 曲の試聴と Sonos App の初心者向けの説明が多かった。ぼくは Sonos のスピーカーを一台も持っていないので、Sonos のアプリで何ができるのか具体的に知らなくって、意外とこのアプリの説明は助かった。特に複数のストリーミング・サービスをアプリに登録して、楽曲の串刺し検索ができる、というのは凄いと思った。惜しむらくは土方氏の持ち時間が 20 分だったこと。インターナショナル・オーディオ・ショーなんかでも大体そうなんだけど、オーディオ評論家は 1 時間から 1.5 時間を 1 枠に話を構成する。20 分では全く話し切れないし、試聴に時間を割くことができない。そんな残念さが滲み出ていた。会場の時間制限があったのかもしれないけれど、次回やるなら、もう少し大きい時間枠が取れると良いなと思った。
質疑応答では、4〜5 人が質問を出した。NAS からデジタル音源再生しているらしき人の質問がかなり突っこんでいて面白かった。答えとしては、Sonos は DLNA に対応しているので、NAS からの音楽再生も大丈夫ですよ、という所で落ちついていた。
ぼくは Apple TV や Chromecast と Sonos Amp をどう繋ぐのか? という質問をした。というのも、Sonos Amp の HDMI 端子は出力用 (ARC 対応) が 1 つしかないので、そこに Apple TV をつなげば TV につなぐ HDMI の口が無くなってしまうから。答えは、TV に Apple TV や Chromecast をつないで、TV と Sonos Amp をつなぐ。つまり、AV アンプのようにアンプ側にセレクター機能は持たせず、それは TV に任せてしまう、という割り切りだった。TV 側で音楽の入力が切り変わったら、Sonos Amp はちゃんと気がついてくれるので問題ないとのこと。
その場合、リップシンプ問題はどうなるのか? フリー視聴の時間に、個人的に質問をしてみた。すると、Sonos Amp 側で自動的にリップシンクは解決するようになっているし、もし不満があるならマニュアルでリップシンクの設定を行なう画面もあると説明された。リップシンクは、映像を遅らせるのが普通なので、先に TV が映像を受け取って表示しているなら、その映像をアンプ側が遅らせるのは無理じゃないかとモヤモヤしたんだけど、家に帰って調べてみたら ARC の規格の中にリップシンクの対応が入っているのね。必須ではないみたいだけど、ARC のリップシンク機能に対応した TV とつなげば、アンプ側から TV の映像を遅らせるようにリクエストが送れるのかな。
Sonos Amp
Sonos Amp は Sonos のスピーカーが出来ることはほとんど (?) できて、更に自分が持っているパッシブ・スピーカーを鳴らし、TV からの音も HDMI で受け取れるようになった製品。価格は 70,800 円。現在、予約受付中。
入力はネットワークの他に、RCA のアナログ入力が 1 つ、HDMI 入力が 1 つ。出力はシングル・ワイヤ用の端子が 1 セット、サブウーファー用の RCA 出力端子が 1 つ。TV の光デジタル出力を受け取れるとの説明もあったが、専用の端子はない。どうやら光デジタル出力を HDMI 出力に変換するアダプターがあるらしい (説明あったかな? 聞きもらしたかな?)。アンプに付属なのか別売なのかは良く分からない。
スピーカー出力では面白い機能が 2 つ。1 つ目はスピーカーをデュアル・モノに出来ること。スピーカーを LR にするのではなく、両方ともモノラルにする。パーティーとかで広い場所に音を届ける場合は、LR よりモノラルの方が良いかもしれない。2 つ目は Sonos のスピーカーと組み合わせて 4.1ch 構成にまでアップグレードできること。つまり、フロント 2ch はケーブルで Sonos Amp につなぎ、リア 2ch は Sonos スピーカーから音を出す、ということができる。
試聴
イベントでは 4 つの曲をかけた。音源は Apple Music かな? アンプは Sonos Amp で、スピーカーには ELAC FS407。
ELAC はドイツのスピーカー・ブランド。FS407 はトールボーイ・タイプで、定価は 520,000 円 (税別)。ELAC のスピーカーは 100 万円未満では頭一つ抜けた低音を鳴らす。とても締まった低音で、アタックのある音の表現が秀逸。
アンプの特長と合わせてスピーカーを選んだのかは分からないけど、かかった曲も低音のキレが良い曲が多かった。
エンジニアの PG がかけたのは 1 曲だけ、Channel Tres の Jet Black。スピーカーがアンプによってよく駆動しているのが分かる。7 万円台のアンプとは思えない。さすがに 20 万円代のピュア・オーディオ向けアンプと比べると表現力には差があると思うけど、5〜10 万円台の AV アンプではこれほどちゃんとスピーカーを鳴らせないんじゃないかと思う。ELAC の特長でもある締りのある低音をちゃんと出すことができていた。
オーディオ評論家の土方氏は 3 曲かけた。
1 曲目はホセ・ジェイムズ の Just the Two of Us。冒頭のアタック音が膨らむことがなくて良い。この曲の男性ボーカルを Sonos Amp と ELAC で聴くと甘く感じた。そんなに甘いイメージは持っていなかったんだけど。
2 曲目はベーシストのマーカス・ミラーの楽曲から一曲。曲名をメモり損ねたので、曲名不明。書き残したメモを見ると、「低音推し。あと一押しほしい。ピッキングの感じは良い」と書いてあった。
3 曲目はグラミーで新人賞をとった Dua Lipa の楽曲。映画「アリータ バトル・エンジェル」のエンディング曲にもなった「Swan Song」。サ行の音が強調されるように聞こえたのだけど、それは会場がデッドだったせいな気がする。音離れの良さを実感する。メモを見ると、「ピアノに深みが欲しい」と書いている。家で Apple Music から Swan Song を聴いているんだけど、ピアノの音が入っていない。ぼくはイベントで何の音を聴いたんだろう? もしかしたら、ピアノの音の入ったアコースティック・エディットとかあるのかな?
あとがき
Sonos Amp の実力は 7 万円という値段から予想していた音の上を行った。ただ、楽曲は基本 Pops 系ばかりで、オーケストラの弦やピアノをどれくらい生々しく鳴らしてくれるかは、ちょっと分からなかった。ELAC ではなく Sonas faber あたりを Sonos Amp と組み合わせたら、どんなクラシック音楽がかかるのか興味ある。
Sonos が提供する新しい音楽体験は、スマートスピーカーが一気に普及した今日では、それほど目新しいものには感じなくなってしまった。Apple も AirPlay 2 を出して、マルチルーム再生も Sonos の専売特許と言えなくなっている。
ただ、Sonos アプリの複数ストリーミング・サービス串刺し検索には大きく心ひかれる。Apple HomePod や Google Home Max が日本上陸していない今、スマートスピーカー系で音質のトップレベルを提供しているのは Sonos と言っても良いかもしれない。(KEF LSX とか Dynauio Xeo とか LINN Exakt とかピュア・オーディオ界の本気のワイヤレスは除外するとして)。
というわけで、Sonos One を一台注文してしまった。午前中に届いてしまったので、このブログの記事をアップしたら、セッティングする予定。