2020-11-11

Apple イベントで M1 チップと新 Mac シリーズが発表された

2020-11-11 (水) 03:00、Apple はイベントを開いて Apple Silicon として紹介されていたチップ M1 の発表と、M1 チップを搭載した MacBook Air, Mac Mini, MacBook Pro 13 インチの発表を行なった。

6 月の WWDC 2020、9 月の Apple イベントと同じく、今回のイベントも聴衆なしのビデオ配信の形で行なわれた。

新 MacBook Air は Intel 版 MacBook Air を置き換える。価格は 104,800 円 (税別) から。Mac Mini は Intel 版 Mac Mini と併売される。価格は 72,800 円 (税別) から。MacBook Pro は 13 インチモデルのみ発表された。MacBook Pro にはポートが 2 つある比較的安いモデルとポートが 4 つあるハイエンドモデルが用意されているけれど、M1 チップ搭載の MacBook Pro 13 インチモデルは、ポートが 2 つのモデルを置き換える。価格は134,800 円 (税別) から。

各プロダクトについて簡単にまとめてみる

M1 チップ

WWDC 2020 で発表された Apple の自社製チップの具体的な姿が発表された。名前は M1 チップ。iPhone に搭載される A14 Bionic チップ等と同様に、CPU, GPU, Neural Engine などが統合された SoC (Syntem on a Chip)。主な構成は次の通り:

  • 8 コア CPU
    • 4 高性能コア
    • 4 高効率コア
  • 8 コア GPU
  • 16 コア Neural Engine

CPU はパフォーマンスに特化した 4 つの高性能コアと省電力に特化した 4 つの高効率コア、計 8 コアから成る。CPU の動作クロックは発表されなかった。なので、MacBook Air と MacBook Pro の M1 チップが同じ動作クロックなのかどうかは不明。

ちなみに A14 Bionic は 2 つの高性能コアと 4 つの高効率コアの計 6 コア CPU、4 コア GPU、16 コア Neural Engine から成る。

なお、メモリーも M1 チップに最適化されたユニファイド・メモリーに移行する。

新 MacBook Air

M1 チップを搭載する MacBook Air が発表された。MacBook Air のみ M1 チップの GPU コアが 7 コアモデルと 8 コアモデルの 2 種類が存在する。7 コア GPU モデルは 104,800 円 (税別) から、8 コア GPU モデルは 129,800 円 (税別) から。

2020 年の Intel モデルと比べると、M1 チップの恩恵で CPU で 3.5 倍、GPU で 5 倍、ML パフォーマンスで 9 倍高速化され、バッテリーのもちも 12 時間から 18 時間に伸びたという。また、M1 チップ搭載の MacBook Air はファンレスになり、静音性が上がっている。メモリーの搭載上限は旧モデルと変わらず 16 GB。サイズ、重量ともに変わりはない。

それ以外に変わった点としては、ディスプレイがフル sRGB から P3 対応になったこと、Wi-Fi が 802.11ac から Wi-Fi 6 対応になったこと、ポートが Thunderbolt 3 (USB-C) から Thunderbolt / USB 4 に変更された点などが挙げられる。

新 Mac Mini

M1 チップを搭載する Mac Mini が発表された。

2018 年の Intel モデルと比べると、M1 チップの恩恵で CPU で 3 倍、GPU で 6 倍、ML パフォーマンスで 15 倍高速化されたという。メモリー搭載上限は、Intel モデルが最大 64 GB だったのに比べると、M1 チップモデルは最大 16 GB となっている。サイズに変わりはなく、重量が 1.3 kg (Intel) から 1.2 kg (M1) に減っている。

それ以外に変わった点としては、Wi-Fi が 802.11ac から Wi-Fi 6 対応になったこと、4 つあった Thunderbolt 3 (USB-C) ポートが数が減って 2 つになり Thunderbolt / USB 4 に変更された点などが挙げられる。また、Mac Mini に繋げられる外部ディスプレイについても、Intel モデルが「最大 3 台の 4K ディスプレイ」または「1 台の 5K ディスプレイと 1 台の 4K ディスプレイ」だったのに対し、M1 チップモデルは「最大 6K のディスプレイ 1 台と最大 4K のディスプレイ 1 台」に変わっている。

新 MacBook Pro 13 インチ

M1 チップを搭載する MacBook Pro 13 インチモデル (2 ポート) が発表された。

2020 年の Intel モデル (2 ポート) と比べると、M1 チップの恩恵で CPU で 2.8 倍、GPU で 5 倍、ML パフォーマンスで 11 倍高速化され、バッテリーのもちも 10 時間から 20 時間に伸びたという。なお、MacBook Pro は MacBook Air と違いファンを搭載する。メモリー搭載上限は、Intel モデル (2 ポート) と変わらず 16 GB。サイズ、重量ともに変わりはない。

それ以外に変わった点としては、Wi-Fi が 802.11ac から Wi-Fi 6 対応になったこと、ポートが Thunderbolt 3 (USB-C) から Thunderbolt / USB 4 に変更されたこと、マイクがスタジオ品質にアップグレードされた点などが挙げられる。

あとがき

今回の Mac のアップデートでは、MacBook Air, Mac Mini, MacBook Pro 13 インチ (2 ポート) にスポットが当てられた。Apple は 2 年かけて Apple Silicon へ移行すると発表しているので、近いうちに MacBook Pro 16 インチ、iMac, iMac Pro, Mac Pro の Apple Silicon 版の発表があることと思う。

2020-10-14

Apple イベントで HomePod mini と iPhone 12 の新作が発表された

2020-10-14 (水) 02:00、Apple はイベントを開いて HomePod mini と iPhone 12 の発表を行なった。

6 月の WWDC 2020、9 月の Apple イベントと同じく、今回のイベントも聴衆なしのビデオ配信の形で行なわれた。

今回のイベントで発表された主な新製品は次の通り:

  • HomePod mini (HomePod の廉価版)
  • iPhone 12 (iPhone 11 の後継機)
  • iPhone 12 Mini (小さな iPhone 12)
  • iPhone 12 Pro (iPhone 11 Pro の後継機)
  • iPhone 12 Pro Max (iPhone 11 Pro Max の後継機)

噂に上っていた HomePod 第 2 世代、Apple TV 第 5 世代、、Apple のオーバーイヤー・ヘッドホン、Apple Silicon 製の MacBook の発表はなかった。

今回発表された新製品を簡単にまとめてみる:

HomePod mini

HomePod のサイズダウン廉価版となる HomePod mini が登場した。色は HomePod と同じホワイトとスペースグレイの 2 色展開。形は HomePod の円筒形に対して球形を取る。もちろん 360 度スピーカー。大きさは HomePod が高さ 172 mm に対して 84.3 mm、半分弱の大きさになった。重さにいたっては HomePod の 2.5 kg に対してたったの 345g。価格は 10,800 円 (税別)。2020-11-06 (金) 予約開始、2020-11-16 (月) 発売予定。

HomePod との違い

前述のように HomePod mini は HomePod と比べて小さく・軽くなった。それ以外に変わった点を見てみる。

HomePod mini のチップは S5 チップ。これは Apple Watch Series 5 と同じもの。HomePod のチップは iPhone 6 などで採用された A8 チップだった。パフォーマンス的にはチップ・シリーズが別なのでどっちが上か良く分からない。。。

HomePod mini のスピーカーユニットはフルレンジドライバとデュアルパッシブラジエーターを採用する。対して HomePod は高偏位ウーファーと 7 つのツイーターアレイだった。スピーカーユニットでツイーターは高音を鳴らすもの、ウーファーは低音を鳴らすものを指す。HomePod は高音と低音を別々のスピーカー・ユニットで鳴らす設計をしていた。1 つのスピーカーユニットで高音から低音まで全て鳴らすのは無理があるので、このようにスピーカー・ユニットを分離することで高音質を実現させていた。HomePod mini はフルレンジドライバを採用する。これは 1 つのスピーカーユニットで高音から低音まで全部の音を出す。HomePod に比べて多少無理をして音を鳴らすことになる。その分、HomePod より音質が劣ることになる。パッシブラジエーターはザックリ言えば低音を鳴らすための補助ユニットで、ウーファーほど強力じゃない。

HomePod では自分で出した音をマイクで拾い音質を改善する「空間認識機能」があった。HomePod mini ではその空間認識機能も省かれている。

ちなみにマイクは HomePod の 6 つに対して 4 つに減っている。

HomePod mini では主にスピーカーユニットの簡素化と空間認識機能の削除で、本家 HomePod との音響的な差別化を図っているのだと思う。逆を言えば、それ以外の機能は HomePod を踏襲している。2 台の HomePod mini を用意すればステレオ・スピーカーとして動作するし、AirPlay 2 を使ってマルチルームで音楽再生もできる。Siri で音楽をかけられるし、ホームを操作したりもできる。

最後に HomePod mini だけのデバイスとして U1 チップが搭載される。iPhone を HomePod に近づけると iPhone でかかっている曲を HomePod に引き継ぐ Handoff 機能があるけれども、この時の iPhone と HomePod が近くにあることを検知する精度が上がる。。。らしい。

サードパーティーの音楽アプリ

ここからは HomePod mini のセッションで紹介された HomePod, HomePod mini 両方で使える新機能について書く。

まずは音楽アプリについて。現在 HomePod で聴くことのできる音楽系サービスは次の通り:

  • Apple Music
  • Podcast
  • iHeartRadio
  • radio.com
  • TuneIn

イベントでは数か月以内に次のサービスが HomePod に対応することが発表された:

  • Pandora
  • Amazon Music

Pandora は日本でサービス開始していないので、Amazon Music だけが対象となる。イベントでは Spotify についての言及はなかった。

インターコム

HomePod はインターコム機能を提供する。これは Amazon Echo のアナウンス機能、(Google) Nest Home のブロードキャスト機能と同じ。家の中にある HomePod に対して、自分の声を届けることができる。

インターコム機能は Apple の各種デバイス (iPhone, iPad, Apple Watch, AirPods, CarPlay) と連携されるらしく、インターコムの通知が iPhone に届いたり AirPods からインターコムに対して返事をすぐに返したりできる。

iPhone 12 と iPhone 12 Mini

iPhone 11 の後継機 iPhone 12 とその小型版 iPhone 12 Mini が発表された。

iPhone 12 の色はブルー、グリーン、プロダクト・レッド、ホワイト、ブラックの 5 色展開。ディスプレイ・サイズは iPhone 11 と変わらず 6.1 インチ。容量は 64 GB, 128 GB, 256 GB が用意されている。価格は 85,800 円 (税別) から。2020-10-16 (金) 午後 9 時予約開始、2020-10-23 (金) 発売予定。

iPhone 12 Mini は色・容量のラインナップともに iPhone 12 と変わらず。ディスプレイ・サイズは iPhone 11 の 6.1 インチより小さく iPhone SE (第 2 世代) の 4.7 インチより大きい 5.4 インチ。価格は 74,800 円 (税別) から。2020-11-06 (金) 午後 10 時予約開始、2020-11-13 (金) 発売予定。

以下、iPhone 12 の説明を書く。iPhone 12 Mini はサイズが小さい以外 iPhone 12 と同じ。違うところがあればその旨書いていく。

5G 対応

iPhone が 5G に対応する。5G は 4G LTE より高速な通信。

5G には、高速な「ミリ波」と少し遅い「Sub6」という 2 種の周波数帯があって、iPhone 自体は両方に対応する。けれども、日本の通信事業社はほとんどミリ波対応していないので、iPhone 12 を買っても (日本では) 5G Sub6 の恩恵にしか与れない。

Super Retina XRD ディスプレイ

iPhone 12 のディスプレイは、iPhone 11 の Liquid Retina HD ディスプレイから iPhone 11 Pro で採用された Super Retina XRD ディスプレイへ変更される。Liquid Retina HD ディスプレイはいわゆる液晶ディスプレイで、Super Retina XRD ディスプレイは OLED ディスプレイ。

セラミック・シールド

ディスプレイの前面ガラスにセラミック・シールドと呼ばれる技術が導入された。Apple は耐落下性能が従来の 4 倍になるとしている。

A14 Bionic

iPhone 12 は A14 Bionic チップを採用する。A14 Bionic は第 4 世代 iPad Air (10 月発売とアナウンスがあったけど、まだ予約受付を開始していない) にも採用された Apple の最新チップ。5 nm プロセスを採用して、より多くのトランジスターが積めるようになっている。A13 Bionic チップと比べて大きな仕様変更はなく順調にパフォーマンスが向上したもの。

カメラ

iPhone 12 のバックカメラは iPhone 11 と同じ広角カメラと超広角カメラのデュアルカメラ。

タイムラプスがナイトモードにも対応したほか、Dolby Vision 対応の HDR ビデオ撮影ができるようになった。

フロントカメラはナイトモード及び Deep Fusion に対応し、Doly Vision 対応の HDR ビデオ撮影ができるようになった。

MagSafe

MacBook で使われていた MagSafe の iPhone 版が登場した。

Qi を使ったワイヤレス充電の問題点は充電用コイルの上に適切にデバイスを置かないと充電がされないこと。iPhone のような端末だと、ちゃんと Qi 充電器の上に置いていても通知のバイブで iPhone 自身が動いてしまい充電に失敗する、ということが良くあった。

MagSafe は iPhone と MagSafe 用充電器を磁石でくっつけてしまい、Qi 充電によくある充電の失敗をなくしてしまう。

MagSafe 充電器は 4,500 円 (税別) で 2020-10-16 (金) から注文受付開始。何ワットで充電されるのかは、よく分かんない。

MagSafe アクセサリーとして充電器の他にケースとカード入れも発売される。ケースはシリコンケースとクリアケースの 2 種。MagSafe の磁力を利用して、簡単に取り付け・取り外しができるとのこと。カード入れはレザー製でケース同様磁力で iPhone にくっつく。MagSafe ケースの上にカード入れを付けることも可能。クレジットカードを入れても大丈夫なようにシールド機能も付いている。ケースやカード入れを付けたまま Qi 充電もできるし、MagSafe 充電器を使って「外れない」充電もできる。

耐水性能

IEC 規格 60529 に基づく IP68 等級こそ iPhone 11 とは変わらないものの、「最大水深 2 メートルで最大 30 分」の耐水性能が「最大水深 6 メートルで最大 30 分」に向上した。

電源アダプターとイヤホン

iPhone 12 からは電源アダプターとイヤホンが付かない。USB-C・ライトニングケーブルが付くので、それを使って充電する。

iPhone 12 Pro と iPhone 12 Pro Max

iPhone 11 Pro の後継機 iPhone 12 Pro と、iPhone 11 Pro Max の後継機 iPhone 12 Pro Max が発表された。

iPhone 12 Pro の色はパシフィックブルー、ゴールド、グラファイト、シルバーの 4 色展開。ディスプレイ・サイズは iPhone 11 Pro の 5.8 インチから大きくなって 6.1 インチへ。容量も 64 GB モデルがなくなり 128 GB、256 GB、512 GB の 3 モデルが用意された。価格は 106,800 円 (税別) から。2020-11-06 (金) 午後 10 時予約開始、2020-11-13 (金) 発売予定。

iPhone 12 Pro Max は色・容量のラインナップともに iPhone 12 Pro と変わらず。ディスプレイ・サイズは iPhone 11 Pro Max の 6.5 インチから大きくなって 6.7 インチへ。価格は 117,800 円 (税別) から。2020-11-06 (金) 午後 10 時予約開始、2020-11-13 (金) 発売予定。

以下、iPhone 12 Pro の説明を書く。iPhone 12 Pro Max はサイズが大きい以外 iPhone 12 Pro と同じ。違う点があればその旨書いていく。

iPhone 12 と同じスペック向上

5G 対応、ディスプレイのセラミック・シールド、A14 Bionic チップの採用、各種カメラ機能の向上、MagSafe 対応、耐水性能の向上、電源アダプターとイヤホンの廃止は iPhone 12 と同じなので、上の記述を参照のこと。

LiDAR スキャナー

iPhone 12 Pro に LiDAR スキャナーが搭載される。LiDAR スキャナーは iPad Pro 12.9 (第 4 世代) で初めて搭載されたセンサーで、赤外線を使って対象までの距離を測る。AR アプリが高速かつ正確に動作することが期待される。

また、ナイトモードのポートレート撮影を可能にしたり、暗い場所でのオートフォーカス時間を短くする (6 倍速くなった!) という。

Apple ProRAW

RAW 形式で写真を保存・編集できるようになる。

2.5 倍光学ズーム

iPhone 12 Pro Max のみ光学ズームが 2 倍から 2.5 倍になる。これにより、デジタル・ズームも 10 倍から 12 倍へと向上する。

センサーシフト光学式手ぶれ補正

iPhone 12 Pro Max はカメラの手ぶれ補正を従来の光学手ぶれ式補正からセンサーシフト光学式手ぶれ補正に変更した。また iPhone 12 Pro はデュアル光学式手ぶれ補正に変更した。

カメラ詳しい人、センサーシフト光学式手ぶれ補正の説明プリーズ!

まあ、今までの手ぶれ補正より良くなったんだと思う。。。

あとがき

HomePod mini はそこそこ順当なダウンサイズに落ちついたんじゃないかな? 個人的には値段が少し高くなっても空間認識機能は残しておいて欲しかったところ。HomePod mini が発売される 2020-11-16 (月) 前後に iOS の新しいバージョン (14.2 かな?) がリリースされて HomePod OS もバージョン・アップするんじゃないかと思う。きっとステレオで買う (お値段も安かったので)。

iPhone 12 は 5G 対応がメインかな。今の日本だとそれほどメリットを感じない。5G の普及率もそうだけど、ほとんど在宅だし... そういう意味では MagSafe は仕組みとして面白いと思った。あと、iPhone 11 Pro Max を買って、OLED ディスプレイの美しさに驚いたので iPhone 12 を OLED ディスプレイ目的で買うのはアリかもしれない。

2020-09-16

Apple イベントで Apple Watch と iPad の新作が発表された

2020-09-16 (水) 02:00、Apple はイベントを開いて Apple Watch と iPad を中心にした新製品・新サービスの発表を行なった。

6 月の WWDC 2020 と同じく、今回のイベントも聴衆なしのビデオ配信の形で行なわれた。例年なら 9 月のイベントで新 iPhone のお披露目されるところだけど、今年は新 iPhone 発表はなかった。おそらく 10 月以降に改めて発表イベントを開くのんじゃないかと思う。

今回のイベントで発表された新製品・新サービスは次の通り:

  • Apple Watch seriese 6 (最新の Apple Watch)
  • Apple Watch SE (Apple Watch の廉価版)
  • Apple Fintness+ (オンライン・フィットネス・サービス。日本未対応)
  • Apple One (Apple のサブスクリプション・サービスのパック提供)
  • iPad (第 8 世代 iPad。マイナー・バージョンアップ)
  • iPad Air (メジャー・バージョンアップ)

また、WWDC で発表された各 OS のメジャー・バージョンアップが明日 (2020-09-17 木) にリリースされることも合わせて言及された。

新製品、新サービスについて簡単にまとめてみた:

Apple Watch series 6 & SE

2020 年度の Apple Watch は series 3 が引き続き発売を継続し、廉価版 Apple Watch である SE が series 5 を置き換え、新しく series 6 が登場する。まず最初に series 3 と SE の違いを簡単に紹介して、次に series 6 の新しい点を書いてゆく。

Apple Watch series 3

series 3 は 2017 年に発売された。画面サイズは 42mm / 38mm。

発売当時は GPS と GPS + Cellular の 2 モデル。ケースにアルミニウス、ステンレス、セラミックを選択可能だったものの、2020 年度は GPS モデルのアルミニウムケースのみが発売される。Nike モデルと Hermes モデルは発売されない。価格は 19,800 円 (税別) から。

Apple Watch SE

Apple Watch SE は Apple Watch の廉価版。series 5 から常時表示可能なディスプレイ機能を削って、series 6 と同じ新機能を一部搭載する。画面サイズは 44mm / 40mm。GPS と GPS + Cellular の 2 モデルが発売される。ケースはアルミニウスのみ。Nike モデルも発売されるけど、Hermes モデルは存在しない。価格は 29,800 円 (税別) から。今日から予約開始で、2020-09-18 (金) 発売開始。

series 3 との違いは、画面サイズが大きくなったこと。コンパスが追加されたこと。転倒検出、騒音モニタリングに対応したこと。地味にストレージサイズが seriese 3 の 8 GB から 32 GB に増えているのも嬉しい。Bluetooth は series 3 がバージョン 4.2 で SE はバージョン 5.0。

series 5 になかった SE からの新機能が 1 つある。それは高度計。SE では高度計が常時計測可能なものにアップデートされた。

Apple Watch series 6

series 6 は最新の Apple Watch。画面サイズは 44mm / 40mm。GPS と GPS + Cellular の 2 モデルが発売される。ケースはアルミニウム、ステンレス、チタニウム。Nike モデルと Hermes モデルも発売される。アルミニウムモデルには新色としてブルーと Product RED が追加された。価格は 42,800 円 (税別) から。

series 6 では SE と同様に常時計測可能な高度計が追加されたほか、血中酸素濃度センサーが新しく追加された。イベントでは言及されなかったと思うけど、U1 チップも搭載して、Wi-Fi も 5GHz 帯に対応した。。

ソロループ -- 新しいウォッチバンド

Apple Watch に新しいウォッチバンドが 2 種類追加された。ソロループとブレイデッドソロループと呼ばれるもので、どちらも繋ぎ目のないゴム製のバンドの形をしている。これらは、輪ゴムのように伸ばして拳を通し手首に巻く (のだと思う)。ソロループはシンプルなシリコーンゴムで、ブレイデッドソロループはゴムを糸状にして編んでいる。

クラスブもバックルもないので、購入時にサイズを指定する必要がある。カスタムできるサイズは 9 種類。手首の太さを自分で測って入力すると、適切なサイズが提案される。

ファミリー共有設定

Apple Watch のファミリー共有機能は、iPhone を持っていない子供や家族が iPhone なしで Apple Watch を使うための機能。

Apple Watch は iPhone とペアリングさせる必要があって、今までは自分の iPhone にペアリングさせていた。そのため、iPhone を持っていないと Apple Watch を使うことができなかった。ファミリー共有機能では、例えば子供の Apple Watch を親の iPhone にペアリングさせることが可能になる。親の iPhone では自分の Apple Watch の他に子供の Apple Watch も管理することになる。子供の Apple Watch に対しては、ペアレンタルコントロールもかけられるとのこと。電話もかけられるらしいけど、これは日本でも対応するのかな?

対応デバイスは series 4 以降の GPS + Cellular モデル。つまり、series 4, series 5, SE, series 6 の GPS + Cellular モデル。series 3 は対応外だし、SE や series 6 であっても GPS モデルでは使えない。

Apple Fitness+

Apple が新しく提供するフィットネス・サービス。提供開始は 2020 年末で、提供国はオーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、イギリス、アメリカの 6 か国。残念ながら日本は入っていない。

軽くサービスの内容に触れておくと、ヨガやサイクリング、ダンスなどのワークアウト動画を iPhone, iPad, Apple TV 上で提供するというもの。Apple Watch と連携することを前提に作られていて、画面には Apple Watch で計測した心拍数の情報やアクティビティリングが表示される。

Apple One

Apple が提供するサブスクリプションのバンドルサービス。今秋登場予定。次の 6 つのサブスクリプションに対応する:

  1. iCloud
  2. Apple Music
  3. Apple TV+
  4. Apple Arcade
  5. Apple News+
  6. Apple Fitness+

プランは次の通り:

  • 個人: 1,100 円/月 (iCloud 50GB, Music, TV+, Arcade の 4 サービス)
  • ファミリー: 1,850 円/月 (iCloud 200GB, Music, TV+, Arcade の 4 サービス)
  • プレミア: $29.95/Month (iCloud 2TB, Music, TV+, Arcade, News+, Fitness+)

ファミリープランでは最大家族 5 人までファミリー共有でサービスが使えるようになる。と言っても、Apple TV+ と Apple Arcade は個人プランでもファミリー共有にデフォルトで対応しているので、実質 Apple Music のためのファミリープランと言って良い。

iCloud ストレージが Apple One の提供分で足りない場合は、追加で購入も可能とのこと。

プレミアプランは日本で提供されない。プレミアプランが対応する News+ と Fitness+ が、そもそも日本でサービスを開始していないのだから、まあ当然か。

iPad

第 8 世代 iPad が発表された。パフォーマンスを向上させた、順調なマイナーアップデート。今日から予約開始、2020-09-18 発売。価格は 34,800 円 (税別) から。

A12 Bionic チップ搭載。10.2 インチディスプレー。ホームボタンと TouchID。Apple Pencil (第 1 世代)、Smart Keyboard 対応。Lightning コネクター。

iPad のエントリーモデルとしてどうぞ、という感じ。

iPad Air

iPad Air 第 4 世代はモデルチェンジと言えるくらい変わった。色はシルバー、スペースグレイ、ローズゴールド、グリーン、スカイブルーの 5 色展開。発売は 2020 年 10 月を予定。価格は 62,800 円 (税別) から。

iPad Air 第 3 世代から第 4 世代への変更点は次の通り:

  • 画面サイズ: 10.5 インチ → 10.9 インチ
  • チップ: A12 Bionic → A14 Bionic
  • iPad キーボード: Smart Keyboard → Magic Keyboard/Smart Keyboard Folio
  • Apple Pencil: 第 1 世代 → 第 2 世代
  • カメラ: 8MP → 12MP
  • コネクター: Lightning → USB-C
  • 横ステレオスピーカー: なし → あり
  • TouchID: ホームボタン内蔵 → トップボタン内蔵
  • Wi-Fi: 802.11a/b/g/n/ac → Wi-Fi 6

ホームボタンがなくなって、TouchID がトップボタンに移動した! iPad Pro のように FaceID 対応じゃないのに、ホームボタンがなくなって全面ディスプレイなタブレットへと進化した。

チップは A14 Bionic。iPad Pro 12.9 インチ第 4 世代が A12Z Bionic、iPhone 11 Pro Max が A13 Bionic なので最新のチップを搭載したことになる。

Lightning コネクターが USB-C コネクターに変更されたことで、各種 USB-C デバイスとの連携がしやすくなった。加えて、Lightning コネクターが必要だった Apple Pencil 第 1 世代は使えなくなり、Apple Pencil 第 2 世代が使えるようになった。iPad Keyboard も iPad Pro と同じく Magic Keyboard 対応。

iPad Pro と比べても、ディスプレイとストレージのサイズ、FaceID、Pro Motion テクノロジー、カメラ、スピーカーが劣っているくらいで、かなり強力になった。

あとがき

今年度はコロナの影響もあって、iPhone の出荷が遅れることは事前に知らされていた。それでも、9 月のイベントで iPhone の発表があるかないかは分からなかった。フタを開けてみれば、Apple Watch と iPad の発表だけで、iPhone の発表はなかったわけだけど、地味に進化した Apple Watch series 6 にリーク情報が出まくっていた Apple Watch SE、そして個人的には一番大きなニュースだった Apple Watch のファミリー共有機能と、Apple Watch 関連の発表はとても楽しめた。

iPad Air は大きく進化して、iPad Pro との差別化がしづらくなったんじゃないかと逆に心配してしまうレベル。iPad Pro も大きな変更が用意されているのかな?

総じて楽しめるイベントだった。

2020-06-23

WWDC 2020 で watchOS 7 が発表された

2020-06-23 (火) 02:00、Apple は WWDC 2020 で watchOS のメジャー・アップデートにあたる watchOS 7 の発表を行なった。

新機能は次の通り:

Face Sharing

Watch Face の共有ができるようになる。

アプリ開発者が自アプリのコンプリケーションを含めた Watch Face を提供する、という使われ方も想定されている。

マップ

iOS と同じくサイクリングの経路検索に対応する。けれど、日本ではまだ自転車の経路検索は始まらない。

フィットネス

iPhone のアクティビティ・アプリがフィットネス・アプリに名称変更する。

また、新しいワークアウトの種類としてダンスが追加される。

手洗い

手洗いを自動検知してくれる。手洗いを検知すると、カウントダウン・タイマーが始まる。水をサッとかける程度の手洗いをしていると、ちゃんと手洗いしなさいと教えてくれる... らしい。

Sleep

睡眠トラッキング機能が提供される。

就寝時間を設定してその時間が近づくと、Wind down モードと呼ばれるモードになる。就寝前のルーティンを作りやすくするためのモードで、眠りをさまたげるものを最小限にする。就寝前のルーティンのショートカットもセットできる。

寝る時間になると Apple Watch は睡眠モードになる。基本画面は真っ暗で、タップするとシンプルに時間だけを教えてくれる。

あとがき

ついに睡眠トラッキング機能が Apple Watch にやってくる。でも、時計をつけて寝る習慣がないので、使いこなせるか不安。バッテリーに関しては... どうなのかな? 使ってみないと分かんない。

WWDC 2020 で iOS 14 と iPadOS 14 が発表された

2020-06-23 (火) 02:00、Apple は WWDC 2020 で iOS / iPadOS のメジャー・アップデートにあたる iOS / iPadOS 14 の発表を行なった。今回の WWDC 2020 は新型コロナウィルスの影響もあって、オンラインのみでの開催。プレスも含めて聴衆なしで行なわれた。

iOS, iPadOS に共通の新機能を書いた後、iPadOS のみの新機能を書く。

ホームスクリーンの新機能

ホームスクリーンにアプリ・ライブラリー、ウィジェットの 2 つの新機能が加わり、更に iPadOS だけで利用可能だった Picture in Picture 機能が iOS でも提供されるようになる。

App Library (アプリ・ライブラリー) (iOS)

全てのアプリを一覧できる画面が新たに加わる。この機能を App Library (アプリ・ライブラリー) と呼ぶ。

アプリは OS によって自動的にカテゴリー分けされ、1 つの画面に納まる。アプリの数が多い場合は下にスクロールする形で全アプリを表示する。この画面の中でアプリの検索も可能。

Widgets (ウィジェット) (iOS, iPadOS)

ホームスクリーンにウィジェットを配置できるようになる。

iOS, iPadOS には今までも Today Extension という形でウィジェット機能があった。iOS なら一番左のタブを更に左にスワイプするとウィジェットの一覧を見ることができたし、iPadOS なら一番左のタブの左側にウィジェットを常時表示することもできた。けれど、これらのウィジェットをホームスクリーンのどこにでも配置することはできなかった。

iOS 14 からはこの制約が外れ、ホームスクリーンのどこにでもウィジェットを配置することができるようになる (iPadOS 14 ではウィジェットの自由配置は出来ない)。ウィジェットの大きさは、アイコンの大きさの整数倍。正方形のウィジェットや横長のウィジェットなどが用意されている。

ウィジェットは 1 か所に複数個設置することもできて、これを切り替えて表示することも可能。Apple Watch の Siri Face のように関連性の高いウィジェットを自動で選んで表示するスマートスタック・ウィジェットも用意されている。

Picture in Picture (iOS)

iOS にも Picture in Picture がやってくる。

Apple TV で動画を再生中にアプリを閉じると、小さなウィンドウが残ってその中で動画が再生され続ける。新しく他のアプリを起動しても、ウィンドウは残って動画を再生し続けてくれる。動画再生のウィンドウは、移動させることも大きくしたり・小さくしたすることもできる。ウィンドウを隠せば、音声だけの再生も可能。

iPadOS では Amazon Prime Video アプリも Picture in Picture に対応していたので、同様に対応してくるんじゃないかと思う。一方、YouTube アプリは iPadOS でも Picture in Picture に対応していないので、iOS でも Picture in Picture に対応するかは疑問。

Siri (iOS, iPadOS)

Siri がコンパクトになった。

今まで Siri を起動すると、スクリーン一杯に Siri の画面が現れていた。これは、例えばメールに書かれていた予定を Siri を使ってカレンダーに登録しようとした時に文面が隠れてしまって、使い勝手が悪かった。

iOS 14, iPadOS 14 からは Siri はスクリーン一杯に広がらず、小さく入力 UI が表示されるだけになる。

そして、Siri の結果もプッシュ通知のように小さく表示される。

翻訳アプリ (iOS)

Apple 純製の翻訳アプリが提供される。

会話でも使い易いようにデザインされていて、言語も自動で判定してくれる。

嬉しいことに日本語も対象に入っている。具体的な対応言語は次の 11 言語: アラビア語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、ロシア語、中国語、日本語、英語、韓国語。

メッセージ (iOS, iPadOS)

メッセージ相手をピンで留められるようになる。iOS ではメモ・アプリなどでピン留め機能があったけど、メッセージでもピン留めが利用できるようになる。

Memoji には年齢設定のオプションが追加された。

グループメッセージの機能強化として、人の名前を打つとその人へプッシュ通知が飛ぶ機能が加わる。また、最近会話した人のアイコンが大きく表示される。

マップ (iOS, iPadOS)

Apple は去年から新マップへの切り替えを行なっている。今年はイギリス、アイルランド、カナダに新マップが提供されるとのこと。

経路検索には、自転車の経路検索機能が追加される。ただしアメリカの主要都市のみ。また、EV ルーティング機能も (アメリカだけで?) 提供される。

CarPlay (iOS)

iPhone を車のキー代わりに使えるようにする Car Key 機能が提供される。Car Key 機能に対応している車として BMW が招介されていた。この BWM は来年発売?

App Store (iOS, iPadOS)

アプリのインストールを手助けする仕組み App Clips が追加される。

今までアプリのインストールは App Store を一度経由しないと行なえなかった。App Clips は App Store を経由せずにアプリをインストールできる仕組み。ポップアップが現れて、それをタップするだけでアプリのインストールが開始される。

App Clips のトリガーはウェブやマップ、メッセージ、NFC や QR コードから提供される。

写真アプリ etc. (iPadOS)

写真アプリ、カレンダー・アプリ、ファイル・アプリ、ミュージック・アプリにサイドバーがつく。

写真アプリならアルバム間の移動などが便利になる。サイドバーが付くことで、iPhone アプリを拡張しただけだったような旧 UI と比べて、より iPad という画面の広いデバイスに最適化される。

検索 (iPadOS)

ホームスクリーンを下に軽くスワイプすると検索が現れる。iPadOS 13 までは検索画面がスクリーン一杯に広がっていたけれど、iPadOS 14 からはポップアップ的な UI へと進化する。

Scribble (iPadOS)

Apple Pencil の iPadOS 対応が進化する。

メモ帳やメッセージの入力欄など、テキストを入力できる場所で Apple Pencil で文字を手書きすると、それが ORC をかけたように電子テキストへと変換される。デモでは英語と中国語に対応していると言っていたが、日本語は?

あとがき

iOS 14, iPadOS 14 は機能的にコレと言った新機能は少ない。iOS の Widget 対応と iPadOS の Scribble が特に目を引くくらいか。

全体的に今まで提供していた機能で使い勝手の悪かった所を良くしよう、他のアプリで提供しててこの機能があるのを期待してしまうよねという機能を補完して行こう、という落ち着いた改良が多いように感じた。

特に Siri を使うと、その前に使っていたアプリが見えなくなる iOS 13 以前の動きは悩まされていたので、とても助かりそう。

そういう意味では、地の足の着いた新バージョンになるのではないかと期待している。