2015-09-11 (土)、オーディオ友達である田中さん邸を訪問した。
田中さん邸を訪ねたいという話は、2012 年からあった。2012 年 6 月に田中さんが、ぼくの家のオーディオを聞きに来てくれた。その時から次回は是非田中邸でオフ会をしましょう、と言っていた。その後、タイミングが掴めず流れ流れになっていた。
そんなわけで、3 年越しのオーディオ・オフ会の開催。念願かなって嬉しい。
待ち合わせ場所は田中宅の最寄駅。12 時に待ち合わせの約束をした。上野にある我が家から 1 時間半ほどの距離。行くと改札口に田中さんが待っていた。近くのお店で一緒にお昼を食べた後、歩いて田中邸へ向かった。16 時までとっかえひっかえ CD と LP を堪能した。
田中さんのシステム
田中さんは LP を中心に聴かれる。ぼくが CD 派なので、今回は CD 用のセッティングで迎えてくださった (気がついたら、2/3 くらい LP を聴いていたのは内緒)。CD システムの情報を教えてもらったので書いておく。
一際目につくのが大型スピーカー Wilson Audio の WITT。耳をたよりに後壁からの距離を取り、内振りの角度を決めたとのこと。この重量級スピーカーをセッティングしたのかと思うと、頭が下がる。
アンプは Sun Audio の真空管式セパレート・アンプ。キット (組立) 式なので安いというが、それは田中さんがオーディオ回路が分かってる人だから良い物が作れるのであって、ぼくのようなオシロスコープも満足に動かせない工作音痴には入り込めない領域。それに真空管だって、厳選したものを使ってらっしゃるのでしょう? 価格以上の音になるよね。
CD プレーヤーは、ぼくも好きなメーカー soulnote の一品。soulnote は社名を変更して Fundamental 社になったね。sc 1.0 は soulnote 初期の CD プレーヤー。LP よりも低音は出てたんじゃないかと思う。
音楽を聴く 〜 オーディオの感想をまじえて
持参した CD をほとんど聴かせてもらった上、もっと沢山の田中さんご自慢の音源を聴かせてもらった。持参 CD、田中さん収有の CD/LP の区別なく音楽とオーディオ・システムの話を書いてゆく。
田中さんのシステムは、自分の好みを反映した「個性」を持っている。何でも鳴らそうという色気はない。
田中さんがお好きなのは女性ボーカル。特にジュリー・ロンドン (Julie London) がお好きとのこと。システムの音色は暖色系で、ボーカルの輪郭をしっかりと描く。女声に艶がのる。音楽をとても甘〜く聴かせてくれる。
ヴァイオリンの音声にも女性ボーカル同様に艶がのって響きが美しい。ヴァイオリンや女性ボーカルと比べると、男性ボーカルやオーケストラ曲・ピアノ曲はストライク・ゾーンから外れているか。例えば「What Is A Youth? (ニーノ・ロータ作曲の「ロミオとジュリエット」のテーマ)」。アルバム「The Rose」に収録されている手嶌葵の女声ボーカルは息づかいの聞こえる実在感のある歌声をゾクッとさせられ。一方、サントラ盤「ロミオとジュリエット」で歌う男楽士の線の細い声は陰影が不足しているように思えた。
サントラ曲やジャズ (ビッグバンド系) が良く鳴ったのは、ちょっと意外な気がした。サントラ系では「ハウルの動く城」のエンディング・テーマ「世界の約束」(歌・倍賞千恵子) が良かった。音像が前に出てきて、なまめかしさと繊細が同居する。これは女性ボーカルの曲なので良いのは聴く前から予想できた。意外だったのは映画「イノセンス」のサントラ盤。オリエンタルと民謡を合わせた合唱曲は、田中さんのオーディオ・システムに合わなさそうなのに、予想に反して良かった。音楽が活き活きと踊り、音符が目の前に絵画を描くようだった。ビッグバンドの曲も一つ聞かせてもらった。曲名を失念したけれど、これも楽器一つ一つが力強く音楽を奏でていて、とても楽しかった。
クラシック曲ではアルバム「カンターテ・ドミノ」聴いた。音楽は左右に広がる。ただ、音が教会の天丼に向かって昇っていく様子は描こうとしていなかった。
オーディオ・システムのくくり方の一つに、音場系と音像系があるけれど、田中さんは音像系オーディオ・システムを目指していて、特に女性ボーカルを中心に成功しているように感じた。
あとがき
ここ最近、オーディオ系の動きをしていなかった。久しぶりに他人のオーディオ・システムに接して、楽しい時間を過ごすことができた。田中さん、ありがとうございます。訪問記を書くのが遅くなっちゃってごめんなさい。
最後に、田中さんのシステムは analog (アナログ) 誌 2015 年 10 月号の「レコード悦楽人登場! 02」pp.18,19 にて取り上げられている。こちらは LP 向けシステムを中心に紹介されている。よければ、こちらも是非。