2020-09-16 (水) 02:00、Apple はイベントを開いて Apple Watch と iPad を中心にした新製品・新サービスの発表を行なった。
6 月の WWDC 2020 と同じく、今回のイベントも聴衆なしのビデオ配信の形で行なわれた。例年なら 9 月のイベントで新 iPhone のお披露目されるところだけど、今年は新 iPhone 発表はなかった。おそらく 10 月以降に改めて発表イベントを開くのんじゃないかと思う。
今回のイベントで発表された新製品・新サービスは次の通り:
- Apple Watch seriese 6 (最新の Apple Watch)
- Apple Watch SE (Apple Watch の廉価版)
- Apple Fintness+ (オンライン・フィットネス・サービス。日本未対応)
- Apple One (Apple のサブスクリプション・サービスのパック提供)
- iPad (第 8 世代 iPad。マイナー・バージョンアップ)
- iPad Air (メジャー・バージョンアップ)
また、WWDC で発表された各 OS のメジャー・バージョンアップが明日 (2020-09-17 木) にリリースされることも合わせて言及された。
新製品、新サービスについて簡単にまとめてみた:
Apple Watch series 6 & SE
2020 年度の Apple Watch は series 3 が引き続き発売を継続し、廉価版 Apple Watch である SE が series 5 を置き換え、新しく series 6 が登場する。まず最初に series 3 と SE の違いを簡単に紹介して、次に series 6 の新しい点を書いてゆく。
Apple Watch series 3
series 3 は 2017 年に発売された。画面サイズは 42mm / 38mm。
発売当時は GPS と GPS + Cellular の 2 モデル。ケースにアルミニウス、ステンレス、セラミックを選択可能だったものの、2020 年度は GPS モデルのアルミニウムケースのみが発売される。Nike モデルと Hermes モデルは発売されない。価格は 19,800 円 (税別) から。
Apple Watch SE
Apple Watch SE は Apple Watch の廉価版。series 5 から常時表示可能なディスプレイ機能を削って、series 6 と同じ新機能を一部搭載する。画面サイズは 44mm / 40mm。GPS と GPS + Cellular の 2 モデルが発売される。ケースはアルミニウスのみ。Nike モデルも発売されるけど、Hermes モデルは存在しない。価格は 29,800 円 (税別) から。今日から予約開始で、2020-09-18 (金) 発売開始。
series 3 との違いは、画面サイズが大きくなったこと。コンパスが追加されたこと。転倒検出、騒音モニタリングに対応したこと。地味にストレージサイズが seriese 3 の 8 GB から 32 GB に増えているのも嬉しい。Bluetooth は series 3 がバージョン 4.2 で SE はバージョン 5.0。
series 5 になかった SE からの新機能が 1 つある。それは高度計。SE では高度計が常時計測可能なものにアップデートされた。
Apple Watch series 6
series 6 は最新の Apple Watch。画面サイズは 44mm / 40mm。GPS と GPS + Cellular の 2 モデルが発売される。ケースはアルミニウム、ステンレス、チタニウム。Nike モデルと Hermes モデルも発売される。アルミニウムモデルには新色としてブルーと Product RED が追加された。価格は 42,800 円 (税別) から。
series 6 では SE と同様に常時計測可能な高度計が追加されたほか、血中酸素濃度センサーが新しく追加された。イベントでは言及されなかったと思うけど、U1 チップも搭載して、Wi-Fi も 5GHz 帯に対応した。。
ソロループ -- 新しいウォッチバンド
Apple Watch に新しいウォッチバンドが 2 種類追加された。ソロループとブレイデッドソロループと呼ばれるもので、どちらも繋ぎ目のないゴム製のバンドの形をしている。これらは、輪ゴムのように伸ばして拳を通し手首に巻く (のだと思う)。ソロループはシンプルなシリコーンゴムで、ブレイデッドソロループはゴムを糸状にして編んでいる。
クラスブもバックルもないので、購入時にサイズを指定する必要がある。カスタムできるサイズは 9 種類。手首の太さを自分で測って入力すると、適切なサイズが提案される。
ファミリー共有設定
Apple Watch のファミリー共有機能は、iPhone を持っていない子供や家族が iPhone なしで Apple Watch を使うための機能。
Apple Watch は iPhone とペアリングさせる必要があって、今までは自分の iPhone にペアリングさせていた。そのため、iPhone を持っていないと Apple Watch を使うことができなかった。ファミリー共有機能では、例えば子供の Apple Watch を親の iPhone にペアリングさせることが可能になる。親の iPhone では自分の Apple Watch の他に子供の Apple Watch も管理することになる。子供の Apple Watch に対しては、ペアレンタルコントロールもかけられるとのこと。電話もかけられるらしいけど、これは日本でも対応するのかな?
対応デバイスは series 4 以降の GPS + Cellular モデル。つまり、series 4, series 5, SE, series 6 の GPS + Cellular モデル。series 3 は対応外だし、SE や series 6 であっても GPS モデルでは使えない。
Apple Fitness+
Apple が新しく提供するフィットネス・サービス。提供開始は 2020 年末で、提供国はオーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、イギリス、アメリカの 6 か国。残念ながら日本は入っていない。
軽くサービスの内容に触れておくと、ヨガやサイクリング、ダンスなどのワークアウト動画を iPhone, iPad, Apple TV 上で提供するというもの。Apple Watch と連携することを前提に作られていて、画面には Apple Watch で計測した心拍数の情報やアクティビティリングが表示される。
Apple One
Apple が提供するサブスクリプションのバンドルサービス。今秋登場予定。次の 6 つのサブスクリプションに対応する:
- iCloud
- Apple Music
- Apple TV+
- Apple Arcade
- Apple News+
- Apple Fitness+
プランは次の通り:
- 個人: 1,100 円/月 (iCloud 50GB, Music, TV+, Arcade の 4 サービス)
- ファミリー: 1,850 円/月 (iCloud 200GB, Music, TV+, Arcade の 4 サービス)
- プレミア: $29.95/Month (iCloud 2TB, Music, TV+, Arcade, News+, Fitness+)
ファミリープランでは最大家族 5 人までファミリー共有でサービスが使えるようになる。と言っても、Apple TV+ と Apple Arcade は個人プランでもファミリー共有にデフォルトで対応しているので、実質 Apple Music のためのファミリープランと言って良い。
iCloud ストレージが Apple One の提供分で足りない場合は、追加で購入も可能とのこと。
プレミアプランは日本で提供されない。プレミアプランが対応する News+ と Fitness+ が、そもそも日本でサービスを開始していないのだから、まあ当然か。
iPad
第 8 世代 iPad が発表された。パフォーマンスを向上させた、順調なマイナーアップデート。今日から予約開始、2020-09-18 発売。価格は 34,800 円 (税別) から。
A12 Bionic チップ搭載。10.2 インチディスプレー。ホームボタンと TouchID。Apple Pencil (第 1 世代)、Smart Keyboard 対応。Lightning コネクター。
iPad のエントリーモデルとしてどうぞ、という感じ。
iPad Air
iPad Air 第 4 世代はモデルチェンジと言えるくらい変わった。色はシルバー、スペースグレイ、ローズゴールド、グリーン、スカイブルーの 5 色展開。発売は 2020 年 10 月を予定。価格は 62,800 円 (税別) から。
iPad Air 第 3 世代から第 4 世代への変更点は次の通り:
- 画面サイズ: 10.5 インチ → 10.9 インチ
- チップ: A12 Bionic → A14 Bionic
- iPad キーボード: Smart Keyboard → Magic Keyboard/Smart Keyboard Folio
- Apple Pencil: 第 1 世代 → 第 2 世代
- カメラ: 8MP → 12MP
- コネクター: Lightning → USB-C
- 横ステレオスピーカー: なし → あり
- TouchID: ホームボタン内蔵 → トップボタン内蔵
- Wi-Fi: 802.11a/b/g/n/ac → Wi-Fi 6
ホームボタンがなくなって、TouchID がトップボタンに移動した! iPad Pro のように FaceID 対応じゃないのに、ホームボタンがなくなって全面ディスプレイなタブレットへと進化した。
チップは A14 Bionic。iPad Pro 12.9 インチ第 4 世代が A12Z Bionic、iPhone 11 Pro Max が A13 Bionic なので最新のチップを搭載したことになる。
Lightning コネクターが USB-C コネクターに変更されたことで、各種 USB-C デバイスとの連携がしやすくなった。加えて、Lightning コネクターが必要だった Apple Pencil 第 1 世代は使えなくなり、Apple Pencil 第 2 世代が使えるようになった。iPad Keyboard も iPad Pro と同じく Magic Keyboard 対応。
iPad Pro と比べても、ディスプレイとストレージのサイズ、FaceID、Pro Motion テクノロジー、カメラ、スピーカーが劣っているくらいで、かなり強力になった。
あとがき
今年度はコロナの影響もあって、iPhone の出荷が遅れることは事前に知らされていた。それでも、9 月のイベントで iPhone の発表があるかないかは分からなかった。フタを開けてみれば、Apple Watch と iPad の発表だけで、iPhone の発表はなかったわけだけど、地味に進化した Apple Watch series 6 にリーク情報が出まくっていた Apple Watch SE、そして個人的には一番大きなニュースだった Apple Watch のファミリー共有機能と、Apple Watch 関連の発表はとても楽しめた。
iPad Air は大きく進化して、iPad Pro との差別化がしづらくなったんじゃないかと逆に心配してしまうレベル。iPad Pro も大きな変更が用意されているのかな?
総じて楽しめるイベントだった。