2011-04-15

Redmine によるタスクマネジメント実践技法 (小川 明彦, 阪井 誠)

Redmineによるタスクマネジメント実践技法
小川 明彦 阪井 誠

4798121622
翔泳社 2010-10-13
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by G-Tools

「Redmine によるタスクマネジメント実践技法」はチケット駆動型開発の実践書。チケット駆動型開発 (Ticket Driven Development) は略記として TiDD とも書かれる。これはテスト駆動型開発 (TDD) と区別するための表記的な問題。

TiDD には BTS システムが欠かせない。現在、代表的な BTS には TracRedmine がある。本書では、Redmine を使って TiDD を行なうための実践技法を紹介している。読者対象は TiDD を導入するチームリーダー。TiDD/BTS を導入してみたものの、運用方法に自信がない、チーム・メンバーへの普及が上手くいかない、そもそも自分は TiDD を理解していないのでは? そんな人を対象にしている。

今まで Redmine の本は何冊か出ていた。けれど、それらは Redmine のインストール方法、設定方法、機能説明に終始していた。TiDD について踏み込んだ本はなかった。せいぜい Redmine を使った時のメリットを物語風に紹介する程度だった。

Redmine の本ではツールの使い方は分かっても、TiDD という技法が分からなかった。

本書はその解答の一つを教えてくれる。その代わり、Redmine のインストール等の説明は削ってある。あくまで Redmine インストール後、チームリーダーが TiDD を実践するための本。

アジャイル etc.

本書では何度もアジャイル開発という言葉が出てくる。実は TiDD とアジャイル開発は相性が良い。本書では、そういった事象についても解説が加えられる。特に考えさせられたのは p.163 の次の一節。

反復型開発をどの場面で使うべきか、漸進型開発をどの場面で使うべきか、戦略がはっきりしていないから、未だにアジャイル開発は難しい、と言っているだけなのだと筆者は考えます。それらの問題は、反復型開発と漸進型開発の戦略的な使い分けで解決できるのではないでしょうか?

大規模開発におけるアジャイル開発についても、「アジャイルリリーストレイン」と「スクラムオブスクラム」を取り上げて説明をしている。

SCM

本書では主に Subversion によるバージョン管理をベースに説明が展開される。ぼくは最近 Git を使っているので、Subversion に使い勝手の悪さを感じる。開発ペースも集中管理型の Subversion と分散管理型の Git では大きく違う。

現在、バージョン管理の主流は分散管理型に移り変わっているので、Subversion 中心の説明に不足を感じた。もし第二版が出ることがあれば、分散管理型 SCM での TiDD (特にブランチの作成云々) を書いて欲しいと思った。

TestLink

TestLink というテスト管理ツールがある。

自動化できないテストに関して、開発者やテスターはテスト計画書を書く。一つリリースを出したら、テスト計画書に従ってテストを行なう。バグが見つかったら、BTS に登録する。

以上が一般的なテストの流れ。テストを管理して BTS と連携させるツールが TestLink。本書には TeskLink と Redmine との連携方法に一章が丸々割かれている。TestLink の解説書自体見かけたことがないので、貴重な一章と思う。

ぼくはテスト計画書を今まで Excel で書いていたけれど、TestLink の存在を知って、TestLink を使いたくなった。

あとがき

今までになかった、チケット駆動開発に主眼を置いた解説書。同じ言い回しが何度か出てきて、疎ましく感じることもある。それを差し引いても、一読の価値はあると思う。

最後にチケット粒度について。本書とぼくはチケット粒度について立場を異にする。これはその道の人でもちゃんとした答えが出ていない問題のようなので、自分のプロジェクトに合わせて試行錯誤する必要がありそう。

チケット駆動開発を運用していると話すと、必ず「チケットの粒度はどれくらいが妥当ですか?」という質問が来る。僕はまだその質問に完全な回答は持っていない。

TiDD初心者によく聞かれる質問part2~チケットの粒度はどれくらいが妥当ですか?: プログラマの思索 より引用

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