2011-10-28

GDD2011 の Google Apps Script 回答

Google Docs では Google Apps Script を使ってマクロを組むことができる。GDD2011 の DevQuiz には、Google Apps Script に関する課題も出た。久しぶりに Google Docs をいじっていて、そういえばこの課題を解いたんだったな... と思い出したので、ここに載せてみる。

課題

ある都市(複数)における日別の供給電力と最大消費電力に関する記録が以下のような JSON の形式で与えられます。 この記録を Google SpreadSheets 上に展開してください。

[
  {
    "city_name": "Oykot",
    "data": [
      {
        "capacity": 1000,
        "usage": 750,
      },
      {
        "capacity": 1200,
        "usage": 1000,
      },
      ...
    ]
  },
  {
    "city_name": "Akaso",
    "data": [
      {
        "capacity": 1000,
        "usage": 800,
      },
      ...
    ]
  },
  ...
]

ぼくの回答

回答は以下の通り。これで、課題を満たしたスプレッド・シートを得た。

function myFunction() {
  var url = "http://gdd-2011-quiz-japan.appspot.com/apps_script/data?param=1093922241762506067";
  var result = UrlFetchApp.fetch(url);
  var json = Utilities.jsonParse(result.getContentText());

  var doc = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  var sheets = doc.getSheets();
  for (var i in json) {
    var sheet = doc.insertSheet(json[i].city_name, i);
    var table = new Array();
    var table_size = 0;
    for (var j in json[i].data) {
      var d = new Array(json[i].data[j].capacity, json[i].data[j].usage);
      table.push(d);
      table_size++;
    }
    sheet.getRange(1,1,table_size,2).setValues(table);
    for (var j=0; j>table_size; j++) {
      var n = j+1;
      sheet.getRange("C"+n+":C"+n).setFormula("= B"+n+" / A"+n);
    }
    sheet.getRange("C1:C"+table_size).setNumberFormat("0.00%");
  }
  logData(json);
}

function logData(json) {
  Logger.log("usage: " + json[0].data[0].usage);
  Logger.log("capacity: " + json[0].data[0].capacity); 
  for (var i in json) {
    Logger.log(i + ": " + json[i].city_name);
  }
}
  
function getFormatString() {
  var doc = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
  var sheet = doc.getActiveSheet();
  var string = sheet.getRange("C1:C1").getNumberFormat();
  Logger.log("% = " + string);
}

function removeSheets() {
    SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().deleteActiveSheet();
}

あとがき

GDD2011 の DevQuiz には Go 言語の課題にかかりっきりになって、結局解けなかった。諦めて Google Apps Script の課題に挑んだら、二時間ちょっとで出来てしまった。当然、Google Apps Script を触るのは初めて。意外と簡単に使えるので、ちょっと閑な時に勉強しておいて損はないと思う。

ちなみに、この回答。提出しようとしたら 1 分遅れで回答が締め切られていた。これを提出できてたら、あるいは GDD2011 に参加できたかも。。。いや、やっぱり無理だったかな。

2011-10-27

O'Reilly の HTML5 for Publishers が無料提供

O'Reilly から「出版向け」HTML5 の本が出た。題名は「HTML5 for Publishers」。電子出版での提供で、フォーマットは EPUB, PDF, MOBI(Kindle) の三種。価格は無料

全四章。ぼくは EPUB 版を iPad でダウンロードして iBooks で読んでいる。ページ数はフォントの大きさで変わっちゃうから正確な値は出ないけれど、ぼくの iBooks では全 81 ページとなっている。それほど厚い本じゃない。目次は以下の通り。

  1. Canvas for Publishers
  2. Geolocation for Publishers
  3. <audio>/<video> for Publishers
  4. Embedding HTML5 in EPUB

本文は当然英語だけれども、HTML5 や出版に興味のある人は是非!

2011-10-25

シャープの電子レンジ RE-S204 を買った

引越にあたって、家電を二つ買った。一つは洗濯乾燥機。もう一つが、本エントリーで紹介するオーブンレンジ: SHARP RE-S204。

Amazon 価格 16,779 円。大きさ 47w x 39.5d x 30h cm。重さ約 11 kg。丸皿サイズ、直径 30 cm。レンジ出力 900W。

Amazon のカスタマー・レビューに恐しい程、細かい商品レビューが載っている。他機種との比較もあり、非常に参考になる。

オーブン・レンジ

ぼくはガジェット好きを自認しているけれども、家電となると一気に素人に戻ってしまう。まず、お店に行って聞いたのはパンが焼けるかどうか? ということだった。それだけモノを知らなかった。というか、今まで電子レンジなしの生活が長かったからねぇ〜 (ちなみに実家にある電子レンジは 30 年選手!)。

そんなわけで無知を白状して、家電量販店の店員さんに初歩的なことから教わった。

  • 電子レンジでパンは焼けない
  • オーブン・トースターというパンを焼く専門機がある。価格は五千円以下
  • 電子レンジにオーブン・トースターの機能をくっつけたものがオーブン・レンジ

最安の電子レンジとオーブン・トースターの組み合わせは、最安のオーブン・レンジとほぼ同一価格か少し安い。機器を二つに分けると、電子レンジを使いながら、オーブン・トースターを使う、両方使いが出来る。ぼくの場合、キッチンが狭い。二機種買って安くあげるよりも、一機種で済ませられる方を選びたい。そこでオーブン・レンジを買うことにした。

RE-S204 にした理由

とにかくオーブン・レンジすら知らなかった人間だから、機種ごとの違いも分からない。店員さんの言うなり。上を見れば高機能なものが並んでいるけれど、お金も節約したいのでほどほどのところを選択肢にする。

シャープの RE-S204 を選んだ理由は以下の通り:

  • オーブン・レンジであること
  • 「牛乳・酒」ボタンがある (ぼくはホット・ミルクが大好き)
  • 食パンを焼く「トースト」ボタンがある (手動の「トースターグリル」ボタンもあり)
  • 「あたためスタート」を二度押しすると、「冷凍」ものになる

つまり、オーブン・レンジの初心者が使いやすい機種を選んだ。難しいことは分からないんですよ。特に「冷凍」を「あたため」2 回押しというのが気に入ったかな。

「22メニューを自動調理」という言葉は気にしなかった。初心者に「22メニュー」も使いこなせないと思ったから。同様に、他機種でも自動調理のメニュー数やこだわりの調理機能には目もくれなかった。そこまで使うとは思っていないから。

それよりも、牛乳とか食パンとか、「あたため」ボタンが大きいとか、シンプルに分かり易い機種を選んでみた。

意外と機能豊富

買ってから知ったのだけど、最近のオーブン・レンジはすごいのね。野菜を茹でたり、唐揚げを揚げたり。機能性の豊かさにびっくり。つい先日も、ほうれんそうを茹でてみた。茹でるだけだと、初心者にも簡単。まいった。

ちょっと自炊が楽しくなるかもしれない。

2011-10-24

トラウマにしない 〜退職にあたって〜

十月上旬に JVC Kenwood を退職したのは過去記事の通り。休職期間満了ということで、書類上はトラブルなく退職が進んだと言える。けれど、ぼくの心の中まで円満だったかと言うとそうでもなかった。今日はそこら辺をまとめてみたい。

イライラの日々

2009 年 7 月に心のバランスを崩した (抑欝神経症)。ささいなことでイライラがつのる様になった。ぼく自身としては表に出さない様にしていたつもりだったけれど、隠しきることは出来なかったらしい。上司に指摘されたし、厳しいことも言われた。

病は気から、と言うように体調も崩れ易くなった。頭痛・腹痛・嘔吐感。特に朝の体調が良くない。遅刻することが一時期増えた。上司から「開発から外れて欲しい」とさえ言われた。戦力外通告を受けたようで大きなショックだった。

イライラと体調不良の日々の中、仕事は佳境を迎え、無茶なリクエストやミス (自分も含めて周りの人達も) も増えた。そして、唐突に休職へと入る。

トラウマにしないで欲しい

バリバリ働いていたのに、休職に入った途端、体が動かなくなった。何をするにも体が重い。音楽を聞いても楽しくない。本を読んでも集中力が続かない。4 か月近く、「一冊の本を読み切る」だけの集中力すら保てなかった。それだけボロボロだった体を、どうやら気合いだけで動かしていたらしい。体職して気合いが抜けたら、本来の疲れが表に出た... と。

この当時のぼくの心情は、会社への不信に満ちていた。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、を地で行っていた。

時を経て体調が良くなってくると、熱い怒りが冷たい憎しみに変わっていった様に思う。

その不信・怒り・憎しみは、今はもうない。

きっかけは退職を決めた (正確には「復職するにはまだ早い」というぼくと主治医の意見を言った) 時の上司の言葉だった。

会社を辞める人を見てきて思うことがある。それは辞めるきっかけになった原因・理由・トラブルをトラウマにしたまま次の会社に行ってしまう人が多いこと。安宅君にはそうなって欲しくない。

ガーンと目が覚める様な言葉だった。そもそも心のバランスを崩したのは大きな仕事をやったストレスが原因で、病気にならないよう自分をコントロール出来なかったのは痛恨事だけれども、結果には満足していた。会社に不信を持つ様になったのは、病気になった後の小さな小さな「嫌なこと」が積み重った結果だった。だから上司の言葉は的を射たわけではなかったのだけれども、それでも心に突き刺さった。

会社に不信を持っている状態。これこそ、今のぼくの「トラウマ」になっているのではないか?

会社不信の原因を一つ一つ思い返せば、自分の過失もあるし、過去のことと流してしまえるトラブルばかり。それらを積み重ねて大切に「トラウマ」へと変えようとしている。心の中のわだかまりが栓をして、嫌な思い出が流れて行かなかった。

そんな時の言葉だった。自分の殻を崩く様な言葉。何より、自分が持っている不信感が「トラウマ」になりかけていると気づかされたことが大きかった。明瞭な形を持たなかった「嫌な感情」に一つの名前がついて、認識した。そうした途端、トラウマを引きずることに馬鹿らしさを感じた。会社にとっても、ぼく自身にとってもメリットがない。

そうして、ぼくの中から会社への不信は薄らいでいった。

あとがき

生きてて嫌なことにぶつかることがあると思う。それがトラウマになってしまうこともある。でも、トラウマにしなくて良いことまでトラウマにしちゃってる人っているんじゃないかな?

ぼくの様に。

そんな人達にこのエントリーを書いた。ぼくを救ってくれた言葉を届けたかった。

心のことなので、読んでハイと納得できることじゃない。ぼくも、休職直後に同じ言葉を聞いていたら、この言葉は心に届かなかったと思う。こういう事を書いていたエントリーがあったな、と心の中に留めておいてもらえたら嬉しい。

おことわり

ぼくは複数の部署を移っているので沢山の上司がいた。また上司の上司も「上司」と一括りに書いている。本エントリーには、何度も「上司」という言葉が出てくるけれど、それは特定の一人を指すわけではない。悪しからず。

2011-10-23

ひかり TV (ビデオ・サービス) と楽天レンタルを比べる

ひかりTVを試す機会があったので、楽天レンタルとの比較レビューを書いてみる。

ひかり TV とは?

ひかり TV は、インターネット経由でテレビを見るサービス。サービスに登録すると専用の端末機器が送られてくるので、TV に繋いでテレビを見たりビデオを見たりできる。

サービスは大きく分けて 2 つ。一つ目は 80 ch 以上の専門チャンネルを楽しめる「テレビサービス」。二つ目は好きな時にビデオを楽しめる「ビデオサービス」。テレビサービスはケーブル・テレビと同じ様なものと促えて良いかと思う。ビデオサービスはオンデマンド・ビデオ・サービスの一つ。この他、目立たないけれど「カラオケサービス」や「ひかり TV ショッピング」、「NHK オンデマンド」といったオプション・サービスもある。

プランは 3 つ。テレビサービスのみの「テレビおすすめプラン」(2,625 円/月)、ビデオサービスのみの「ビデオざんまいプラン」(2,625 円/月)、そしてテレビサービスとビデオサービス両方を見られる「お値うちプラン」(3,675 円/月)。

ひかり TV 用の機器 (チューナー) には、見るだけのベーシック・タイプと HDD 内蔵の録画充実タイプがある。

ぼくは「ビデオざんまいプラン」でベーシック・タイプのチューナーを借りた。

接続方法

LAN ケーブルをチューナーに挿し、チューナーから HDMI ケーブルを (自分が持ってる) TV に挿す。これで TV の大画面でひかり TV が楽しめる様になる。

HDMI に対応しているディスプレーならテレビでなくても OK。ぼくは24 インチのパソコン用ディスプレーを持っているので、これに HDMI を挿した。また、HDMI の他にアナログの映像出力端子 (黄色いやつ)、S2 端子、D 端子を備えているので見るだけなら古い機器でも間違いなく繋がる。音声もアナログの音声端子 (赤と白) と光デジタル端子が用意されている。

注意点を一点。ひかり TV は IPv6 で配信されている。そのため、IPv6 対応のルーターが必要。最近、フレッツ光に申し込んだなら、IPv6 対応のブロードバンド・ルーターがレンタルされているはずなので気にする必要はない。ぼくは AirMac Extreme をルーターに PPPoE 接続でインターネットに繋げている。で、PPPoE 接続で IPv6 ルーターにすることが出来なかった。こういう場合は、安くて良いのでハブを買う必要がある。安い物なら千円以下で売っている。間違えて USB ハブを買わないこと!

楽天レンタルとの比較

楽天レンタルのスタートプランを使っている。1,200 円/月 で、CD/DVD/BD を月 4 枚借りられる。

利便性

「ひかりTV」は見たいものをいつでも見られる。見られる本数に制限はない。ただし、いくつかの商品は「有料」商品となっている。最新ビデオはまず有料と思っていい。

一方、「楽天レンタル」は見たいものをリストに登録し優先順位を付ける。在庫のあるものからリストの優先順に商品が 2 枚ずつ送られてくる。配送日数は 1〜2 日といったところ。2 枚見終わったら、ポストに入れて返却する (返却締切はない)。プランによって月に借りられる枚数が決まっているが、追加料金を払うことで「追加レンタル」可能。新作・旧作にかかわらず値段が変わらないのは嬉しいところ。ただし、好きなビデオを見るのに最短 1〜2 日待たないといけない (人気商品だと更に配送が遅れる) のが難点。

画質

「ひかりTV」には標準画質と HD 画質の二種類がある。HD 画質が BD と同等画質 (1920x1080) なのかどうかは分からない。洋画・邦画の多くは HD 画質での配信を行っている。

「楽天レンタル」は DVD と BD を用意している。当然 BD の方が DVD より高画質。最新の商品は BD・DVD の両方がある。ただし、古い商品や人気度の低い商品は DVD しかない。最近の作品では「「マルドゥック・スクランブル 第一部 圧縮」(2010) が DVD でしか入っていなくてショックを受けた。

音質

「ひかりTV」は 5.1ch 配信をサポートしている。しかし、5.1ch 対応したビデオは少ない。最新のビデオでも 5.1ch でない。

「楽天レンタル」では DVD/BD によってモノラルかステレオ(2ch)か、5.1ch か決まってくる。クラシック映画を選ばない限り、最近の DVD/BD ならば 5.1ch 以上が標準と思って良い。

品揃え

「ひかりTV」の洋画・邦画の品揃えはお世辞にも良くはない。ぼくの好きなところで行くと、「ナウシカ」「ラピュタ」等のジブリ作品、近年のアニメ映画では出色の「サマーウォーズ」、ファンタジー映画では「ロード・オブ・ザ・リング」がない。なお「ハリー・ポッター」シリーズは今月末から配信開始とのこと。

「楽天レンタル」の品揃えはまあまあか。有名どころならまず在る。流石に「ジャズ・シンガー」(1927 年、初のトーキー映画) などはない。

総論

まず、ビデオ・オンデマンド・サービスとビデオ・レンタル・サービスという違う種類のサービスを比較していることが良くないことを認めておく。より正確に二つのサービスを比較するなら、複数ある同種のサービスを最低でも数種類試すべきかと思う。ただ、そんなにお金も時間もないので今、自分が使っているサービスでの比較だけに終止した。

なお、ビデオ・オンデマンド・サービスにも、テレビへの出力をサポートしているものとそうでないものがあることを指摘しておきたい。例えば、楽天レンタルのサービス利用者は楽天VIDEOというビデオ・オンデマンド・サービスを無料で利用できる。けれど、楽天VIDEO は PC でしか見られないので今回のレビューからは外した。今回のレビューはあくまで大画面の TV で見て楽しめることを前提にした (ぼくのディスプレーは 24 インチなので大画面ではないけれどね :p)。

さて、総論。

利便性を考えれば「ひかりTV」の「すぐ見られる」優位性は大きい。一方で、洋画・邦画の品揃えが少ない点と月額料金が高い点は憂慮しなくてはならない。

画質と音質については、それほど気にしなくて良いかと思う。DVD/BD の場合 DVD/BD プレーヤーによって画質は違う。5.1ch 音質を楽しもうと思えば AV アンプと 5 つのスピーカーが必要になって来る。そこまで拘る人はいるかしらん?

すると、「ひかりTV」のビデオサービスを契約して嬉ぶ人はどんな人になるか?

画質・音質に神経質でない人。洋画・邦画にもそんなに拘らない人。ちょっとした時間潰しにビデオを見たい人。アニメやドラマのビデオを見たい人なんか良いんじゃないかしらん。

また、「お値うちプラン」を契約してテレビ・チャンネルも楽しむという手もあるかもしれない。

楽天レンタルは、ひかりTV の品揃え・画質・音質のどれか一点に不満を持つ人にお勧めかな。

ぼくは、とりあえず「ひかりTV」で見たいと思ったビデオは見終えてしまった (もしくは有料なので見なかった) し、アニメやドラマは見ないし、どちらかというと観るからには画質・音質に拘る方なので、「ひかりTV」は解約して楽天レンタルを続ける。

2011-10-21

JVC Kenwood を退職した

2011-10-06 (木) をもって、JVC Kenwood を退職した。

理由は休職期間満了。ストレスで心療内科に通い始め、2010-10-07 から休職に入っていた。一年間の休職期間が終了したけれど、職場復帰を果たせなかったので社則に則って退職となる。会社に不満を持って辞めたとか、悪いことして辞めさせられたとか、否定的な退職ではないのでご安心を (?)。

傷病手当金が半年ほど続くようなので (保険組合に感謝!)、その間は治療に専念するつもり。その後、就職活動に入ると思う。

3 年に渡る会社生活だったけれども、色々と学ばせてもらった。少し振り返ってみたい。

会社について

2007-04-02、ケンウッドに入社した。研修期間終了後、先行技術を開発する部署に配属された。以降 3 年間、部署名は色々変わったけれど、同部署にて開発を行なった。

2008 年 10 月、ケンウッドは日本ビクター (aka. JVC: Japan Victor Company) と合併。入社二年目にして一部上場企業同士の合併劇を内側から見る。社則の統一とかシステムの統合とか難題・課題の解決を図る姿を見ることができたのはとても貴重な体験だった。一番面白かったのは「社風の違い」かもしれない。ぼくは入社して日が浅いから、「新しい風」だなぁと考え方や意識の違いを受け止めた。古参の人達は戸惑っていたのかな?

合併に関して補足説明しておく。ケンウッドと日本ビクターは共同持株会社 JVC Kenwood ホールディングスを設立し、その傘下に入った。また、両社のカー・エレクトロニクス部門の人達を合わせて J&K カー・エレクトロニクスという新会社を作り、これを日本ビクターの子会社とした。この時点で JVC Kenwood ホールディングスが一部上場。ケンウッドと日本ビクターは一部上場を廃止した。この関係は、NTT などによく見られる。NTT の場合、日本電信電話株式会社 (NTT) という頭がいて、その下に NTT 東日本・NTT 西日本・NTT ドコモという大きな会社が在る。

2011 年 8 月。JVC Kenwood ホールディングスは商号を「JVCケンウッド」に変更。続いて同年 10 月 1 日。子会社である日本ビクター、ケンウッド、J&K カー・エレクトロニクスを合併。ここに日本ビクター、ケンウッドという長年続いた社名は消えることとなる (ブランド名は残っている)。

ところで、4 社合併が 2011-10-01。ぼくの退職が 2011-10-06。風の噂によると、ぼくは JVCケンウッド の「最初の退職者」になるらしい。嘘か本当か... そんなところで一番手を切っても、、、ねぇ。

携った仕事について

組み込みプログラミング

部署に配属されて、まずは課題形式で組み込みプログラミングを教えてもらった。一応プログラミングができること、組み込みプログラミングの経験はないこと、は伝っていたようで「組み込み」のイロハを集中的に教えてもらえた。配線図の見方、ポート開放、割り込み制御、タイマーの使い方 etc. 基本を学ぶ。最終的に I2C の汎用デバイス・ドライバーをフル・スクラッチから書いて、DAC 制御して音を鳴らして課題終了。

無線

課題終了後、(大人の事情で) 組み込み系のチームから無線機のチームへ異動 (といっても隣のチームなのだけど)。実機を動かす前のプロトタイプ・アプリを作成した。言語は C# で、初めて本格的にオブジェクト指向プログラミング、UML、デザイン・パターンに足を踏み入れた。オブジェクト指向プログラミングは C++ でかじった程度だったので、勉強になった。

無線機に馴染みがない人も多いと思うので、少々解説。当時のケンウッドの稼ぎ頭は業務用の無線機だった (アマチュア無線ではないよ)。業務用無線機とは何か? 一番身近で見られるのは、ヤマダ電機の店員が使っている無線機。または、タクシーの運転手が本部との連絡に使っている無線機。通信周波数を決めて、一度に多勢と話すことができる。シビアなところでは警察官や消防隊員が使っている。映画「バックドラフト」のように、火の中・水の中を走り回り、救助作業をこなしても無線機は壊れてはいけない (ぼくはアプリしか担当しなかったけど、実機を作ってる人達は大変だぁ)。

Linux

日本ビクターとの合併でチームが再編。Linux カーネルを担当するチームに配属された。アプリ開発の様な自由さはないものの、ほぼ完成された OS のソースコードを見ていじることが出来たのは大きな財産になったと思う。

サーバー管理者

チーム再編の頃から、日本ビクターの先行技術開発の人達と一緒に働くことになる予感があった。当時、開発チームは秘密主義体制で、開発データをなるべく外に出さないようにしていた。ケンウッド一社の時代は、インフラの専門部署にその旨を伝えれば良かったけれど、日本ビクターと合併したとなるとそうはいかない。何故ならインフラの整備が終わっていないから。でも、インフラ整備が終わるより前に、日本ビクターの人達との合流はある様に思えて仕方なかった (その予想は後で図に当たる)。そこで、専用サーバー機の購入を上申した。

アカウント管理を行なう LDAP、ファイル共有を行なう Samba、SCM の集中リポジトリーの作成、この他、Apache や BTS の導入を行なう。しかし、今だから白状するけれども、当時のぼくはサーバーを作ったことがなかった。一番簡単とされる Samba や Apache すら自宅マシン (Linux) で動かしていなかった。それなのに、よくもまぁ LDAP サーバーを作りましょうなどと... 当時は周りに「大丈夫ですよ」などと言っていたが、背中には冷汗をかきまくっていた。

サーバー機は無事購入され、ぼくは自身初のサーバー導入者・サーバー管理者となった。案ずるより産むが易し? 初めてずくしだったけれど、大きなボロは出さずにサーバー管理が出来たのではないかと思う。サーバーの管理は休職前まで通常業務と平行で行なっていた。

企画

新商品の企画がまとまらない、という。で、技術系のブログを書いてて (特に社内で隠してはいなかった)、「ギークを目指す」なんて大口を叩いているぼくに白羽の矢が当たった。IT 系の新風を吹き込んで欲しい、という狙いだったのだと思う。

現場に入ってみると、上からの要求が厳しい。その要求を満たしつつ、ユーザーが使いたいと思う商品を作り出す。無理じゃないか? そこで上の要求を一部逸脱する様な企画をいくつも立てた。同時に、上の要求を全て満たすことがどれだけ困難かを説くプレゼンも行なった。当時のトップはロケフリの前田さんだったが、ぼくの意見は通らなかった。逆に企画チームに檄が浴びせられた。

「これは大変なことだよ。とても難しいことは私も分かっている。そこを承知で、無理を言う。何とか企画を作ってくれ」

月日の経ったことだから、言葉は憶えていない。でも大意はこんな感じだったと思う。

ぼくは上は要求の難しさを分かっていないんじゃないかと思ってた。侮っていた。でも違った。ちゃんと要求の難しさを理解していた。その上で、ぼくらを信頼して企画を作れ! と言う。ならばその信頼に応えなくては男じゃない。それから一か月、本気で企画を考えた (ストレスで体調を崩したのはこの直後)。

企画は通った。

アプリ開発

企画が通ったあとは、細かな仕様を決める。その作業の合い間、アプリを開発するチームへと戻された。途中まで仕様と開発の二足のわらじをはいていたけれど、重点は少しずつアプリ開発へと移していった。もともと開発が好きだし、開発に戻る約束で企画に携っていたので、開発に戻れて嬉しかった。

アプリはバリバリのオブジェクト指向の Java で書いていた。比較的チームの縛りが緩かったので、アジャイル開発を試してみた。実際にやったのは TiDD と短いリリース・サイクルだけだけど、実感は良かった。途中、3 人のチームになって共同開発した時期もあって、その時はぼくのやり方に従ってもらった。最初は戸惑い。後半は好評だったと思う (そう信じたい ^^;)。

ぼくの担当していたアプリは、大人の事情で開発中止となり、別アプリの開発に移った。その開発を開始して少しして、ぼくは会社を休職した。

休職から退職

病名は抑鬱神経症。外因性のストレスが原因らしく、鬱病に似ている。

ぼくは 2009-07-01 に病気になった。企画の仕事にのめり込みすぎて、休むべき時に休まなかったのが原因だと思う。主な症状はイライラ。イライラの度合いが増すと頭痛・腹痛・吐き気。

通院を始めて比較的落ち着き始めた頃、アプリ開発が忙しくなった。そして気がつけばワーカ・ホリック (仕事中毒)。残業を重ねていないと不安でしょうがなくなった。産業医に、残業を止めるか休職するか、と問われて休職を選択。2010-10-07 から休職開始。

ぼくに与えられた休職期間は一年間。正確には、復職準備期間というのが休職期間に含まれていて、復職できるかどうかの意思確認・担当医承認が数か月前に入る。担当医と相談して、まだ厳しい、ということで相方同意したので、復職に至らず休職期間の満了を迎えた。

あとがき

たった 3 年ちょっとだったけれど、JVCケンウッド (旧・ケンウッド) での生活はとても凝縮されたものだった。会社の合併なんてそうそうお目にかかるものじゃあない。開発では組み込み・Linux カーネル・アプリと幅広い開発に当たらせてもらった。サーバーの管理を導入から行なえたのも得難い経験だった。本当にありがたい。

2011-10-19

ブログ再開

半月近くブログが停止してしまった。今日あたりから、ボツボツと更新を再開するので、どうぞよろしく。

忙しかった理由 — 退職と引越

改めて記事に書くつもりだけれども、10 月の頭に会社を退職した。同時に、それまで住んでいた寮から退寮。退社の手続きと引越の手続きの二つに追われて目の回る忙しさだった。

そんなこんなで、ちゃんとしたネット環境を整えられたのが昨日の夜。

ブログを休んでいる間に、iPhone 4S が発売されるは、iOS5 が出るは、Ice Cream Sandwitch は出るは、スティーブ・ジョブスとデニス・リッチーは亡くなるは (ご冥福をお祈りします)、激動の十月前半だったようで... ちょっと情報に追いつくのが大変。

ともかく、身の回りのことから記事を書いていくつもり。