「ウェブ進化論」という本を読んだ。副題は「本当の大変化はこれから始まる」。ちくま新書の今月 (2006-02) の新刊で、geek な人たちがこぞって絶賛してる。著者は梅田望夫。ブログとして CNET Japan の英語で読むITトレンド (連載終了済) とはてなダイアリー My Life Between Silicon Valley and Japan を持つ。
この本、確かに面白い。昨日、電車内の読み物にと買ったのだけど、電車から降りたら一章しか残ってなかった。clmemo@aka を読んで下さってる方々は、きっとウェブの世界に足を突っこんでる方々だと思うから (そんな自覚はない? いえいえ、十分ですよ)、ちよいとレビューしてみやう。
まず、題名の「進化論」という言葉だけれども、サルから人へと進化したというように、むか〜しのウェブから今のウェブへとどう進化が起きたか、というようなことは書いてない。ここ二、三年、ウェブは大変大きな変化を迎えていて、著者はこれからの十年で変化が目に見えるようになってくるだろうと書いている。この、これから起きる大変化を「進化」と促えて本のテーマに据えてる。言い換えると、今までのウェブの進化よりも、これから起きるウェブの進化 (若しくは今起きているウェブの進化) がこの本の主題。
つまり、ウェブの世界で何が起きていて、これからどんな変化が起きるかを論じている。
この本の読者は、ウェブについて興味を持っている人。検索エンジンと言えば Google というような人達だと思う。でも、ぼくはこの本を検索エンジンなら Yahoo! とか、はてなって何? と言うような人達にも読んで欲しい。
ウェブ進化論を絶賛する人達
今、ウェブは変わり始めている。目先の利いてる人達は、もうその変化に気付いてる。ここで言う「目先の利いてる人達」とは、「Google がすごい」「はてなって面白い」「Gmail を使ってる」「ブログのトラックバックってね」ということを言ってる人達。
ところが、最近のウェブの変化は一言で言うのが難しい。「産業革命は蒸気機関」みたいなシンプルさがなくて、いくつかのキーワードが産まれては消えてる状態。例えば、「Web 2.0」「Wisdom of Crowds」「フォークソノミー」「ロングテール」「アフィリエイト」「ソーシャル・ブックマーク」「ウェブサービス」「RSS」「Blog」「Wikipedia」。これらは全てウェブ進化にかかわるキーワード。
目先の利いてる人達は、こういうキーワードをどこかで聞いたことがあるはず。
でも、それが実際どういうものなのか詳しく説明しろ、といわれると困る。今のウェブの変化と、どうかかわっているのか? そう聞かれると言葉に詰まる。「変化」が起きていると感じるのに、言葉に直せない。今の変化を他人に説明できない。そんな、もどかしさがあった。程度の差こそあれ、皆、そんな状態だった。
「ウェブ進化論」は、それらのキーワードを丁寧に説明しながら、「進化」におけるキーワードの立ち位置を明確にしている。
だからこそ、geek と呼ばれる人達はこの本を絶賛するのだと思う。推理小説でいうと、手がかりは全て提示されてるのに犯人が分からない一般人 (読者) とそこに現れた名探偵 (ウェブ進化論) のようなものかしらん。今のウェブは少し前のウェブと変わったよねー、と思う方は是非読んで欲しい。
ウェブに興味がない人達
「Google なんて知らないわ」「Amazon で買い物するのは怖いよ」「HTML はさっぱりねぇ」「(マウスを動かして) 先生、机が足りません」という人にもウェブ進化論を読んで欲しい。
ウェブの変化は、実生活にも影響を与え始めてる。買い物をする、地図を見る、天気予報を見る、コラムを読む、友達の近況を知る、と色んな事が手軽にできるようになってきた。そして、ウェブ進化論で強調されているのが、サービスの質自体も変わって来ているこということ。今まで、何億もかけてたシステムが数十万円程で出来てしまう。ビジネスのやり方が変わってきている。(ぼくらの身の回りと関係する) ウェブの世界では、NEC、SONY、東芝、日立というブランド・ネームは、必ずしも「安心」「安全」に直接しなくなってきている。ウェブの変化を知らずに生きていくのは、勿体ない!
ただし、最初は読み飛ばす程度でいい。というのも、Wisdom of Clouds とか、いくつかのキーワードが突然現れるから。一通り読むと、重要なキーワードについては説明が成されているので、とりあえず読み終える事を優先して欲しい。読み終わったら、Google とかはてなのサービスを使いたくなるはず。ネットで (clmemo@aka 含む)、難しいと思ってた用語が分かるようになってるはず。
最後に、ウェブ進化論は本のタイプでいうと、キーワード解説型のレビュー本になると思う。一つの結論を導くために、序論から論理を組み立ててくタイプの本とは違う (そういう本は結論だけ読むってことが出来るよね)。読み飛ばす頁がなくて、どの章からでも読み始められる。自分が興味を引きそうな所から読み始めても面白いかもしれない。
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる梅田 望夫
by G-Tools
@akaさん、こんばんわ
ReplyDeleteちゃめ=Kamimuraです。
このレビュー、面白かったです。
@akaさんがお勧めする理由がビシバシ伝わってきました。
是非、読みたいですね。
読後はclmemo@akaが百倍面白くなりそう。
社会が変革する時期に、多くの人が憧れを抱きますよね。
例えば、幕末~明治とか、高度成長の始まりとか、既存の概念が壊れ新しい世界が広がっていく時代。
私もそんな時代に憧れていましたが、@akaさんのレビューを読んで「今まさに世界が変わる時代にいるのかも知れん」と思いました。
ご紹介、有難うございました。
ちゃめさん、こんばんは。是非お読み下さい。お勧めです! clmemo@aka も、百倍とは言いませんが、1.5 倍位い面白くなると思いますよ。
ReplyDelete読み終えたら、是非ちゃめさんもレビューをどうぞ ;)