2012-10-07 (日)、二年振りにけろさん邸を訪問した。
二年も経つと、以前聴いた音を忘れてしまう。自分の書きた過去記事は、こういう時に記憶を呼び戻すのに役に立った。ありがたい。
けろさんのオーディオ・システム
前回はプライベートな写真を飾っていたので、スピーカー・システム全景を撮影するのは遠慮したが、今回は部屋が片付いてスッキリとしていたので全景写真を撮ることができた。
ラックの中身はこの通り。
CD プレーヤー・システムを列挙する。
- CD プレーヤー: Marantz SA8400
- DAC: Soulnote dc1.0
- プリ・アンプ: Accuphase C2400
- パワー・アンプ: Accuphase Pro30
- スピーカー: Kryna HAD-35 + muRata ES105A
アンプが Kryna の真空管アンプから Accuphase のアンプに変わっている。その他、細かい変化点を数えれば、スピーカー下に TAOC のオーディオ・ボードを敷いたこと。フォノイコライザー (LP 専用) に soulnote ph1.0 を導入したことが挙げられる。
試聴タイム
コーヒーを頂きながら、試聴タイムに入る。間にオーディオ・トークを挟んだので、本エントリーでも当日の様子のままに記事を書く。
まずは藤田恵美の camomile Best Audio から一曲。以前と比べて空気感が出ている。ギターの余韻がフッと空気の中へ溶けてゆく感じが出ている。また低音の出方が力強い。たいした音量を出してもいないのに、床が震えている。低音の件をけろさんに伝えると、前のアンプと比べて音のレンジが広くなったとのこと。この点は満足なさっているご様子。
Touch二枚目は Christopher Hardy のアルバム Touch から 2 曲目。パーカッション系の音楽。けろさん曰く、全曲同じ感じとのこと。パーカッションの音が目の前を行ったり来たり。「クルクル回って聴こえるところが面白い」とはけろさんの弁。なるほど、音の奥行き・回り込みが感じられる。低音もタイトでアタック感が良く出ている。音楽を楽しみながら、オーディオ・チェックするには良いアルバムかも。
三枚目は荒谷みつるの Natura' Rhythm。ギターの音がビジバシ来てグルーブしている感じ。音が詰まって聞こえるのは、Accuphase のアンプのせいかな?
四枚目はギター繋がりで Joe Pass の Virtuoso。今まではオーディオの良さを引き出す好音質アルバムだったけど、これは録音が悪いアルバム。でも、ギタリストが良いのね。とっても楽しい。
五枚目と六枚目には持参の CD を聴く。まずはギーゼキングの弾くバッハのパルティータ第 1 番。放送録音用で小型のスタンウェイを弾いたとされる。以前、けろさんのオーディオ・システムで聴いた時は、ピアノの音が鋭く澄んでいた。衝撃だった。今、聴く音に以前の「澄」はない。丸い音。でも、これはぼくのオーディオ・システムで聴いている音に近い。う〜ん、以前のオーディオ・システムが原音に忠実でなかったのか? それとも、良い部分が無くなってしまったのか? 分からない。この疑問に答えは出なかった。ただ、以前と比べて細やかなニュアンス (ペダルを踏む音やピアニストのタッチの感触) が伝わるようになっている。これは良い。
続けて、ワルター指揮によるベートーヴェンのコリオラン序曲。さて、新しいアンプに変えて良くなった点・悪くなった点をけろさんに尋ねた。けろさん答えて曰く「レンジは広くなったが、定位が定まらなくなった」とのこと。今までの CD を聴く限り、定位が〜 という不満は感じなかったが大編成のオーケストラを聴いて良く分かった。音像定位が定まらずぼやけている。加えて、ヴァイオリンの音に艶がない。
七枚目は映画「タイタニック」のサウンドトラック。セリーヌ・ディオンが歌う My Heart Will Go On を聴く。この曲は深い低音が入っているし、打楽器もあり、その中でセリーヌ・ディオンの名唱が聴けるので聴いてて楽しい。低音は少々出すぎて、ぼやけているが、以前よりも音のレンジが広がっていることを感じる。
八枚目は青山テルマのダイアリー。今回、唯一の J-POPS。音が右に左に動くのが楽しい。えーと、ただそれだけの CD。
音の改善に向けて
CD を聴き終えたら、LP の試聴タイムとなった。Joe Pass の Virtuoso の LP 盤との聴き比べなど...。ここで、けろさんのオーディオについてコメントをした。
有名なカルロス・クライバー指揮によるブラームスの交響曲第 4 番。乾いた弦。起伏の無い音楽。何が良くないのか分からないけど「詰めが甘い」。クライバーのブラームス 4 番は、もっと心を打つ演奏ではなかったか? なのに何故、こうも心に響かないのか?
All My Tomorrows [12 inch Analog]
そこにかかったのが、キャロル・キッドの All My Tomorrows。けろさん曰く「ボーカルがピシッと真ん中に立つんですよ」。そのボーカルが左に寄っている。アレ?!
幸い Accuphase Pro30 は左右独立にボリューム調節機能が付いている。
「右のボリュームを上げて頂けますか?」
この繰返しで、キャロル・キッドが真ん中に立つ様に設定。
再び、クライバーのブラームス第 4 番を聴き直す。弦に艶が出て、音楽に表情が出てきた。そう! これこそ、クライバーの音楽。けろさんとリスニング・ポジションを交代して音を聴いてもらう。けろさん唖然!!
CD に戻して My Heart Will Go On を聴く。ぼくのメモには一言。「イイ!」。どう良かったのか書いて欲しい (過去の自分よ!)。メモをはしょるほど、良くなっていたんだと思う。
ラストはミュンシュ指揮パリ管によるベルリオーズの幻想交響曲。LP のオリジナル盤。第 4, 第 5 楽章を聴く。この LP 盤はけろさんの宝刀の様なものだけれども、何度聴いても良いね。
食事を前に...
せっかくなので、夕食を一緒に食べましょう。ということになった。といっても時間は 17 時。美味しい店が開くまで 1 時間程、余裕がある。そこで、ぼくがいつもお世話になってるオーディオ・ショップへ。
その試聴室で疑問がよぎる。
「けろさん。Accuphase のパワー・アンプは XLR 入力ですか?」
「そうだよ。プロ用だから XLR 入力だけ。RCA 入力はついてない」
「すると、C2400 から Pro30 へ XLR で繋いでる!?」
「お店の人はそれで大丈夫だと言っていたからね」
「Accuphase の一般向けは XLR が 3 番 Hot なんです。でも、プロ用の XLR は 2 番 Hot なんですね。天下の Accuphase でも、プロ用は流石に 2 番 Hot だと思うんですよ」
二人で iPad を取り出し検索。
「けろさん、ほら、これ。Accuphase Pro30 はやっぱり XLR が 2 番 Hot です」
「つまり?」
「プリ・アンプからパワー・アンプの間で信号が逆相になってます。スピーカーが本来、押し出す所で引くことになってます。逆相になると、定位が悪くなります」
「新しいアンプに替えて定位が悪くなったのは、それが原因?」
「その可能性は大きいですね。Accuphase のプリ・アンプなら位相反転ボタンが付いていたりしますけど」
「お、iPad で調べてみたけど C2400 には位相反転ボタンが付いてる!!」
この後、蕎麦屋でお食事してお別れ。20 時頃にけろさんより、ツイート入電。
位相反転の件確認しました。効果は絶大、キャロル・キッドの口が中央に見え、オーケストラも定位が明確になりました。
Happy!!
あとがき
今度、その良くなったオーディオを聴かせて下さい m(_ _)m。
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