SEM酒場の kuroyagi さんに勧められてた「ザ・サーチ」を読み終えた。副題は「グーグルが世界を変えた」。日経 BP 社による単行本 (437 ページ)。著者はジョン・バッテル (John Battelle)。著者略歴には
ワイアード誌の共同創刊者、インダストリー・スタンダード誌などの創刊者。ビジネス 2.0 などに寄稿する人気コラムニストでもあり、カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズムスクールでも教鞭をとる。
とある。ワイアード誌もインダストリー・スタンダード誌も読んだことないので、イメージ沸かない :P ちょいと検索したら、バッテル氏本人と面識のある方が記事を書いてるのを見つけた。参考になるかな。
さて、本のレビューに入りませう。
この本の主題は「検索」。副題の「グーグルが世界を変えた」は、おそらく原書にはなくて、日本語版で加えられたものだと思う。とはいえ、この本の焦点が「Google」に当たっていることに違いはない。注意すべきは、この本が Google Reader や Google Base を開発している Google という会社のサクセス・ストーリーを描こうとしているのではないこと。むしろ、「検索技術」とそのビジネス・モデルとしての「検索連動型広告」を軸に、その頂点に立つ企業として「Google」を追う立場を取ってる。
そんなわけで、前半に Google はあまり登場しない。最初の 100 ページは検索業界の俯瞰と過去の検索エンジンたちについて。その後 Google の産みの親 (ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン) が登場するけど、すぐに舞台裏にひっこんで、検索連動型広告のはしりになった「Goto.com (現 Overture)」の誕生に話が移る。後半に入ると、明確なビジネス・モデルを持っていなかった初期の Google が AdWords を手に大躍進を始める。企業の成長の中で、Google はプライバシーの問題、上場の問題、組織巨大化の弊害問題に直面する (今も解決されたとはいえないけれど...)。
どの章も面白い。個人的には第 3 章「グーグル以前の検索」の内容をほとんど知らなかったのでためになった。この章で紹介されるのは、アルタビスタ、ライコス、エキサイト、ヤフー。海外での検索エンジン群雄割拠な情勢には暗かったので楽しく読んだ。ちなみにぼくはこれらの検索エンジンを使ったことがない。使わなかった理由はきっと、これらの検索エンジンの日本向けの最適化が弱かったからだと思う。使ったのは、Infooseek や Goo、そして Google。ここら辺、ロボット型検索における「日本語」の壁は厚いのかなぁ... 最近だと、ブログ検索サービスが海外で沢山出ているけど、日本語のブログがインデックスされてなくて使えない。やっぱり日本語を検索できない検索エンジンは使わないよねぇ。興味だけはあるのだけど...
後半の小さなベンチャーにすぎなかった Google が、大きく成長して上場するまでの話は Google 好きなら楽しめると思う。Google も、内部ではいろいろと失敗を繰り返しているし、試行錯誤を続けてる。下手すれば、他のベンチャーと同じく名前すら忘れられていたかもしれない。「Don't Be Evil」という社訓は生まれなかったかもしれない。短期的な宮業利益ばかり求める会社になっていたかもしれない。そうならなかったのは、二人の創業者の偏屈さにあるように本を読んで感じた。ユニークであること。ユニークであり続けること。ユニークであることを怖れないこと。Google 創業者達の熱に触れる一冊と思う。
ref
ザ・サーチ グーグルが世界を変えたジョン・バッテル 中谷 和男
by G-Tools
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