立川に「日本一音響の良い映画館」としてシネマシティがオープンしたのが 1994 年のこと。この動きに対して、音響面に力を入れた映画館も現れて、シネマシティの確固たる有意性も揺らぎ始めた。そこで、「音響日本一」の座を譲るまいと音響設備に更なる力を入れて 2004 年に作られた映画館が、シネマシティの二号館に当たる Cinema Two (シネマ・ツー)。本エントリーでは、この Cinema Two の紹介をしたい。
- see also. 立川 シネマツー (写真いっぱいのレビュー記事)
ちなみに、シネマシティとシネマ・ツーは隣接していない、というより駅から出てからの方向も違う、ので注意。
Cinema Two
Cinema Two は 5 つのシアターから成るシネマ・コンプレックス。シアターには a から e までのアルファベットが振られている。一番大きいのは一階にある studio a で 400 席 (席数には車椅子シートも含む)。以下、b (305 席)、c (182 席)、d,e (179 席) と続く。
音響の裏話は、井出祐昭氏の著作「見えないデザイン」に詳しい。井出氏は Cinema Two の音響設計を担当した人。本には一章を割いて、Cinema Two を作る打診があったこと、建築や内装の専門家たちと、どうやって「最高」を目指すか試行錯誤したかが書いてある。読み応え十分。
見えないデザイン ~サウンド・スペース・コンポーザーの仕事~
井出 祐昭
ヤマハミュージックメディア 2009-01-24
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studio a が一階に在ると書いたので、おやっと思った方もあるかと思う。Cinema Two のロビー/チケットブース/カフェは二階にある。studio a で映画を観る時は二階から階段を下りて一階の studio a に入る。studio b から e は三階以上にあるのでエスカレーターを上る。チケット係は各 studio の前に立っている。初めての時は、チケット係にチケットを渡さずにエスカレーターを上るのにちょっとドキドキ。
素晴しい音響
Cinema Two には合計二回行った。映画と音響についてコメントしたい。
まずは、Cinema Two に行った日と観た映画のリストを挙げる。
- 2012-11-22: ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q [studio a]、劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前・後編 [studio c]
- 2012-11-30: 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前・後編 [studio d]、サウンド・オブ・ミュージック [studio c]
まず圧倒されたのが、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」と同時上映された短編映画「巨神兵東京に現る 劇場版」。巨神兵が現れた時に響く低音。これが本当に地響きの様に腹に響く重低音。他の劇場では「音」が聞こえる感じだけど、Cinema Two は低音が地を這って自分の体に屆く。しかも、こういう重低音って「音」が出てますよ〜、って圧力(音圧)があるもんだけど、Cinema Two ではそういうものを全く感じなかった。どうやったら、こんな低音が出せるのか不思議でしょうがない。
続いて studio c で観た「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」。特に後編ではサブ・ヒロインほむらの涙混じりに訴えかけるような声が胸を突く。とはいえ、少女が叫ぶ声なので少々耳に刺さる。特に映画館の様に大音量で上映している場合はなおさらのこと。ところが Cinema Two では、ほむらの声の聞こえ方が違う。針のように尖るギリギリ直前で、シルクに包んだような感じ。お陰で他の劇場で見る時以上に、映画にのめりこむことが出来た。
「まどか☆マギカ」は日を改めて studio c と studio d で観た。スタジオの大きさで言えば、c が 182 席、d が 179 席でほとんど変わらない。たった一回の比較の印象で言えば、studio c で観た時の方が音響は良かった。ただ、音響装置は電源を入れてすぐに最高性能を発揮しない。これは映画館の音響装置にも言えることで、同じ映画でも朝より夜の方が音が良い。エンジンも少し回して温めた方が良く回るけれども、それと同じと思ってもらえればいい。studio c で観たのは昼の半ばからで、studio d で観たのは昼一の回だった。スタジオの音響に差があるのか、それとも音響システムの「温まり具合」の差なのか、もしくはぼくの座席が全く同じでなかったことが原因なのか? 理由は分からない。
最後に、リバイバル上映されていた「サウンド・オブ・ミュージック」。Cinema Two では最新映画を上映する一方で、各種イベントにも力を入れている。「サウンド・オブ・ミュージック」を映画館の大画面でかつ極音響で楽しむ機会なんてめったにない (その日は「まどか☆マギカ」だけ観るつもりだったんだけど、映画館内でその上映を知り、急いでチケットを取った次第。ちなみにリバイバル上映最終日だった)。あっという間に映画にひきこまれて、音響のことなんか頭からふっとんでしまった。
先進のチケット・システム
シネマシティ、及びシネマ・ツー共通の会員システムとして「シネマ・シティズン」がある。
シネマ・シティズンになると、映画のネット予約 (席のピンポイント予約) が 50 円で出来るようになる。ここまでは、他の映画館と変わらない。むしろ、他の映画館がネット予約無料なことを考えると、割高に思える。
おっ、と思うのは発券機。
予約番号を入力した時の発券スピードは、JR の発券機とタメを張る。このスピードはビックリ。
でも、シネマ・シティズンでネット予約したなら、更に「チケットレス」へと進んで欲しい。一回だけチケット・カウンターに行って、自分のシネマ・シティズンのアカウントと Felica カード (Suica, Pasmo, Edy, Quick pay, waon, nanaco など) を紐付けする。ぼくは Suica を使った。チケットレスの場合の流れは次の様になる。
- ネット予約をする
- 開演前になるとエスカレーター前の入場禁止が解かれるので、そのまま目的のシアター (studio) の前に
- シアター前にはチケット係のスタッフがいるけど、その隣に専用の読み取り機がある。それに Suica をタッチ
- 入場の許可とともに、座席番号が表示される
- あとはシアターの中に入るだけ
記念品としてのチケット半券こそ手許に残らないものの、チケットを発券する手間と、スタッフにチケットを渡す (人気映画の場合は列に並ぶ時間) 時間が短縮される。画面が欠けてるし、縦で撮影しちゃったけど、チケットレスを試した様子をビデオに撮ってみた。12 秒の動画。
やり方が分からないよー、とスタッフの人にぼくが言って、Suica をこの画面下にタッチするだけですよ〜、と返されたのでタッチしている。画面が欠けてるけど、予約したシート番号が表示された。スタッフの人に「最後にここを押して下さい」と言われて、スタッフの人が画面をタッチしてお終い。
楽な上に面白い!!
シネマシティズンと割引について
最後に Cinema Two の会員 (シネマシティズン) と割引について書いておく。
レディース・デイ、メンズ・デイはなし。
夫婦の片方が 50 歳以上なら二人で二千円。障碍者は千円。高校生友情プライス千円。
毎月 1 日は「映画の日」で千円。レイトショー (20 時以降) は 1,200 円。
シネマシティズンは年会費千円。全会員チケット代 1,300 円。女性会員は平日千円 (土日祝は 1,300 円)。ネット予約が可能になる、ただし 50 円必要。
こうやって書いてみると、男性には割高感があるなぁ。うん。
Cinema Two に行って、このすばらしい音響を良しとするか、価値を見出さないか... それが会員になるかならないかの分かれ目かな。ぼくはガツンとやられてしまった派なので、Cinema Two 寄りのレビューを書いた。
なお、最近はやりの IMAX。ぼくはまだ見たことがない。好きな映画が IMAX でやっていないってめぐりあわせが原因。もし機会があれば IMAX と Cinema Two で同じ映画を観賞して比べてみたいところ。
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