楽天は 2 つの電子書籍販売サービスを持っている。一つは楽天がオリジナルで始めた Raboo。もう一つはカナダの Kobo 社を買収して手に入れた Kobo。二つのサービスは全く別のもの。そして楽天は、Raboo のサービス中止を決めた。
平素は、楽天のサービスならびにRabooサービスをご利用いただきありがとうございます。 Rabooサービスは2013年3月31日をもって、サービスを終了することとなりました。 ご利用者様には、突然のお知らせとなりますことをお詫び申し上げます。 サービス終了に関する詳細につきましてはこちらをごらんください。 楽天グループでは、今後もお客さまへより一層のサービス向上に取組んでまいります。
Raboo: 電子書籍のオンライン書店 より引用
一つの会社に二つのサービスはないと思っていたが、楽天はかなり早めに片方を閉じてきた。
Raboo で買った本はどうなるのか? ダウンロード購入した本は引き続き読むことができる。誤って削除した場合は、二度とダウンロードできない。端末が壊れた場合、端末に入っていた本は全て読めなくなる。
ダウンロード系電子書籍販売について、ぼくは国際電子出版 EXPO のエントリーで問題点を挙げていた。
ストリーミングを使わない方法に、「端末登録」と「ダウンロード期間」を定める方式がある (例えば富士通)。ネックはダウンロード期間。例えば、富士通ではダウンロード期間を 1 年と定めている。だけど、電子端末はすぐに古くなる。新しい端末を数年おきに買い替えることになるはず。ぼくの場合、iPad を 2 年に 1 度、新しいモデルにアップデートしている。ここでダウンロード期間が 1 年だと、古い端末で買った電子書籍を新しい iPad で再ダウンロードすることができない。こういった縛りを付けているサービスは使いたくない。
東芝の試みにも驚いた。東芝製の PC/タブレット/スマートフォンに専用アプリが入っている。その専用アプリ以外では電子書籍を読むことができない。東芝が電子書籍事業から撤退したら? 東芝の PC/タブレット/スマートフォンしか持っていないなら? 消費者の囲い込みは良いけれども、やりすぎ。
著作権を保護することは重要だけれども、極端なやり方は消費者離れを引き起こす。音楽業界の CCCD が良い例。もっと柔軟なやり方を模索して欲しいところ。
Raboo は正にこの落とし穴に嵌った。
ぼくは法律の専門家ではないので間違いがあったら指摘して欲しいが、なんでもこういう電子書籍と販売店は個別に契約を結ばなければならないとのこと。だから、Raboo と契約した電子書籍を Kobo に引き継ぐのは契約違反になってしまう。楽天は Raboo で持っているコンテンツも、Kobo のために改めて契約を結び直していると言っていた。法律問題なのか契約問題なのか知らないけれど、そういうことなら Raboo で買った電子書籍を Kobo で読めるようにするのは不可能に違いない。
Raboo の本は DRM がかかっていて、他の電子書籍端末で読めない。この DRM を外すことは可能か? おそらく、この DRM も契約の中に含まれているはず。DRM を外すには、Raboo が今まで販売した全ての本に対して、もう一度 DRM 解除の再契約を結ばないといけないんじゃないかと推測する。
今、二つの Raboo の本の救済策を考えてみた。どちらもお金がかかってしょうがない。ユーザーの立場としては、お金を払って買った本なのだから、ちゃんと最期まで面倒を見て欲しい。企業の立場としては、そこにそんなにお金をかけられない... ということなのかな。
今回は Raboo の問題だったけど、同様の心配は富士通、東芝にも付きまとう。電子書籍は、販売サービスの問題、端末の問題、電子書籍フォーマットの問題を次第に解決しつつある。一番の問題は、「契約」の問題になるんじゃないかな。
Google や Amazon がやっている様なクラウド型でかつサービス自体が終了しなさそうなものが今はベターな解なのかもしれない。願わくば、「本」と同じ様に一度買ったらいつまでも読める安心を与える仕組みを作って欲しい。
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