2011-08-01

オーディオ・オフ会 ばーそん邸訪問

ぼくのオーディオの師匠とも言えるばーそんさんのお宅に、2011-07-01 訪問した。引越をして、新しい部屋に合わせてセッティングを行ない、ある程度まとまった音が出る様になったので、お誘いを受けた次第。

ばーそんさんのメイン・システム

ばーそん邸訪問
ばーそん邸訪問

ばーそんさんのメイン・システムのうち CD 用システム機器を書く。LP 用のシステムは、ぼくが分からないので割合。

  • CD プレーヤー: Soulnote cd1.0
  • プリ・アンプ: Soulnote sa1.0
  • パワー・アンプ: VTL IT-85
  • スピーカー: ViV Laboratory evanui μ

Soulnote は日本の新進メーカー。CD プレーヤー、アンプ、スピーカーと幅広く商品展開している。VTL はドイツのメーカーで、ノアが輸入代理店をやっていたが現在は取り扱いを止めている。ViV Laboratory も日本の新進メーカー。スピーカーのラインナップが揃っている。

ラックは Quadraspire Q4D を使用。ケーブルの類で色付けするのを好まない。

感想

Soulnote も ViV Lab も、モニター調でスピードが速い。音場はスピーカー間に広がり、非常に高解像度でスピードの速い音楽再生を行なう。ボーカルはクッキリ・ハッキリ。女性ボーカルも男性ボーカルも苦にせず聴かせる (男性ボーカルが苦手なオーディオ・システムは時々あるんだけどね)。ピアノの音はピアニストの打鍵が目に見えるよう。

最初聞いた時、音像が中央に寄らず、左側の音場がスッキリとしていなかった。右側のスピーカーは、スピーカーの外側まで音が広がって聞こえるのに、左側のスピーカーは音が広がっていかない。オーケストラ物を聞くと、大抵主旋律を奏でる第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリンは左側に配置されているので、レフト・スピーカーに音の広がりがないとオーケストラ曲全体の楽しみが半減する。加えて、ヴァイオリンの響きも伸びきっていなかった。

どうしたものかとばーそんさんと相談して、色々試した結果、レフト・スピーカーを左側の壁から離せば良いことが分かった。evanui μ は 360 度に音が飛ぶので、壁からの影響も考慮に入れなければならなかったらしい。加えて言えば、右のスピーカーは右の壁から遠く離れているのに、左のスピーカーは左の壁の近くに置いてあった。その非対称性も良ろしくなかったらしい。ほんの 10 cm かそこらスピーカー全体を右側へズラすことで不満点は解消した。音像は中央に出来たし、オーケストラのヴァイオリンもよく響いて管弦楽曲が別物のように良くなった。

不満を一点だけ挙げれば低音不足。evanui μ はサイズとしてはブックシェルフ型スピーカーと同サイズ。トールボーイ型や大口径ウーファーを持つスピーカーと聴き比べると、低音の量感に乏しい。これは、全てのブックシェフフ型スピーカーの傾向と言っても良いので、evanui μ が特に劣っていることにはならない。

CD の感想は 2 枚分だけ。

イーグルスの「Hell Freezes Over」(ライブ盤) から「ホテル・カリフォルニア」。冒頭の拍手・口笛の臨場感が素晴らしい。一人一人の歓声を聞き分けられるほど。ドンッと入るキック・ドラム (?) の音は、もう少し量感が欲しいところ。アコースティック・ギターの響き、ウッドの響き、ヴォーカルの力強さ、人の立ち位置は絶妙。

「The 20th Century Maestros」(40 枚組) からメンゲルベルグの指揮するチャイコフスキーの「大序曲 1812 年」。

モノラル録音。録音はかなり古いが、ニュアンスを精一杯引き出してくれる。メンゲルベルグの演奏は、細やかなニュアンスが命なので、これは非常に良い。「1812 年」の聞き所でもある空砲の音は、もともとマイクに入りきっていないのだけれども、本システムでは音が埋もれて鳴っているのかどうかもよく分からなかった。

感想

低音の量感以外に不満を見出し難いオーディオ・システム。スピード感や定位の良さは、複数のスピーカー・ユニットを持つ「トールボーイ」タイプより、一つだけのスピーカー・ユニットで鳴らすフルレンジ型スピーカー (evanui μ もフルレンジ型の一つ) の方が良い。その上で、ヴォーカルの細かいニュアンスから、アコースティック楽器の各々の響き、そしてオーケストラの広大なスケール感も表現する。

バランスの良さも魅力。低音の量感だけはいかんともし難いけれども、ブルーズも聞ける、ビートルズも聞ける、女性ボーカルも聞ける、ロックも OK。ジャズのピアノ・トリオも楽しめるし、クラシック音楽も全般的に不満がない。ピアノもヴァイオリンも室内楽も管弦楽もコーラスも不満なし。こういうオーディオ・システムを求めると 500 万円位いかかっちゃう。そこを全体的にレベルを下げて、なおかつ音楽が楽しめるオーディオにしちゃってるところが「バランスが良い」。

例えば、何かしらオーディオ・アクセサリーを追加して、ボーカルだけ映える様にすることも出来るはずなのに、敢えてそれをしない。やらない。この全体を見る目 (というか耳) が「音楽を楽しく聴ける」オーディオ・システムづくりになっている。一歩踏み外すと、音楽を楽しむより、オーディオで「良い音」を模索するばかりになる所を踏みとどまっている。

音楽好きとオーディオ好きのバランスの取り方に脱帽。

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