2011-05-25

「人身事故で遅刻する」リスク管理とコスト管理

「いつも始業直前に出社して、人身事故があったら遅刻する」という人がある。

ここでその是非を問うつもりはない。そうではなくて、この命題をリクス管理とコスト管理の両面から考えてみたい。

なお、本エントリーでは「電車通勤」をしている人を対象とする。家と会社が近くて、徒歩や自転車で通勤している人は考えない。会社の最寄駅には一時間前に着いているけど、それから始業時間ギリギリまでカフェで一服する様な人も考えない。また、その会社はフレックス制度を導入しておらず、始業時間がちゃんと定まっていることを前提とする。

リスク管理

会社では、「始業時間」に会社に居ることが就業規則で定められている。

「始業直前に出社」するということは、何かアクシデントが起きると「確実」に遅刻する。これは一つのリスク。

会社人はこのリスクをちゃんと管理しないといけない。

リスクを少なくする方法はいくつかある。一番よく使われるのが、時間に余裕を持った出社を行なう方法。30 分前位いには出社する人が多い。

コスト管理

次にコスト管理。

時間に余裕を持って出社すると、始業時間までアキ時間が出来てしまう。このアキ時間は貴方にとって有用か? このアキ時間が貴方にとってどれだけのコストになるのかを考えよう。

そして、「始業直前出社」スタイルを貫く場合のコストも考えてみよう。貴方が使っている路線で起きる人身事故の確率は? 遅刻をした場合、業務においてどれ位いのマイナス・コストとなるのか? また、人間関係においてどれ位いマイナス・コストとなるのか?

以上のコストをちゃんと計算してみよう。

中間報告

リスクも含めてコスト管理して、それがプラスならば「始業直前出社」スタイルを続ける。マイナスならば、改善策を考える。

集団心理のコスト

遅刻をした時の、人間関係におけるマイナス・コストについて一言。ここでは業務におけるマイナス・コストは考えない。

「始業直前に出社する人が、○○で遅刻した」。この事実に憤る人は多い。何故かと聞けば、「自分はリスク管理をちゃんとしているのに、彼はやっていない」という感情的な理由をよく聞く。どうしてそれが嫌なの? と突きつめて問うと、「自分は嫌なことをやっているのに、彼はしていない」という意見に落ち着く。

少し話をズラすけど、始業時間前に出社することは問題ない。始業前にメールを見るなど、就業することも悪くない。ただし、始業時間前の就業は「残業」扱いになる。残業指示がなければ不正労動。これは立派なルール違反。

奇妙なことに、こちらのルール違反を咎める人達は少ない。多くが容認するか無視している。どうやらこれは、みんながやっているから気にならないらしい。日本人的な「長い物には巻かれろ」的発想。

ここで話を戻す。「長い物には巻かれろ」な人達の集団心理はとても強い。先に、遅刻した時の「人間関係のマイナス・コスト」を計算する様に書いた。このコスト計算で重要なのは、集団心理を加味したコスト計算を行なうこと。貴方の仕事が 2 人だけのチームで構成され、チームごとに部屋が割り当てられているなら集団心理は考えなくていい。でも、10 人でまとまって仕事をしている場合は十分気を付ける方が良い。

コミュニケーションのコスト

貴方のやり方に対して意見する人もあるだろう。

貴方はコスト計算の結果を話し、同意を求める (貴方に十分なコミュニケーション能力があるとしての話だけれども)。

相手が納得してくれた時は良い。問題は相手が納得してくれなかった時。何故かは知らないが、意見した人は「自分が無視された」様に感じる。この場合、コミュニケーション能力がないのは相手方なのだが、残念なことに「コミュニケーション失敗」というマイナス・コストが上昇する。

結論

さあ、「始業直前に出社」することのコストは出たかしらん?

  • 生活におけるプラス・コスト
  • 業務におけるマイナス・コスト
  • 人間関係 (集団心理を含む) におけるマイナス・コスト
  • コミュニケーション不全が引き起こすマイナス・コスト

これらを計算して、プラスになるなら良いね。ライフ・ワーク・バランスが取れている感じ。ただし、リスク管理は欠かさない様に。「重要な会議が始業直後に予定されている」日などはマイナス・コストが急上昇する。そういう場合は確実な出社を心掛けよう。

さて、ほとんどの場合コスト計算はマイナスになると思う。コストがマイナスであることを認識した上で、今までのやり方を通すのは賢くない。出社時間を早める。出社時間は早めないけど、カフェなどで自分の時間を作る。Twitter などを使って、始業前から同僚とコミュニケーションを増やし人間関係に関わるマイナス・コストを下げる。何かしら「自分が変わらない」といけない。

リスクとコスト

リスクとコストを考える問題ってゴロゴロ転がっている。

何故、「始業直前に出社する」人を例にしたかと言えば、ほとんどの人がそのリスクとコストをちゃんと考えていないであろう命題だったから。身の回りにゴロゴロしてる事例なのにね。

リスク管理・コスト管理が重要という話は耳タコだけれども、いろんな事に応用が利くよと書きたかった。そして、人間関係や集団心理に関するマイナス・コストについても取り上げたかった。コミュニケーションもコストとして重要な要素だということも示したかった。

このエントリーが、リスク管理とコスト管理を身近にする一助となったなら嬉しい。

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