2013-09-29

「スタンフォードの自分を変える教室」(ケリー・マグゴニガル) 〜 意外と自分のことが分かっていないことを知る一冊

友達から「スタンフォードの自分を変える教室」を貸りて読んだので感想を書く。

著者はケリー・マクゴニガル。スタンフォード大学の心理学者。原著名は The Willpowor Instinct; Based on the Wildly Popular Course of Stanford University。2012 年発売。定価 1,600 円。

スタンフォードの自分を変える教室
スタンフォードの自分を変える教室

マクゴニガル女史の心理学の授業を元に書籍化したのが本書。一つ一つの章が、過去の「心理学の研究」の紹介と実践例から成り立っている。本書の良さは、「研究」の選択の良さに在る。自分が正しいと思っていたことが逆効果を生むとか、自分の決意に反してうまく意志がつらぬけないことにちゃんとした理由付けがあるとか、目から鱗が落ちる。また、「意志」をつらぬくに当たって、具体的な対処方法が示されているのも良い。

本書で紹介する事例の根拠として、実際に心理学の実験結果も紹介している点も素晴らしい。自分の体験談を元にした本ではなく、どちらかというと心理学における (特に) 「自己変革」における俯瞰的な研究紹介を、平易な語り口調で書き記した本と言える。

扱う内容は目次から類推できる。目次と副題を載せておく。

  1. やる力、やらない力、望む力 —— 潜在能力を引き出す 3 つの力
  2. 意志力の本能 —— あなたの体はチーズケーコを拒むようにできている
  3. 疲れていると抵抗できない —— 自制心が筋肉に似ている理由
  4. 罪のライセンス —— よいことをすると悪いことをしたくなる
  5. 脳が大きなウソをつく —— 欲求を幸せと勘違いする理由
  6. どうにでもなれ —— 気分の落ち込みが挫折につながる
  7. 将来を売りとばす —— 手軽な快楽の経済学
  8. 感染した! —— 意志力はうつる
  9. この章は読まないで —— 「やらない力」の限界

本書は学ぶところが多い。簡単なところでは、第一章の「瞑想」のやり方。面白いところでは第四章の「やることリスト」がやる気を奪う、など。ちょっとギョッとするけれども、一読、ほうそんなものかと納得する。

友達から借りた本だけど、これは一冊、家に買い置きしようかと思ってる。

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