2011-12-21

Luxman×Stereo のデジタル・アンプ LXA-OT1 を鳴らしてみる

上記エントリーの続き。デジタル・アンプ LXA-OT1 に安価なスピーカーを組み合わせて鳴らしてみる。

スピーカー

値段を考慮して、安くてコスト・パフォーマンスの高いとされる 3 つのスピーカーに繋げてみた。

イギリス・Cambridge Audio Minx Min10。オープン・プライス。アマゾン価格: 19,000 円。

ケンブリッジオーディオ ブックシェルフ型スピーカーミンクス【ハイグロス・ホワイト・1本】Cambridge Audio MIN10/WHT

デンマーク・Tangent EVO。37,800 円。

tangent EVO (GRE)グリーン コンパクトスピーカー(2本1組) タンジェント エヴォ

デンマーク・DALI ZENSOR 1。37,800 円。

DALI スピーカーシステム  ZENSOR 1 ライトウォールナット ZENSOR1

使用機器と音出しまで

LXA-OT1 で鳴らすスピーカーとして、Cambridge Audio の Minx Min10 を購入した。このスピーカーには音展で出会った。とても小さなスピーカー。でも、音展でオーケストラを鳴らすデモを聴き、かなり心をゆすぶられた。Stereo 本誌発売より少し前のタイミングで入荷するようオーディオ店に注文をかけた。

2011-12-21 Stereo 誌発売。楽天より本誌到着。アンプを組み立てる。

2011-12-22、LXA-OT1 を持ってオーディオ・スクエア相模原店へ行く。既に到着していた Minx Min10 を購入。LXA-OT1 と Min10 に合うスピーカー・ケーブルの選定にかかる。LXA-OT1 はスイッチ式ケーブル端子なので、太いスピーカー・ケーブルは使えない。最近評価が高いと聞くナノテック・システムズの SP#79 Special (997 円/m) を 2m 購入。

これで、アンプ、スピーカー、スピーカー・ケーブルが揃った。お店から CD プレーヤーに Rotel RCD-06 SE (89,250 円) を借りる。これは試聴室の中からパッと取っだだけで、深い意図を持って選んだわけではない。

ROTEL(ローテル) ステレオ・コンパクトディスクプレーヤー RCD-06SE

アンプもスピーカーもケーブルも、購入直後は良い音が出ない。いわゆる慣らし運転が必要。Nordost のシステム・チューニング & セットアップ用 CD にバーンイン (いわゆる慣らし運転) 用音源が入っているので一回それを再生する。約 20 分。本当はもう少し時間をかけて馴染ませたいところだけれども、時間が潤沢にあるわけでもないので、このまま試聴に入る。

ノードスト システムチューニング&セットアップ用ディスクNordost TD1(ノードスト)

試聴ディスク

(a) エヴァ・キャシディのアルバム「Imagine」より「テネシー・ワルツ」。

Imagine

女性ヴォーカルを聴く。伴奏につくギターの音もチェック。エヴァ・キャシディのテネシー・ワルツは思い入れたっぷりに歌い上げられていて、胸が熱くなる。

(b) ロジャー・ノリントン指揮、モーツァルトのレクイエムより「怒りの日」と「奇しきラッパの響き」。以降「モツレク」と略記。

モーツァルト:レクイエム(ドルース版)

同曲の聞き所については、過去エントリーを参考にされたし。

セッティング

オーディオ・スクエア相模原の小試聴室を借りた。スピーカー・ケーブルが各 1m しかないので、あまり距離は取らない (取れない)。机の上に CD プレーヤーを置く。

Rotel RCD-06 SE

同じ机の上にアンプを載せて、ケーブル類を結線。横から見ると、ケーブルの重さにアンプが少し浮き上がっている。アンプが軽いからしょうがない。

LXA-OT1 横

ケーブル挿入後のアンプ背面。

LXA-OT1 背面

システム全景はこんな感じ。

オーディオ・システム全景

音を鳴らしてみる。

まずは Minx Min10 でテネシー・ワルツ。小さなスピーカーだけあって、軽々と鳴らす。ギターのアタック感が良く出ている。続いてモツレク。合唱に奥行きがない。弦楽器の質感が出ていない。低音は量感こそないものの、深みのある音がちゃんと出ている。オーケストラのスケール感が出ているのにはびっくり。バランスも良い。全体的にニュアンス不足を感じるが、Min10 自体が購入直後の新品なので、もう少し長い目で見て評価し直したい。

2 番手は Tangent EVO。テネシー・ワルツではグッと雰囲気が出てきた。音楽の空気感というのか。エヴァ・キャシディの心が曲に入り込んでいるのが伝わって来る。モツレクは無難に鳴る。一点マイナス・イメージを受けたのは、低音が少し膨らんでいること。EVO は小さなスピーカーだけれども、それでも Min10 と比べると倍近く大きなスピーカー。カラフルで部屋とのコーディネートも考えられている。今回 LXA-OT1 で聞き直してみて、改めて良いスピーカーだと思った。

最後は DALI Zensor 1。最近オーディオ雑誌で非常に高い評価を受けている。値段は奇しくも Tangent EVO と同額。テネシー・ワルツを聞いて、EVO より 1 つレベルが違うと感じた。音の厚みが 1 段上。歌い終わりの余韻も、ス〜ッと消えていく。Min10 や EVO では聞こえなかった余韻。たまらない。低音も EVO と比べると締まっている。モツレクをきくと迫力満点。別格の「オーケストラ」を再生してくれる。入門用には文句なし。

DALI Zensor 1 の不満点を挙げるなら、入門用のレベルを越えてしまったこと。バカな比較とは思うけれども、例えば 30 万円を越えるトールボーイ・スピーカーと比べるとイマイチ。他のスピーカーだと、こんな比較なんて頭にも浮かばない。でも Zensor 1 は下手に性能が良いものだから値段を忘れてつい比べちゃう。これが Minx Min10 だと —— 楽器のリアリティーがないとか不満はあるにしても —— スケール感が出ていて全体のバランスが良く、オーケストラが楽しい。アンプの性能が良すぎて「上」の領域に入ったのか、アンプの性能が低くてオーケストラを鳴らすには不満が出るのか、それともスピーカーの特性なのかは分からない。ただ、LXA-OT1 と Zensor 1 の組み合わせを、(メイン・システムで高いコンポを使っている人が) セカンド・システムとして導入する場合は、ちょっと注意する方が良いかもしれない。

あとがき

今回は LXA-OT1 に合わせて安目のスピーカーと組み合わせて、アンプの実力を聞いてみた。総合すると、「小型ブックシェルフ・スピーカー」ではスピード感・アタック感は高く、音像定位は並、低域の量感・解像度は低め。

できればトールボーイ型スピーカーや鳴らしにくいスピーカーでも実験してみたかったが、体力が尽きて出来なかった。

LXA-OT1 はスピーカーを選べば十分以上に音楽が楽しめる。付録とは思えない素晴らしいアンプだと思う。

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