「人は意外に合理的」を読み終えた。副題「新しい経済学で日常生活を読み解く」。原題「The Logic of Life: Uncovering the New Economics of Everything」。作者はティム・ハーフォード (Tim Harford)。出版社はランダムハウス講談社。ページ数 368。ハードカバー。定価 1,890 円。
本書は、AMN とランダムハウス講談社がブロガー向けに「限定プレゼント」していたもので、運良く抽選に当たって手に入れた。2008-11-20 頃のこと。それから遅々と読み進めて、ようやく今日読了。3 か月もかかった。
感想を一行で書くなら、「読むのが大変だったけど、面白かった」。
「人は意外に合理的」は経済学の本。でも、専門書じゃあない。一見不合理に思える事柄を、「経済学」の研究がこんな風に謎解きをしてますよぉ、って噛み砕いて紹介してくれる。
読み始めると少し難しく感じるかもしれない。内容が内容なだけにね。取っつきが悪い。世の中って、シンプルを組み合わせたら複雑になっちゃいました、ってことが多い。この本は、「複雑なように見えて、実は〜」って話の進め方をするものだから、最初の敷居が高くなっちゃう。逆を言えば、最初を読み切れば後は面白く読み進められる。
個人的に面白かったのは、第 2 章「ラスベガス」。ポーカーとゲーム理論のお話 (この章で出てくるテキサス・ホールデム・ポーカーの説明は、life@aka: 007 カジノ・ロワイヤルで使われたポーカー・ゲーム「テキサス・ホールデン」をどうぞ)。ポーカーで行なう「ブラフ (はったり)」は合理的と言う。以下、ゲーム理論を作ったノイマン氏の言葉:
「ブラフする動機として考えられる要因は二つある。一つは (実際には) 弱い手を強い手であるという (見せかけの) 印象を与えることであり、もう一つは (実際には) 強い手を弱い手であるという (見せかけの) 印象を与えることである」
ゲーム理論だけ説明されると学術書になっちゃう。つまんないよね。でもプロは「ゲーム理論を知らずに」、ゲーム理論の結果に辿り着いている。そう言って、ワールドシリーズ・オブ・ポーカーの 1972 年の決勝とか、1988 年の最後の手、とかを紹介してくれる。俄然、面白くなる。
この語り口。話の進め方。それが本書の魅力。
あとがき
「経験を積むと、人は合理的な判断を下すやうになる。」
実は「離婚が増えた」のも、「CEO が給料をもらいすぎる」のも、「差別が発生する」のも、「都市に住みたがる」のも、全部「合理的」な判断があってのこと。かなり目から鱗な本だった。
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