2015-03-09 (米時間)、Apple は Spring Forward イベントで「新しい MacBook」を発表した。2015-04-10 発売。12 インチ・サイズの Retina 対応 MacBook。MacBook Air とも MacBook Pro とも違うカテゴリー。そして、ティム・クックが「Reinvent the notebook (ノートブックの再発明)」と語ったように既存のデバイスをバッサリ切り捨てた新デザイン。刺激的。
MacBook が CD ドライブをなくして世間に衝撃を与えたのも今は昔。Apple は「新しい MacBook」で更にドラスティックな変更を加えてきた。それは、ディスプレイ用端子 (ディスプレイ・ポート/Thunderbolt/HDMI)、電源ポート、USB 端子 (MacBook Air で 2 つ、Pro で 3 つ) といった複数の端子を一つにまとめたこと。
MacBook シリーズの魅力の一つでもあった MagSafe はなくなった。充電中は外部ディスプレイに繋げない。USB キーボード、USB メモリー、USB HDD、USB プリンター etc. USB で繋がっていた機器も端子の数が一つだけでは使えないにも等しい。今後、USB-C に対応したハブが新しい Mac 用にリリースされると思うけど、「ハブ」がないと今まで通り使えないというのは厳しい。
USB で今まで繋いでいたキーボード、マウス、プリンター、NAS は全て Wi-Fi もしくは Bluetooth を使った「無線」技術を使おう、という Apple の意志が伺える。外付けディスプレイ・ポートと電源ポートまで一緒にしてしまったのは、もはや外付けディスプレイを使わない「でしょ」という仄めかしか?
ノート PC に外付けディスプレイを取り付けて大画面を手に入れ、自分用のキーボードやマウス、トラックパッドを使っている「開発者」には辛いマシンとなった。特に USB キーボードしかない Happy Hacking Keyboard や Kinesis キーボードの使い手には死の宣告にも等しいものがある。(確かに USB キーボードを Bluetooth 化するガジェットは出ているけど、完成度がいま一つ)
新しい MacBook は、MacBook Air 以上に「持ち運ぶ」ノート PC を到達点にしているのかもしれない。そう考えると、外部ディスプレイや USB 端子がなくなってしまったことも受け取められる。「開発」にも使われるノート PC として MacBook Pro との棲み分けが進むのか? MacBook Pro の動向が気になる。
キーボード、トラックパッド、バッテリーの進化
新しい MacBook は、「reinvent」の名に恥じぬノート PC の「細部」にも手を入れてきた。
一つ目はキーボードで、「バタフライ構造」を採用し、キーの押しやすさを改善するとともにキーそのものの厚みも減らした。
二つ目はトラックパッド。タップ、マルチタップ、ピンチに加えて「Force Touch」という新しい概念が追加された。これは、トラックパッドの「深押し」に対応する技術。「浅い」タップと「深い」タップに別々の機能を割り当てることが出来る。もしかしたら、Command+tap が Force Touch で置き換えられるかもしれない。
三つ目はバッテリー。バッテリー・シートを薄く重ねる技術を導入した。この技術により、より広い範囲までバッテリーを敷きつめることが可能になり、同じ容積に対してより多くのバッテリーを積めるようになった。
これらの新技術は他の MacBook シリーズにも流用可能で、MacBook Pro は Force Touch の採用を既に決めている。
落ち穂拾い
新しい MacBook で気になる点をいくつか拾っておく。
- MacBook Air (1.08kg) より軽い 920g
- 最厚部分の厚みは MacBook Air (17.3mm) より薄い 13.1mm
- MacBook シリーズ初のファンレス
- 13 インチ以下のサイズで初めて Retina 対応
- Intel Core M を採用
- 9 時間のウェブ・ブラウジングを可能にするバッテリー性能
- 色は 3 色展開 (シルバー、スペース・グレイ、ゴールド)
あとがき
「開発用」マシンとしての MacBook としては不安が残るものの、持ち運ぶ「ノート PC」としては MacBook Air 以上に「特化」してきたマシンと思う。値段は 148,800 円からと Retina らしい価格で、物欲かられる身としては悩み所。
No comments:
Post a Comment