人生を決めた15分 創造の1/10000
奥山 清行
武田ランダムハウスジャパン 2008-05-24
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「人生を決めた 15 分 創造の1/10000」は、イタリア人以外で初めてフェラーリのデザインを任された日本人・奥山清行氏が自分の「仕事の仕方」について書いた本。帯には「奥山清行、世界流仕事術」とある。
定価 2,625 円。152 ページ。
値段の割にページ数が少ないと思うかもかしれない。でも、内容を知れば値段に見合っていると納得できるはず。本書の構成は、奥山氏の文書が半分、残り半分は奥山氏の作品。ここで言う作品は、奥山氏が出がけた商品の写真であったり、そのデザイン画であったり、プロトタイプのスケッチ画であったり、没になったデザインであったり、いつかやりたいと思っている事をメモしたラフ・スケッチであったりする。完成された商品は市場で見ることができるけれど、その前段階のスケッチ画は本来門外不出なわけで非常に貴重。特にスケッチ画のメモに、細やかな配慮を知ることができる。デザインを目指している人だけでなく、「物作り」をやっている人間なら、このスケッチ画だけでも 2 千円出す価値がある。
奥山氏の文章も面白い。一般に成功者の本は「自分がどうやって成功したか?」を他人に説明する形を取ることが多い。しかし、本書は違う。確かに奥山氏が過去に何を考え、何がターニング・ポイントになり、どうして成功に繋がったが書かれている。でも、本書はそれだけじゃない。これから奥山氏自身がやりたいこと、願っていること、そしてそれらをどうすれば良くできるかを自問している。奥山氏にも答えは出ていない。奥山氏はいつも「考えて」いる。そして読者にも、「考えて」欲しいと願っている。考え行動し続けないと成功はない。そういうスタンスな本だとぼくには感じられた。
本書の読み方としては、奥山氏の考えで合わない部分は切り捨てる。合う部分は真似てみる。奥山氏の理想に対して、自分も目指したいと思えば目指す。そんな感じで良いと思う。この本は上から目線の本じゃなくって、「世界の奥山清行」と「普通の個人」との差なんて感じずに読む本だと思った。
「仕事術」という具体的なものよりも、もっと深い何かを語りかけてくる本だと思った。
蛇足
本書は、奥山氏がデザインしたオフィス・チェアー「Xair」のブロガー・ミーティングに参加した折に頂いた。
ブロガー・ミーティングでは、奥山氏のお話しを聞くことができた。内容は上記過去エントリーに書いてある通り。一部、本書で書かれていることにも触れている。興味があれば、どうぞご一読下さい。
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