実家の CD プレーヤー (20 年もの) が限界に近づいて来たので、自分の CD プレーヤー を差し出すことにした。ぼくが使っているのは、CEC の CD3300R。定価 47,250 円。
これを機に、自分の CD プレーヤーを 10 万円台のものにアップグレードを企てる。そこで、色んな CD プレーヤーを比較試聴したので、参考にメモを残しておく。なお、比較試聴は 3 回やったので、エントリーも 3 つに分ける。
このエントリーを読む前に...
オーディオ装置は、人の趣味・趣向が多分に発揮されやすい。そのため自分が良いと思う製品を、他人が気に入らないことはままある。また、繋げているアンプやスピーカーとの相性、試聴場所の環境だけでも、良い製品を見逃しがちになりやすい。
そして、一番の問題が、このエントリーが書いているぼく自身がオーディオに精通していないこと。音が変わるのは分かるんだけど、それを上手く言葉に表現できない。より上品に音が鳴るやうになったのを、元気がなくなったと感じているかもしれない。
だから、このエントリーの感想は「良い」という表現に注目して読んで欲しい。このエントリーを読んで、「あの CD プレーヤーはダメなのか。なら試聴するのはよそう」とは思わないで欲しい。それは単に、ぼくがその CD プレーヤーの良さを見つけられなかっただけなのかもしれないから。「この CD プレーヤーの感想に興味を持った。少し試聴してみようか」と思って頂けたら嬉しい。
エントリーについて
試聴した順に感想を書いた。写真 (といっても Amazon から取って来たものだけど) が手に入るものは、なるべく写真を掲載するやうにした。値段は、Amazon の売価を書いた。一部売価の分からないものは、定価を調べて書いた。
試聴機器
試聴は、オーディオスクェア 相模原店で行なった。
試聴機器は、アンプに LUXMAN L-550AII を、スピーカーに Sonus faber の Minima Vintage を使った。Minima は写真が見つからず残念。
LUXMAN L-550AII 純A級プリメインアンプ L550A2 [241,999 円]試聴ディスク
サー・ロジャー・ノリントン指揮ロンドン・クラシカル・プレーヤーズのモーツァルトのレクイエムから、4 曲目「怒りの日」全曲と続く 5 曲目「奇しきラッパの響き」のソプラノが歌い終わるところまでを試聴した。
モーツァルト:レクイエム(ドルース版)
モーツァルト
曲名リスト
1. フリーメーソンのための葬送行進曲K.477(479a)
2. レクイエム ニ短調K.626(ドルース版)
3. モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618
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CD プレーヤーの比較
CEC CDプレイヤー(シルバー) CD3800-SL [69,300 → 52,000 円]
お店に行ったら、ぼくの持ってる CD3300R はもう生産終了で実機がなかった。まずは、自分の持っている音がどのレベルなのかを確かめないことには比較もできないので、CD3300R の後継と言われる CD3800 を聞く。
まず解像度が低い。音場は左右にそこそこ広いものの、奥行きは出ず平面的。定位も安定しない。
CEC ベルトドライブ方式CDプレーヤー TL-51XR(CEC) [126,900 円]
音の厚みが増して、ボーカル (合唱・ソロ) が力強くなった。解像度も向上。アタック感も良くなった。定位も安定。音場は更に左右に広がり、見通しが良くなった。
CEC ベルトドライブ方式CDプレイヤー TL53Z(CEC) [231,000 → 174,000 円]
音場は、TL-51XR と比べて少し左右に狭く感じるが、一方で奥行きが出るようになった。中域の解像度が向上。弦や合唱の響きも豊かになった。ただし、TL-51XR と比べて高域が弱く感じる。軽いというのか。
- Myryad Z112-CD [157,500 円]
音場が広い。広さで言ったら、CEC TL-51XR よりも上。見通しがすごく良い。高域も聞きやすく、アタック感の表現もいい。響きが自然 (TL53Z の響きの良さが、逆に響きすぎていると思える)。ステージ感が出ているように思える。
1 回目の比較試聴での最有力候補。
- Soulnote sc1.0 [147,000 円]
解像度の高さがピカイチ。今までの試聴機では群を抜く。音場は左右に広く、Myryad よりも奥行きがある (むしろ Myryad は奥行きはない方かもしれない)。当然、音の見通しが良い。ただ、残響感が少し残り、低域が強めでキビキビ感に不足を感じた。
Myryad と並んで、1 回目の比較試聴における最有力候補。
オニキス CDプレーヤー CD-15(ONIX) [130,500 円]
音が薄く、アタック感も弱い。奥行きがなく平面的。ただし、見通しはいい。以上、Soulnote と比べての感想。
全体を通して評価すると、CEC3800 と CEC TL-51XR の間くらいか? 弦の質感は出ないけれど、ボーカルは良く聞こえた。
- Triode TRV-CD4SE [126,000 円]
真空管を使った CD プレーヤー。真空管が温まらないと良い音が出ない。真空管は 5 〜 10 分程で温まる。
音場は、横の広がりは中位い、奥行きは中〜小といったところ。アタック感は弱い。ボーカルには生々しさが、弦と管には滑らかさがある。質感の良さで勝負するタイプかな。
マランツ SACD/CDプレーヤー SA-15S2-N [139,800 円]
端正。その一言に尽きる。アタック感は小さい。音場も左右に中程度、奥行きも中程度。解像度もそこそこ。小さくまとまっている。グッと来るものがないけれど、中庸の美を感じた。ある意味、この価格帯では最もジャンルを選ばない CD プレーヤーかもしれない。
デノン SACD/CDプレーヤー DENON DCD-1650SE-SP [137,000 円]
音場が小さく、見通しが悪い。そして音の押し出しが強い。音のリアリティーを感じられて楽しい。楽器の実在感が高いのはいいことだけど、小さな場所に音がギュッと集まる感じなのは困りもの。
オーケストラを鳴らしているから、そう感じるのかもしれない。ジャパニーズ・ポップスなんかは向くのかも。
マランツ CD/スーパーオーディオCDプレーヤー SA8003-N [78,480 円]
解像度が低い。響きは強めだけど、音は薄めで厚みがない。特にコントラバスのうねりが弱い。そのわりに音場は広く、見通しはいい。今まで聞いてきた CD プレーヤーと比べるとワンランク明らかに落ちるけど、何だかんだ言ってバランス良くまとまっている。
ソニー SACD/CDプレーヤー SCD-XA5400ES [132,000 円]
音場は左右に広いが、奥行きがない。見通しはいい。楽器の実在感が弱く不満。高域が少しキツめ。音の輪郭がはっきりしているが、小さな音を拾えているわけじゃない。
音数の少ないもの。特にボーカルが中心になる曲と相性が良いかもしれない。ジャパニーズ・ポップスとかに合うかも。
ヤマハ CDプレーヤー CD-S1000(S)シルバー CD-S1000S [133,350 → 110,000 円]
奥行きがあって、音場が左右に広い。こういうのを空間表現能力が高い、と言うのだらう。
解像度は低い。楽器のリアリティもない。そのせいか、フワリとした音場になってしまう。フワフワして落ち着かない。ステージ感がないというのだろうか。音も全体的に薄く淡く厚みがない。
LUXMAN D-05 SACD/CDプレーヤー ラックスマン [267,750 円]
YAMAHA CD-S1000 の空間能力と Myryad の良さが合わさった感じ。解像度も非常に高い。凄く良い音。
エソテリック SACD/CDプレーヤー X-05 [428,400 円]
音場の広さ・奥行き、ともに他を圧倒している。特に後ろに配列されている楽器がよく表現されている。解像度の高さも LUXMAN D-05 を越える。倍音成分が少し弱いかな (響きが少し弱い)。
LUXMAN D-06 SACD/CDプレーヤー ラックスマン [420,000 円]
Esoteric X-05 ほど奥行き表現能力は高くない。音場の広さは同じくらいか。解像度は X-05 に少し落ちる程度。それよりも音色がいい。倍音成分の扱いに長じているのだらう。
あとがき
第一回目はここまで。ちゃんと聞き比べてみると、どの CD プレーヤーも個性を持っていることに気付かされた。
個人的な好みは Myryad Z112-CD と Soulnote sc1.0 の 2 機種。Myryad は、この比較試聴まで目にも止めたことのないブランドだったので、この出会いはびっくりだった。逆に Soulnote の良さは各所で聞きまくっていて、友達が既に何人か買っているので、ここでぼくも買ったら負けかな? と思っている (この天邪鬼め!)。
最後の三機種は、明らかに予算 (10 万円代) オーバーなプレーヤーだった。でも、上級機がどう鳴って、その下はどこで力を抜いているのか? そういう視点で見るとまた面白い試聴だった。上級機は、全体的に上品にレベルが高いのに対して、10 万円代は何かを犠牲にして一つ良さを出そうとしているように感じた (例えば Myryad は奥行きの無さを犠牲にしている)。無理して音を作っているといふのかな。なので、自分の個性に合うものを見つけるのは大変かもしれない。でも、見つかると、とっても幸せになれそう。
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