2014 年度の Google I/O 基調講演 (Keynote) は、Apple の WWDC と足並みを揃えるかのように開発者向けの発表に重きが置かれた。Android 5.0 Lolipop の発表はなかったし、Nexus シリーズの新作発表もなかった。少しばかりスマート・ウォッチやスマート・テレビといったガジェット類が紹介されたけど、発表の中心は開発者向けの SDK やサービスだった。
今年は発表内容が多い上に、一つの内容がボリュームたっぷりだった。複数回に分けて、ぼくが興味を持った点に絞ってまとめを書く。まずは Android L について。
Android L
新しい Android のスタイル。明言されなかったけど、Android 5.0 Lolipop は「Android L」なのかもしれない。リリースは今年後半を予定。プレビュー版は明日リリース。
Material Design — インターフェースの変更
L は Material Design という新しいデザインを導入する。iOS がバージョン 7 で見た目を変えてきたのと同じくらいインパクトがある。
Material Design はスマートフォン、タブレット、WEB でインターフェースを統一する。Windows の様なフラットデザインと、iOS の様な三次元効果 + アニメーションを融合させた新しいスタイル。例えば Google Now の様なカード式の見た目、更にカードをタップするとそのカードが浮き上がり少し大きくなる様に見えるアニメーションをシンプルな API で提供する。
通知センターも改良される。Google Now タイプのカード式。通知の優先度を変えられたり、通知カードを広げたり、アクション用のボタンを配置することが可能。この他、Hands-up 通知と呼ばれる「重要」な情報のみをユーザー操作に影響を与えないよう表示する機能も付いた。これはフルスクリーン時でも通知されるらしい。
ロック画面にも通知センター機能が追加される。これは、情報の種類 (プライベートか、それとも周りの人に知られても良いものか?) によって表示が変わる。通知センターと同じように全ての情報が表示されるもの。通知が来たことだけを知らせるもの。複数のパターンが用意されている。
ロック画面の解除にも新機能。Android Wear などと Bluetooth 通信することで、認証画面なしでロック解除が可能になるという。今は「時計」くらいしかガジェットが存在しないけど、この先、ロック解除を目的とした「指輪」が作られるかもしれない。
ART
Android のランタイムが従来の Dalvik から ART に変わる。ART 自身は今の Android (KitKat) でも使えるけれど、L 以降は ART がデフォールトになる。
ART に変わることで、アプリの起動時間が短くなったり、実行性能が上がったり、バッテリー消費が抑えられる。
Project Volta
Android が省電力に力を入れる。それが Project Volta。紹介されたのは 3 つの機能。
1 つ目は Battery Historian。バッテリーの利用状況を調べることが出来るツール。これでバッテリー消費の激しいサービスやアプリ、機能を見つけて改善を促すものと思われる。
2 つ目は Job Scheduler API。適切なタイミングでアプリ/サービス(?)を起動・終了させることができる。ずっと起動しっぱなし... ではなく、必要な時だけ「動かす」ことでバッテリー消費を減らすことが出来る。
3 つ目は Battery Saver。省電力モードかな。
その他
この他にも色々発表があったけど、長くなるので箇条書き。
- 64 bit CPU 対応
- Android Extension Pack: GPU の強化
- 仕事用と個人用のデータを分離 (どうやるのかな?)
あとがき
Android L は、Android のスマートフォンやタブレットだけでなく、TV や Wearable にも同じ UI を提供する。機能としても、Android ファミリーの「連続性」を強く意識しているように感じた。で、どこからどこまでが「Android L」なのかが分からない。
ともかく、Android L で Google はスマホ・タブレットの世界からもっと広い「家電」へと腕を伸ばしてゆくことになりそう。普及がどれくらいのペースで進むか楽しみ。
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