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2012-04-27

clmemo@aka 7 周年

ブログ clmemo@aka を始めて、今日で 7 年目。

記事の本数が少なくなったり、オーディオにも手を出したり、それでもやっぱり Google や Linux や Emacs が好きだったり。。。少しずつ変化しながらも、ブログを続けることが出来ている。

最近、ブログの世界全体が twitterFacebook に押されて低調な感じを受けるけれども、そんな中で「必ず結果が出るブログ運営テクニック 100」がコグレさんとするぷさんの手によって書かれたのは嬉しいニュースだった。Twitter でしか書けないこともあるし、Facebook でしか楽しめないこともある。同じ様に、ブログが一番合っている話題もあって、書きたいことリストは埋まってる。ぼくはこれからも、ブログを書き続ける。

そして来年の今日、同じ様な記事を書きたい。

2012-04-26

Picasa for Linux 提供終了

少し遅いけれども、書いとかなきゃと思ったので。。。 INTERNET Watch の記事から。

Google は Picasa for Linux の提供を止める。また一つ、Google の素敵なアプリが一つ消えてしまった。ぼくのメイン PC は Ubuntu Linux なので寂しいニュース。

Google は Picasa 3.9 for Mac のリリースをきっかけに、Picasa Web Albums Uploader for Mac と Picasa Web Albums Plugin for iPhoto の提供も中止する。これは、Picasa Web Albums へのアップロード機能が Picasa 3.9 に組み込まれたため。とはいえ、iPhoto からのアップローダーもなくなってしまうのは嬉しくない。

あとがき

最近の Google は、いろいろなサービスや API を有料化したり開発中止にしている。さかのぼれば、Google Note や Google Wave の様に、Evernote にお株を奪われたり革新的過ぎてユーザーがついていけずクローズされたサービスはあった。そこには残念感はあったけれども、(一部のファンを除いて) 仕方がないという雰囲気があった。

けれど、最近の Google はその方針を変えてしまった。ユーザーが残っていても、平気でサービスを閉じてしまう。Google の顔がユーザーに向いているのか、Google 社内に向いているのか分からなくなってきた。

お気に入りのサービスが終わってしまうんじゃないか? 不安が募る。少し前なら、そんな心配はほとんどなかった。Google は広告で儲けてるから、そのサービスで儲からなくても大丈夫。だから安心して使い続ければ良いよ。そんな安心な時代があった。今は安心がない。サービスの未来が見えない。昔の Google に戻ってきて欲しい。

2012-04-25

Google Drive が 18 のパートナー・サービスと連携 〜 MindMeister など

Google Drive はサービス・インに合わせて 18 のパートナー・サービスと既に連携を始めている。リリースの話の中であまり話題になっていないのは何でだろ。Google Japan Blog の概当部分を引用する。

Google ドライブ はオープンソースなプラットフォームとして開発していますので、多くの社外の開発者との共同作業も進めています。これらのアプリを使用することで、例えば、Google ドライブ から直接ファックスを送ったり、Google ドライブ 上でビデオを編集したり、ウェブサイトのモックアップを制作することも可能になります。

Google Japan Blog より引用

サラリとした文章。これは読み飛ばしてしまいそう。

これなら英文だけど、AllThingsD の説明の方がグッと来る。

In addition to creating regular Google Docs files, users can install apps through the Chrome Web Store. The 18 launch partners include HelloFax (faxes), Balsamiq (mock-ups), Lucidchart (diagrams), DocuSign (signatures), SlideRocket (presentations) and MindMeister (mind maps).

Meet Google Drive: Specs and Screenshots - Liz Gannes - News - AllThingsD より引用

Google Docs のファイル作成に加えて、Chrome Web Store からアプリをインストールできる。その数は 18 個だよ... と言って 6 つのアプリ例が挙げられている。どのアプリがサポートされているかは、Chrome Web Store を覗くのが手っ取り早い。

18 のアプリ名を列挙する: SlideRocket (プレゼン)、HelloFax (FAX)、WeVideo (動画編集)、AutoCAD WS (CAD)、Lucidchart (作図)、Pixlr Editor & Pixlr Express (画像編集)、Balsamiq Mockups (モックアップ)、MindMeister (マインドマップ)、Revisu (レビュー・フィードバック)、Pixorial (動画共有)、Aviary (画像編集)、Floorplanner (間取り作成)、Desmos (数式プロット)、Smartsheet Project Management (プロジェクト管理)、DocuSign (電子署名?)、Gantter (プロジェクト管理)。

リンクは Aviary と DocuSign 以外、各サービスのブログ記事 (Google Drive との連携を伝えている) に張ってある。

MindMeister の場合

各アプリによって Google Drive の使い方は違うと思うけど、一例として MindMeister を取り上げてみる。

MindMeister の Google Drive コラボ機能は以下の様になる:

  • Google Drive と MindMeister 間で、シームレスなインポート/エクスポート
  • Google Drive 上で、マインドマップの作成・共有・共同編集
  • Google Drive 内のファイルを直接マインドマップに貼り付け
  • 全てのデバイス・クライアント間で自動同期
  • Google Contacts とマインドマップを共有・共同編集
  • MindMeister アカウントに Google アカウントでログイン

MindMeister はベーシック・プラン (無料) だと 3 つまでしかマインド・マップを作れないけれども、Google Drive を使うとこの制約は外れるのかな? 確認してみよ。

あとがき

まあ、こんな具合にファイルの保存場所にしたり、共有・共同編集が可能になるらしい。これは、意外と便利な機能かもしれない。MindMeister 以外、ほとんど知らないウェブ・サービスなので、これを機会に触ってみようかな。

Dropbox, Google Drive, SkyDrive の料金比較

Google Drive がリリースされて、Dropbox と SkyDrive (Microsoft) とのクラウド型ストレージ・サービスに新風が吹き込まれた。ぼくは数年内に、ストレージ・サイズと料金の変動が何度も起きると思う。なので、Google Drive がリリースされた 2012-04-24 (Tue) 時点での料金体系をまとめておく。今後の参考になると思うので。

Google Drive SkyDrive Dropbox
2 GB —— —— フリー
5 GB フリー —— ——
7 GB —— フリー ——
20 GB —— $10/年 ——
25 GB $29.88/年 ($2.49/月) —— ——
50 GB —— $25/年 $99/年 ($9.99/月)
100 GB $59.88/年 ($4.99/月) $50/年 $199/年 ($19.99/月)
1 TB $599.88/年 ($49.99/月) —— ——

1 ファイルの最大サイズは、Google Drive が 10 GB、SkyDrive が 2 GB、Dropbox はブラウザー経由では 300 MB までで、デスクトップ同期の場合は制限なし。

さあ、半年後が楽しみ!!

ref

懐かしい記事を発掘。2006 年のオンライン・ストレージ・サービスの比較記事。元記事は TechCrunch。今、振り返ると、2006 年は第一次クラウド・ストレージ・サービス戦争だったのかもしれない。

2006 年当時、1 GB のストレージ提供が普通だった。TechCrunch では 13 のサービスを比較したが、今、日の目を見ているのは Box.net くらいしか残っていない。この 6 年の淘汰が厳しかったとも言えるし、Dropbox が強かったとも言える。

Google Drive スタート! 〜 5 GB を提供

Google のストレージ・サービス Google Drive が今日、サービス・インした。

ストレージ・サイズは噂通り 5 GB。アップグレード・プランとして 25 GB ($2.49/月)、100 GB ($4.99/月)、1 TB ($49.99/月) を用意する。Gdrive のプランをアップグレードすると、Gmail のストレージ・サイズも自動的に 25 GB まで増える。

Google Drive には Windows/Mac 用のアプリが提供されている。インストールすると、Dropbox 同様、Google Drive 用のフォルダーが作成されて、普通のフォルダーと同じ様にアクセスできる様になる。Google Drive へのアップロードはフォルダーの中にファイルをコピーするだけで良い。複数環境に置いたファイルの同期は自動で行なわれる。

Google Drive に置けるファイルの種類に制限はないらしい。画像・ビデオ・PDF・ドキュメント、何でも置いて OK。けれど、何といっても Google Docs 物との連携が一番良さそう。

大まかな印象は上記の通り。Google Drive で面白そうな機能を挙げて、本エントリーを締めたい。

  • オフライン機能をサポート
  • 画像を自動で OCR にかけて、検索可能
  • 編集したファイルは「版」管理される
  • Android/iOS 用アプリを提供 (iOS アプリは予告だけで、まだ姿は見えない)

あとがき

Google が珍しく「ベータ」でないサービスをリリースしてきた。今までのベータ・サービスの様に飛び抜けたものがない代わりに、ベータ・サービスよりも操作性が洗練されている。この手のサービスを始めた時に、よくあるサービス・トラブルの声も聞こえてこない。Google の Google Drive に対する意気込みを感じる。

ぼくは、これから、ストレージ・サイズを巡って各サービスが鎬を削ることになると思う。より安く・より多くのストレージを提供する争いが始まる。その理由は、「ユーザーは実はそんなにストレージ・サービスを多用していない (SkyDrive では 25 GB の容量があったのに、7 GB 以上使っていたユーザーは 0.06% ref. SkyDriveがリニューアル、ローカルと自動同期に対応。1ファイル上限は2GBへ - Engadget Japanese)」にもかかわらず、ストレージ・サイズが増えることがストレージ・サービスの質の良さだと考える人達が多いから (ぼくもその一人)。

そういう争いを起こすだけのバック・マージンを少くとも Google と Microsoft は持っている。

未来の話から、現実に目を戻してみたい。Google Drive。機能・操作性において、実は一番良いサービスに出来上がっているかもしれない。非常にソツないサービスを提供してきた印象を受ける。Google のサービスにしては「面白くない」ほどにソツがない。これから Google Drive がどう進化していくのかが楽しみでもあるし、Google による囲い込みの兆しになるのではないかと一抹の不安もある。

2012-04-24

Microsoft SkyDrive がデフォールト・ストレージを 7 GB に下げる

Microsoft の SkyDrive。おそらく、フリーで安心して使えるウェブ・ストレージ・サービスとしては最大の 25 GB を提供していた。ところが、このストレージ・サイズを減らすという。

新料金体系 〜 Dropbox との比較で

今、最も定番と言われているウェブ・ストレージ・サービス Dropbox と料金を比較してみる。

SkyDrive Dropbox
フリー 7 GB 2 GB
$10/year 20 GB ——
$25/year 50 GB ——
$50/year 100 GB ——
$99/year —— 50 GB
$199/year —— 100 GBB

フリーで使えるサイズが 25 GB から 7 GB に下がるのは痛いけど、容量重視で考えるなら SkyDrive の優位は揺るがない。

あとがき

今月末、Google Drive が 5 GB でウェブ・ストレージ・サービスに参入してくるという噂が流れている。ストレージ・サービスはほぼ Dropbox の一人勝ちだっただけに、ある意味安定期に入っていた。SkyDrive が動き、Google Drive が参入してくるとなると、またウェブ・ストレージ・サービスが戦国時代に突入するかもしれない。

ところで、Google Drive。5 GB という噂に少し失望している。Gmail が出た時、世間の Inbox は 20 MB とかが当たり前だった。そこに Gmail は 1 GB というビッグ・ストレージをもって参入してきた。その Google が 1 GB〜 5 GB がデフォールトなこの分野に「同じ程度」のサービスを提供するとなると... 驚きもイノベーションもない。

Google のサービスは、ベータが当たり前。リリース直後の Google Maps も Gmail も、使い勝手はお世辞にも良くなかった。その代わり、テクノロジーをやってる人間に心踊る何かがあった。そして、時間をかけて洗練されていった。Google Drive にも、同じことを求めるのは無理なのかしらん。フリーで 5 TB とかなら、ど肝も抜かれるんだけどなぁ。

2012-04-23

カレント・ディレクトリー内の全てのファイルを新しい下位ディレクトリーに簡単に移動させる 〜 rsync 編

の続き。rsync コマンドを使って同作業を行なうやり方がブログに紹介されていたのでメモメモ。rsync というと、ファイル同期用のコマンドで有名。そのコマンドを使って、強引にファイル移動させてしまう所に、このやり方の面白さがある。後で記すが、欠点もある。一つお楽しみということで、ご一読を。

いきなり、実行例から。

$ ls
a.txt b.txt c.txt img/
$ rsync -a --remove-source-files * dir
$ ls
dir/ img/

オプションの説明。-a オプションは --archive のショート・バージョン。再帰的なディレクトリー対応、オリジナル・ファイルの属性 (タイムスタンプやオーナー等) の保持を行なう。とりあえず、今あるファイルを「そのままの状態で」「手を加えず」コピーしたい場合はこの -a オプションを付けておけばいい。

今回の肝になるのは、--remove-source-files オプション。ファイル同期元のファイルを削除する。言い換えれば、コピーの代わりに移動してしまいしょう、というオプション。mv コマンドを使わず、rsync コマンドを使えるのは、このオプションがあるから。オプション名が長いので、zsh などの補完機能を使うのがお勧め。

実行例を見ると分かる様に mkdir コマンドを使っていない。rsync には、転送先ディレクトリーがない場合に、自動でディレクトリーを作成してくれる機能がある。オプションは複雑だけれども、1 つのコマンドでやりたいことが全てできるので誤操作が減りそう。

欠点を挙げれば、--remove-source-files オプションはファイルの削除をしてもディレクトリーの削除はしないこと。上の例で言えば、img ディレクトリーの中にあるファイルは移動されているのだけど、img ディレクトリーだけは残っちゃってる。ゴミが残っちゃうのは気持ちが悪い。まあ、こんな方法もあるよ、ということで頭の片隅に知識を置いておくのも良いんじゃないかな。

ref

2012-04-21

Emacs 検定

Emacs 検定は、すべての Emacs ユーザが互いに問題を出しあい、高めあう、オープンな最高のフィールドです。

Emacs 検定 より引用

「Emacs 検定」だと!? ガタッ!!!

カレント・ディレクトリー内の全てのファイルを新しい下位ディレクトリーに簡単に移動させる 〜 zsh 編 その二

の続き。前の記事で、ディレクトリー「dir」以外の全てのファイル及びディレクトリーを指定する方法に「^dir]* と書いた。これは誤りだった。訂正記事を書く。

除外用の glob pattern

除外したいファイルがある場合、zsh では「*~除外したファイル名」という書式を使う。前エントリーからのお題をそのまま使うと、こうなる:

$ ls
a.html b.html c.html img/
$ mkdir dir
$ mv *~dir dir
$ ls
dir/

dir ディレクトリー以外のファイル及びディレクトリーを全て dir ディレクトリーに mv する。

利用には .zshrc に setopt EXTENDED_GLOB を入れておく必要がある。

何故、[^dir]* は誤りか

まず、ぼくがこの記事を書いた時、参照記事既にこのやり方が誤りである、と記述があったことを強調しておきたい。ぼくは、「何が誤っているのか分からなくて」、このやり方を記事にしてしまった。全てぼくの不徳とする所。

さて、何故「^dir]* が誤りか。

このやり方は正規表現を使っている。[文字] は、括弧内に含まれる文字列のうち一文字を表す。つまり、[dir] ならば d か i か r という文字を表す。[^文字] はその否定。括弧内に含まれる文字以外を表す。従って、[^dir] ならば「d か i か r 以外の文字」を表す。ここに表てのファイル名を表す glob 表現「*」を続けると、[^dir]* の意味はこうなる。

先頭文字が d もしくは i もしくは r で始まらないファイル/ディレクトリーの全て

サンプル・コードでは先頭文字に d/i/r を持つファイルがなかった。また、サンプルに使ったディレクトリー名がたまたま「dir」で、この除外する条件を満たしてしまっていた。そのため、運良くプログラムが通ってしまった。サンプル・コードで、i や r から始まるファイル、もしくは foo といったディレクトリー名を使っていたら、このやり方が誤っているとすぐに分かったはず。

全く見事なヘマをやってしまった。お恥ずかしい。

ref

2012-04-19

カレント・ディレクトリー内の全てのファイルを新しい下位ディレクトリーに簡単に移動させる 〜 zsh 編

カレント・ディレクトリー内の全てのファイルを新しい下位ディレクトリーに簡単に移動させる 〜 dot dir を使って」というエントリーを書いた。すると、たつをさんが高速でブログの記事を書いていた。たつをさんは、こういうネタにすぐ飛びつき反応を見せてくれる。とても嬉しい。

曰く。

zsh だと「mv *(.) dir/」でOK

[を] ファイル名指定でよく使う zsh の便利な記法 より引用

説明もあった。

zsh では *(.) で通常ファイルだけを指定できる。これは知らなかった。具体的な操作はこうなるはず:

$ ls
a.txt b.txt c.txt
$ mkdir dir
$ mv *(.) dir

.dir を適切なディレクトリー名に変更する手間が省けて良いね。利用には .zshrc に setopt EXTENDED_GLOB を入れておく必要がある。

except glob を使う方法

*(.) を使う方法は、移動したいものが「ファイルだけ」の場合にのみ有効。そもそも、そういうやり方だから当たり前と言えば当たり前。問題は移動したいものに「ディレクトリーも」含まれる場合。例えばこんな感じ:

$ ls
a.html b.html c.html img/
$ mkdir dir
$ mv *(.) dir
$ ls
dir/ img/

ディレクトリーの移動までやってくれない。この場合、zsh の except globe が役に立つ。「*」から除外させたいファイル/ディレクトリーを指定するというもの。「[^除外したいファイル]*」という書式で書く。この場合、次の様になる:

$ ls
a.html b.html c.html img/
$ mkdir dir
$ mv [^dir]* dir
$ ls
dir/

dir ディレクトリー以外のファイル及びディレクトリーを全て dir ディレクトリーに mv する。

[^dir]* を使う方法は誤りでした。訂正記事を書きましたので、参照下さい。

あとがき

zsh は覚えることが沢山あるけど、覚えておくと一手間減らせるので便利。コマンド使いには凄くお勧め。ただし、システム管理者になって zsh のない環境でも動く shell script を書く様になると、どこまでが zsh 特有の便利機能か区別出来なくなって苦しむ。便利すぎる諸刃の剣。システム管理者にはバランスを取るのが難しい楽しい shell。

2012-04-18

体調不良につき 〜 BlogPress で投稿

月曜日の朝から体調不良で寝込んでいます。Twitter のつぶやきをご覧になった方はご存じと思いますが、ようやく回復の兆しが見えてきました。

書きたいことは多いのに、体がついていかない無力感。悔しいものです。

そこで思い出したのが BlogPress Lite という無料 iOS 用アプリ。Blogger に記事を投稿できます。細かい文字修飾はサポートしていませんが、Twitter より長い文章を書くには面白いアプリだと思いました。

- Posted using BlogPress from my iPhone

2012-04-16

カレント・ディレクトリー内の全てのファイルを新しい下位ディレクトリーに簡単に移動させる 〜 dot dir を使って

ファイルが多くなったので、ディレクトリーを作ってまとめちゃう。そんなことは良くある。そのやり方が目から鱗な方法が紹介されていたので、コピペ。

$ ls
a.txt b.txt c.txt
$ mkdir .dir
$ mv * .dir
$ mv .dir dir

dir は適当なディレクトリー名をお付け下さい。

このやり方で何が目から鱗って、下から二行目のコマンド「mv * .dir」。カレント・ディレクトリーの全てのファイルを * で表しているわけだけど、それだと移動先であるディレクトリーも含まれてしまう。自分自身を自分の中に移動は出来ないのでエラーが出る。そこで、移動先のディレクトリーだけ排除して mv コマンドを実行したい。ここで、* (アスタリスク) が dot dir を含めないことを利用した。

一般に UNIX では、「.」で始まるファイル/ディレクトリーは隠しファイル/ディレクトリーになる。予め隠しディレクトリー「.dir」を mkdir で使っておき、mv コマンドで * (全てのファイル) をその .dir へ移動させる。.dir は隠しディレクトリーだから、「*」には含まれない。つまり、難しいことを考えなくても良い!!

作業が終わったら、隠しディレクトリーを適切なディレクトリー名に変更する。ちょっと手間だけど、難しいことを覚えてたり、ひねった作業をするよりスマートで簡便。急がば回れ的に便利なやり方。感動。

蛇足

ぼくは、この手の作業をする時、一つ上の階層にディレクトリーを作っていた。

$ mkdir ../dir
$ mv * ../dir
$ mv ../dir ./

この方法の欠点は二つ。一つは、一つ上に同じ名前のディレクトリーがあると mkdir の時にエラーになる。かと言って、確認するのも面倒。もう一つは、上のディレクトリーのパーミッションがない場合がある。特に管理者関係の作業をしていると、パーミッション問題にひっかかる。今回知った方法は、これら二つの欠点を全く見事にクリアーしている。いいね。

2012-04-13

エミライ訪問記 (3) ルームチューニングについて

clmemo@aka: エミライ訪問記 (2) オーディオ試聴の続き。

音楽を聞きながら、約 15 万円に及ぶという田口式ルームチューニングについて伺った。

田口式ルームチューニング

田口式のルームチューニングは、基本的な項目があり、その上に田口氏がアメリカ時代に録音に立ち合ったという CD をリファレンスに「耳」でセッティングを追いこんでゆく。基本項目については、全て書いて良いとお許しを頂いたので、ここに書く。これは、ここに書いたことをただ実践してもルーム・チューニングとしては不完全。田口氏自身の「耳」でのセッティングが肝になっているという自信の現れだろう。

  1. リスナーに向けてスピーカーを向ける (平行置き、30 度の内振りなどはしない)
  2. リファレンス CD をかけながら、スピーカー幅を調整
  3. 一次反射面に吸音材
  4. 二次反射面に吸音材
  5. スピーカーの後ろに吸音材
  6. スピーカーの中央・後壁面に板を立てかける
  7. (ウィスキーの) ジャック・ダニエルのボトルを置く

以上が基本。更にここから、リファレンス CD を聞きながら、リスナーの好みの音に仕上げてゆくという。今回、ぼくが聞いたショールームの音はアメリカン・サウンドな感じだったが、「ラックスマンが鳴らす様な倍音豊かなセッティングも出来ますか?」と聞いたら「可能」との答えだった。

基本項目について、いくつか補足。

3. 及び 4. の「反射面」に関しては、吸音材の幅、設置の高さに細心の注意を払う。特に二次反射面への配慮は音にかなり効いているとのこと。ショールームでは、二次反射面がぼくの真横少し前にあった。ソファーから乗り出す様に音楽を聴くと、左右の音がスピーカーに張り付く様に聞こえた。この時、二次反射面はちょうど真横に来た。せっかく二次反射面で調整している音を、ぼくがリスニング・ポジションを変更したために台なしにしてしまったのだと思う。聞くと、本来のリスニング・ポジションはソファーに深々と腰かけた位置。かなり、きっちりと調整をしているらしい。そういえば、部屋で手を鳴らすととてもライブなのに、ぼくの耳に届いた音はデッドだった。これも吸音材を適所に配置している効果か?

6. の板は角度も重要とのこと。この板一つ置くだけで、中央の定位がピタリと決まるという。

7. のジャック・ダニエルは眉唾ものだったけれど、こんなツイートを見つけた。オーディオ評論家の麻倉怜士のツイート。どうやら、ぼくと一日二日違いで麻倉氏もエミライのショールームを訪ねた模様。ツイートを読んでると、どこかのオーディオ雑誌にこのルーム・チューニングの話を書くらしい。

田口メソッドのジャック・ダニエル効果とは、ジャック・ダニエルの1.7ミリリットル瓶が膨らみがちな300Hzを効果的に吸うので、音楽の骨格がひじょうにビジブルになることです。ありなしでは、天と地ほどちがいます。

Twitter / @ReijiAsakura: 田口メソッドのジャック・ダニエル効果とは、ジャック・ ... より引用

15 万円は高いか、安いか、適性か?

ルームチューニング代、約 15 万円。その他の具材費は自腹。ただし、二万円程度とのこと。計 17 万円。高くても二十万円以下。このルームチューニング代は高いか、安いか?

知人とぼくとの会話。

ぼく「エミライのショールーム行って来ましたよ。(中略) で、17 万円ですかね」

知人「ルームチューニングで 10 万以上取るなんて出来ないなぁ。おそれ多いよ。ぼくが行って数千円でしちゃおうか」

ぼく「そりゃ、知人さんがオーディオに詳しいから簡単に言えるんですよ」

知人「そうかな?」

ぼく「知人さん言ってたじゃないですか。普通の給料で、十万円のオーディオ・システムを色々と工夫する人は素晴らしい。ウン千万円も年収のある人が、数百万円のオーディオ・システムをポンと買うのも良い。身の丈に合ったオーディオ・システムを買って楽しめば良いって。高いオーディオ・システムを買って持て余してる人には、オーディオ・セッティングすることもないだろうから、こういうサービスはちょうど良いんじゃないですかね」

知人「なるほどねぇ」

ぼく「知人さんみたいに、システムを色々といじれちゃう人には逆に縁のない世界かと」

知人「でも、月に 10 回やったら 200 万円か。良い商売だなぁ」

ぼく「逆に十分の一の値段にしちゃったら、依頼殺到でしょ。一人じゃ、こなせなくなりますよ。月に 100 ものルームチューニングなんか出来ないし。あと、ルーム・チューニング材が Flexum (25万円) や ANKH (26万円) の様に高くないのは安心ですね」

知人「日本には色んな部屋があるっていうのに、やれるって言っちゃう自信も凄いね」

ぼく「そういう自信込みで 15 万なのかなぁ。最終的には『耳』で決めるって言ってるから、単なるメソッドを実行してお終いということにはならないと思いますけど...」

知人「どれ位い効果あるんだろ?」

ぼく「ショールームは既にチューニング済みだったから、効果のほどは分からなかったです。実際に受けてみるしか効果は分からないかと」

知人「それで 15 万か」

ぼく「ちょっと勇気要りますよね」

(終)

エミライ訪問記 (2) オーディオ試聴

clmemo@aka: エミライ訪問記 (1) 経緯・予約・訪問の続き。

開いた扉からショールームに入る。靴を脱いで、ソファーに腰かける。部屋はブログに書いてあった通り、一般的なリビングルームに近い広さの 13 畳程。早速、島さんが CD を持って音楽をかけて下さった。

オーディオ機器

エミライ ショールーム

音楽を聞きながら、使用しているオーディオ機器の説明を受ける。

Oppo が約 20 万円。Caprice の em edition が約 20 万円。G Ride Audio は、ルーム・チューニングを行なう田口氏がアメリカで立ち上げたプライベート・ブランド。ボリューム調節が出来るパワー・アンプを使っていた。価格は約 60 万。スピーカーは自社開発製。フラットな周波数特性 (40Hz-30kHz で±1〜2dB)、広指向性、低歪みを目指して作成したとのこと。スピーカーは最終段階のツメを残して完成に近づいているとのこと。予定価格は 100 万円。計 200 万円のオーディオ・システムでの試聴となった。

音楽を聴いて

部屋がスピーカーになった様に音が迫ってきた。前を見ると、どこもかしこも「音」で占められている感じ。低音の震えが床を伝わって来る。ボリュームをそれほど大きく上げているとは思えないのに、力強い。

奥行きを感じる音場。音場はスピーカーの少し後ろに展開する。左右へは壁から壁まで、音場に覆いつくされている。

スピーカーの間の音に厚みがある。当然、中央に定位するボーカルがくっきりと目立って、音楽が楽しい。楽器のリアリティも高く、ピアノは高音が澄み、低音の量感はタップリ。アタック感も必要十分。田口氏は JVC 時代、洋楽部門に居たと聞くが、納得のサウンド。正にアメリカン・サウンドだった。

不満を言えば、ピアノの低音にもう少しの深みとヴァイオリンにもう少しの残響が欲しかった。

CD 試聴記

沢山の CD を聞かせてもらったし、ぼく自身、持っていった全ての CD をかけさせてもらった。全てを紹介する気力はないので、特徴的な CD の感想を書く。

バッド

マイケル・ジャクソンの「Bad」から「Bad」を聞く。低音の力強さが出色。スピード、アタック感ともに高いレベル。ただ低音が出すぎて、高音が少しマスキングされていた。もう少し見晴らしの良い音場を好むので、ちょっと残念。

ワルター指揮、ベートーヴェンのコリオラン序曲

ホール感というのかな? 弦楽器の残響感が自然でない様に感じた。作っている感じとも。でも、「良い感じに作っている」という印象。ヨーロッパ・サウンドを好むぼくの性格が出ているのかもしれない。アメリカン・サウンドなホール感?

全体的に低域が強い、と印象を言ったらパワー・アンプが低音強めに出るとのこと。

The DARK KNIGHT

ハンス・ジマー作曲。映画「ダークナイト」のサントラから一曲目。ちょっと音量大き目で。時計の針音を出すのに、ウッドをチッチッチッと叩いている感じがとても良く表現されていた。低音だけが出ているところがあるのだけれども、風を感じた。初めての経験でかなりびっくり。

(続く)

エミライ訪問記 (1) 経緯・予約・訪問

訪問経緯

エミライがルームチューニング・サービスを始めるとのニュースを Twitter で知った。元 JVC で XRCD プロデューサーをしていた田口晃氏自身が行なうサービス。価格は 1 日 157,500 円 (税込)。

このニュースに接して、ぼくはこうツイートを返した。

一日 15 万円は高い。ハイ・エンド・オーディオ所有者の専用オーディオ・ルーム向けサービスですね。

Twitter / @at_aka: @PC_Audio_fan @emilai_audi ... より引用

エミライの答えは 音の変化を体験された皆様で価格が高いとおっしゃる方はまずいないそうです。とはいえ、なかなか体験出来ないとは思いますので、擬似的に経験できる方法はないものか、検討中でございます。

Twitter でやり取りを繰り返して、下記の誘いを受けた。

弊社大崎ショールームはルームチューニング実施済みですので、どのようなアイテムをどのように配置しているのかをご説明することができます。事前予約制ですが、お気軽にお立ち寄りください。ご来訪をお待ち申し上げております。

Twitter / @emilai_audio: @at_aka 弊社大崎ショールームはルームチューニ ... より引用

予約

エミライの大崎ショールームのページを覗いてみた。

ページを見て分かったのは...

  • Email アドレスはない
  • 電話番号は公開されている
  • 最寄駅は JR 大崎駅 (歩いて 5 分)
  • 車でのアクセスも可能

本当はメールで予約を取りたかった。記録が残るからね。メアドが公開されていないので、電話で予約。4/6 (金) を希望。既に夕方に予約が入っているというので、12:00 から 2 時間の予約を取った。

訪問

4/6 (金)、15 分遅れでショールームに到着。ショールームは、アートヴィレッジ大崎ビュータワーの SOHO 区画にある。SOHO 用の入り口にて困惑。中に入れない。電話をしたら、開鍵番号を教えてもらった。タワーの中に入って... どうしよう? と待っていると電話が鳴って、「どうぞ」と言う。廊下を覗くと、一つの部屋の扉が開いていた。

迎えてくれたのは、若い男性。名前を伺うと、エミライの立役者でもある島幸太郎氏だった。島さんと言うと、PC オーディオ・ガイドブックなる本をコミケで販売。その売れ行きに、インプレスジャパンがちゃんとした本にして出版した経歴を持つ人。今回、ぼくは CD を聞きたいと予め申し込んでいたので、(専門の PC オーディオの話はせずに) オーディオ・システムとルーム・チューニングの話に絞ってお付き合い下さった。

(続く)

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マインドマップ・サービス MindMeister 再レビュー 〜 五年が経って

マインドマップ。それは、アイデアや情報を「絵」と一緒にマッピングする発想法であり、ノートの取り方。ページをキャンバスの様に使い、中心に重要項目を、より外に向かうにつれて関連する細項目を描いてゆく。ぼくはほぼ九年に渡ってマインドマップを使っているが、アイデアを纏めるのに重宝している。

ザ・マインドマップ

マインドマップの良い所は、「絵」を含めること。記憶術にも繋がるのかもしれないけれども、ただ「文字」を書くだけよりもノートへの理解が深まる。フリーに描くスタイルも特徴的。列挙型ノートに比べて、見栄えも良い。

代わりに失なったものもある。あまりに自由度が高い記述法なため、手描きすることが前提になってしまう。パソコンでマインドマップを描くのは困難。

とはいえ、パソコンでマインドマップを描きたいという欲求も強い。様々な困難を排して、ウェブ・サービスとしてマインドマップを扱える様にする試みがいくつもある。その中で、特にぼくが好むウェブ・サービスが MindMeister。

このサービスは2012-03-22 で 5 年を迎える。当ブログでは、2007-03-11 にレビューを書いている。当時はプライベート・ベータ版だった。5 年を経て、MindMeister は素直に進化した。

  • マインドマップの見た目は、よりスマートに
  • ツール・バーは、よりシンプルに
  • 項目に対するプロパティーは、より詳細に

加えて、iPhone/iPad/Android アプリの提供。Twitter, Facebook, Blog といった各種媒体での情報提供。そして「日本語」版の提供。最初は武骨なデザインだけど、JavaScript だけで組まれている (5 年前から Flash は使っていなかった) ことが魅力なウェブ・サービスも、UI・UX ともに大きな向上を見せている。

プラン

MindMeister はプライベート・ベータが終わって、ちゃんとしたプランが出来た。大きく分けて、5 つ。1 つはアカデミック・パック。この説明は割合する。一般のユーザーが使う場合、4 つのプランから選ぶことになる。すなわち、ベーシック、パーソナル、プロ、ビジネス。以下にプランごとの機能をまとめてみた。

Basic Personal Pro Business
価格 無料 4.99 ドル/月 9.99 ドル/月 14.99 ドル/月
マップの数 3 つ 無制限
インポート ? MindManager, Freemind, テキスト・ファイル
エクスポート ? MindManager, Freemind, PDF, RTF, 画像 同左 + Microsoft Word, Porwerpoint
サポート なし 8x5 メール・サポート 12x7 メール・サポート 24 時間サポート

この他に、ベーシックからパーソナルにアップグレードすると、オフライン・アクセス機能が付く。パーソナルからプロにアップグレードすると、更にチーム内でのプロ・アカウント機能の共有 (で合ってると思うけど)、リンクを使っての共有、統計レポート機能が付く。ビジネスになると、自動バックアップ、複数のチーム管理者機能が付く。

ベンチャーなら、「プロ・プラン」あたりが良いかもね。個人で使う場合は、ベーシック・プランかな。パーソナル・プランは魅力だけど、よほどマインド・マックを活用している人でないと、月 5 ドルは大きい。

プロ・プランへの誘い

MindMeister からメールが届いて、ぼくの 5 年前のレビューを読んだという。そして、プロ・プラン用のライセンス・コード (一年分) を 3 つ貰った。一つはぼくが使ったので残り 2 個。興味のある方は、twitter なり Facebook なりコメントなりで連絡先を教えて下さい。先着 2 名にライセンス・コードを差し上げます。なくなりました

2012-04-12

Google+ が UI を刷新 〜 よりスッキリに

Google+ がユーザー・インターフェースを刷新した。

ナビゲーション・バーが「上」から「左」に移ったのが大きな変更。左カラムにナビゲーションを置くのは Gmail でもやっていることだから、良いと思う。また、ナビゲーションのボタンを自由にカスタマイズできるのも良い。あまり使わないナビゲーションは「もっと」の中にしまうことが可能。

他にも、ハングアウトが別ページになったり、ピックアップという項目が新設されたりと変更部分は大きい。

あとがき

Google+ と Twitter/Facebook の大きな違いはタイムライン (ニュースフィード) の見易さだと思っていた。Twitter や Facebook がタイムラインをどんどんと遡って見渡したいと思わせるのに対して、Google+ は最初の一ページ目 (?) で表示されているのを見たら、お腹いっぱい。その先を見ようとする気が失せた。何でだろ。両者に大きな違いはないと思うのだけれども、形容できない小さな差があって、Google+ はタイムラインを「見たい」と思わなかった。

タイムラインを遡らない Google+ は、SNS としての魅力の半分以上を失っている。

今回の UI 変更によって、多少見易くなった。ページを遡りたくなった。より良い方向に変更が行なわれたことを願っている。

2012-04-11

はてなが「はてな教科書」を公開 〜 ウェブアプリケーション作成の基本を解説

はてなが、ウェブアプリケーション作成の基本を学ぶための「はてな教科書」を github 上に公開した。ライセンスは「クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 2.1」。

この教科書は、エンジニアの手によって執筆されており、サマー・インターンシップなどでも利用されているとのこと。現在の目次は次の通り:

  • Perl によるオブジェクト指向プログラミング
  • ORM によるデータベース操作 (DBIx::MoCo を使った開発)
  • MVC によるウェブアプリケーション開発 (Ridge を使った開発)
  • JavaScript によるイベントドリブン

はてなのサマー・インターンシップの様子はブログで公開している参加者も多い。彼らの様子を見ていると、非常に難易度は高そう。経験者でも、Perl, JavaScript の勉強にはもってこい? フレームワークへのとっかかりとしても良さそう。

2012-04-10

開発で新人部下を教育する時に気を付けたこと

背景

「コーディング作業に入ったお仕事」のリーダーになった時の経験。正確には「リーダー」という役職ではなかったけれども、役割的には指導的な立場だった。メンターというのかな? 新人部下と書いたけれども、正しくはプログラミングの基本を一応勉強した同期と一年下の後輩だった。その開発プロジェクトは、その後一か月位いでキャンセルされてしまったので、メンターを務めた期間もほんの僅かだった。

とはいえ、メンターとして指導をする機会に恵まれたことは確かで、その中で頭を悩ませた。自分なりに教育方法にも工夫した。その話を、記事にしてみる。

基本は PDCA とコミュニケーション

PDCAサイクルは、Plan (計画)・Do (実行)・Check (評価)・Act (改善) の頭文字を取ったもの。会社の研修では、報連相 (ほうれんそう) (報告・連絡・相談) と共に教えられることが多い。

PDCA は仕事をする上で基本的な概念なのだけれども、職場で PDCA を実践している人を見たことがほとんどなかった。なので、まず PDCA を徹底させることを第一にした。

また、各段階においてコミュニケーションを多く取ることを心がけた。

TiDD

まず、プログラムの大まかな目的と設計を説明した。具体的には (ぼくが作ってた) UML 図のユースケース図とクラス図・アクティビティ図を見せた。で、全体像を掴んでもらったところで、任せる仕事の話に移った。

ここの機能をやって欲しい、と伝える。

そしたら、その機能を作るために必要な作業を挙げてゆく。これは一人任せにせず、一緒にやった。最初なので大まかな作業分割しか出来ないけれども、「プラン」を作る流れを掴んでもらうのが目的。

更に、チケット駆動開発 (TiDD) を覚えてもらった。ぼくは当時 Redmine を使っていたので、Redmine の操作方法を教えて、チケットを発行する方法を教えた。

入門Redmine 第2版 Linux/Windows対応

分割した作業項目を、まずぼくがチケットに落としこんでゆく。彼にはその作業工程を見てもらう。次に彼にチケットを作ってもらい、その様子をぼくが見る。気を付けたのは、チケットの目的を教えることだった。つまり、一つ一つのチケットが「PDCA」の Plan に当たると伝えた。このプランに沿って作業 (Do) するのだと。

そのためにチケットの題名をどう書くべきかを教えた。後から読み返して、「作業のプラン」が分かるように書くよう気を付けた。例えば、「○○部の設計を行なう」といったコーディング以外のチケットも書かせたし、「コーディングを行なう」というチケット名は止めさせて、具体的に「DB と接続するコードを書く」とか「取り出したデータを確認するテスト・コードを書く」とかそういった具合。

一般に TiDD ではチケットの粒度を 1〜2 日で終わる程度としているが、ぼくの場合は一つのコミットに対して一つのチケットを作らせた。コミットも一機能につき一回として、その一機能も最小限の機能にした。従って、チケットの粒度は 1 日に 3〜10 ほどだったと思う。

何故、こんなに粒度を小さくしたかというと、新人はプラグラマーのプロではなかったから。プログラムする部署に配置されたからって、プログラムが必ずしも好きではなかった (一人目の場合)。プログラムは好きでも、努力が空回りしてスパゲッティーな長いコードを書いた (二人目の場合)。例外な人はいるけれども、ぼくの許についた人達は「例外な人」じゃあなかった。

一人目には沢山のチケットをこなしてもらい、その一つ一つをちゃんと褒めた。短いコーディングなので、ミスも少ない。必然、褒める回数が増える。「Good」でも「OK」でも、「いい感じに進んでるね」でも何でも良いので、褒めることを前提にチケットも作った。「出来て当然」という態度は絶対に取らない様にした。そういう態度は、プログラミングが好きになって、コーディング技術が上がってから取れば良いと思った。プログラミングを楽しいと思う様に願った。好きになれば、スキルは自然と伸びるから。

二人目は、チケットを守らせることに気を使った。せっかくチケットを細かく区切っても、彼は「それ以上」をやろうとしてしまう。その頑張りというか、前向きな姿勢は素晴らしいのだけど、コーディング技術が追いついていない。結果、手戻り作業が増える。コーディングのダメ出しが増える。これじゃあ、彼のやる気を削ぐばかりになってしまう。やる気はあるので、もったいない。だから、チケット 1 つの粒度を小さくして、チケットに書いてあること以外をやらせない様にした。時々、チケット以外のコードも書いていたけれども、戻す様に言ったこともある。最初は大変だったけど、最後の方は一機能一コミットでバグの少ないコーディングになっていたので良かったと安堵した。

最初のチケット作成は、ほぼ付きっきり。以降、新しい機能追加のたびに簡単なミーティングで「やるべきこと」を洗い出して、チケット作成は任せる様に少しずつシフトさせた。

なお、毎朝のミーティングで「今日、どのチケットをやるか」の確認だけは日課にした。一日の作業見積りが分かり易くなったし、(緊急会議などで時間が取れないトラブルでもない限り) チケットが終わらない場合は、そこにトラブルの元が潜んでいることが自然と分かったので、悪くない日課だった。時間は二、三分で切り上げる程度。

UML 図

プログラム・ロジックが難しくなったら、UML のアクティビティ図を描いてもらった。描いた図を見て二人で協議。ああでもない、こうでもない。ここの変数は要らない。このチェックどうしよう。こんなアイデアどうだろう。ロジックが難しくなればなるほど、アクティビティ図を複数回描き直してもらった。

アクティビティ図における「一つのアクティビティ」が「一つのチケット」にほぼ対応した。

コードの流れ、チケットの作成 (粒度・取りかかる順番) などが明解になるので、時間をかける価値はあった。

ペア・プログラミング

最初はプログラミングの流れも分かっていないので、ペア・プログラミングをやってみた。

初日にやったこと: チケットのステータスを「担当」にして、コーディングを行ない、コミット・ログを日本語で書いて、実際にコミットする。TiDD の流れと SCM の使い方、そしてコミット・ログの書き方に重点を置いた。

Redmine では、コミットが行なわれると自動的にそのチケットのステータスを「解決」にしてくれる。そして、チケットのコメント欄にコミット・ログが表示される。ぼくは、このコミット・ログの書き方が一番大変だと思う。何故、このコミットを行なったのか? どういう変更を行なったのか? 簡素に、しかし必要な情報は省かずに書く例を見せた。

最初の何日かは大変だった。ログを修正してもらう。自分でログを書く。ログを書いてもらう。ペア・プログラミングで、その繰り返し。完璧ばかりを求めても時間とやる気がなくなるので、最初は好ましくないログでも、そのままコミットさせた。次第に文章は良くなって行く。

ペア・プログラミングは初日以外にも行なった。タイミングは、コーディングが大変そうな時。チケットを見て、先にこのチケットは大変そうだと分かる時もある。その時は、朝のうちにこのチケットはペア・プログラミングでやろう、と声をかけた。あと、ブラリとこちらから声をかけて無駄話をする。その時、コーディングで躓いてないかさり気なく聞く。苦戦している様なら、ペア・プログラミングをやろうともちかけた。相手側からペア・プログラミングを持ちかけられた記憶はほとんどない。自分から言ってみないとダメみたい。

ペア・プログラミングすると、コーディング・スタイルの悪い所も指摘できるし、バグの温床も取り除きやすい。こういうのって、コミットされた後のコードに対して指摘・バグ取りすると、お互い気まずいので、ペア・プログラミングの機会は重宝する。あと、自分のやり方も学んでもらえるのも良い。特に変数の命名方法なんかは、自分でコードを書きながら説明すると、相手の頭に入りやすかった様に思う。

ただ一言。ペア・プログラミングはすごく疲れる。相手が成長しているのを感じられるから面白いけれども、一日に何時間もやれるもんじゃないね。

まとめ

新人プログラマーを教える立場に立ってやったことをまとめると、「PDCA サイクルを回すこと」に尽きる。その手段に TiDD (Redmine) を使った。TiDD の補助に UML 図とペア・プログラミングを活用した。潤滑油はコミュニケーション。

批判

ぼくのやり方に対して批判もあった。ぼく自身のプログラミング時間が大幅に削れている。教育に時間を割き過ぎている。せっぱつまった状況で、悠長に教育しているのはナンセンス。実際、ぼくのプロジェクトは「せっぱつまった状況」で消えてしまう。

自分の時間が削られた分は残業で何とかするとして、ぼくは、教育は重要だと思った。世の中には、指示する前に仕事を見つけて動く人もいる。指示を受けて、十全にこなす人もいる。課題を与えられて、成長する人もいる。叱られて、伸びる人もいる。でも、そうじゃない人もいる。批判した人達は、大量の課題や叱責を与えて伸ばそうとしていたけれども、それがダメで彼らはぼくの許に来た。彼らは、ちゃんと時間をかけなければ育たないと思ったし、せっぱつまった状況だから戦力が増えるように育ってもらわないといけないと思った。

ほんの一か月ちょっとだったけれども、彼らが、ぼくと一緒に仕事をして良かったと思ってくれてることを願う。

関連エントリー

2012-04-09

必ず結果が出るブログ運営テクニック 100 (コグレマサト するぷ) を読んだ

必ず結果が出るブログ運営テクニック100 プロ・ブロガーが教える“俺メディア”の極意
コグレマサト するぷ

4844331779
インプレスジャパン 2012-03-23
Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2005 年頃にブームを迎えたブログ。ぼくもブームに乗ってブログを始めた一人。ただ、最近ブログの力が弱くなった様に感じる。理由は、ブログ・サービスが飽和したこと、メジャー・ブログの力が強くなりブログ間の貧富(?)の差が出たこと、そして Twitter, Facebook の台頭。このブログも、2005 年から 2007 年にかけて順調に PV を増やしていたけれども、それから 5 年間、月間 PV はほぼ横這い。4 万 PV/月 付近をウロウロしている。

そんな中、ブロガーに勇気をくれる本が出版された。Netafull のコグレさんと和洋風◎のするぷさん共著の一冊。「必ず結果が出るブログ運営テクニック 100」。全部で 100 のテクニックが載っている。お二人は Mac ユーザーで、Mac 系のアプリの紹介も多いが、Windows 系アプリの説明もほぼ等しくなされている。

本は大きく分けて、「記事を書く」「集客する」「マネタイズする」の三分野から構成される。より楽にネタを集め、より楽に記事を書き、より多く記事を出す。多くの人にブログ記事が目に入るように工夫する。アフィリエイトを利用して、お金を手に入れる。この三分野。「書かれていない事柄」にも触れておこう。本書には、「文章術」に関する記述はない。文章を上手く書きたい人は他に本を求める必要がある。文章術に関しては、それだけで一冊の本になる。小説や論文に関する文章術の本は多いが、ブロガー向けの文章術の本は見たことがない。コグレさんとするぷさんには、「ブログ運営」の第二弾として「ブログ文章術」の本も書いて欲しいところ。

さて、本書の内容。ブログを 7 年やっていれば、既に知っていることも多い。それでも、半分位いは知らないことだった。「ブログを書く」ことはよく分かっているつもりだったけれども、「ソーシャルメディアと連携して仲間を増やす」という意識は低かった。本書を読んで、まずは放置に近かった Facebook に力を入れるようにしてみた。

感銘を受けたテクニック

特に感銘を受けたのは、テクニック 10「記事の中で伝えたい要素は必ず 1 点だけに絞る」というもの。長すぎる記事は分割し、まとめ記事を用意しなさい、というテクニック。NTT R&Dフォーラムの記事で一応このテクニックを使ってはいるのだけれども、本書を読んで分割粒度をもっと小さくして良さそうだと思った。

あと、テクニック 1 「毎日ブログを更新するためのルールを決めよう」。1 日 1 本の記事を書く。最近できていないことなので、ガツンとやられた気分。毎日書いてると肩の力を抜いて書ける様になる、と。そういえば、近頃は記事を書くのに肩に力が入ってた様な気がする。軽めの記事でも良いから、毎日書ける様になりたい。

Emacs では...?

本書では、ブログの下書きを専用エディターで書くことを勧めている。それは Mac のエディター。一方、ぼくは Emacs が愛用のエディターになっている。ブログ用に少しカスタマイズもしている。ニッチな話題だけれども、Emacs エディターでブログ下書きを書く、という話題も面白そうだと思った。

エヴァ風、朝の風景

「起床!」

「エアコン及び赤外線ヒーター、オン」

「夕食用の出汁 (だし) 取りを最優先」

「IH コンロ、点火」

「朝昼兼用のご飯は?」

「味噌汁を電子レンジで温めに入りました」

「副菜は?」

「冷蔵庫、ほとんど空です」

「...トマトをいつもの倍、用意して‼」

「盛り付け皿も用意します」

「ご飯は... ないか。バゲットをオーブンに入れる準備」

「了解。味噌汁が温め終わったら、バゲット投入します」

バン!


「ブレーカー、落ちました」

「なんですって‼」

(完)

Facebook やってます

今や mixi を抜いて、日本最大の SNS ともなった Facebook。今まで各種ウェブ・サービスからの連携機能に注目してただけで、本腰を入れてなかった。長めの文章はブログに書くし、短い呟きは Twitter を使う。Facebook の対抗馬には Google+ がいて、そっちに目が行ってたというのもある。

でも、ちょっと Facebook を頑張ってみようかな? と思い始めた。

きっかけは二つ

一つはコグレさん・するぷさん共著の「必ず結果が出るブログ運営テクニック 100」を読んだこと。同書には、Twitter と並んで、Facebook の活用法が数多く書いてあった (感想は後で書く)。ブロガーとして、Facebook はもはや無視できないと観念した。

必ず結果が出るブログ運営テクニック100 プロ・ブロガーが教える“俺メディア”の極意

二つ目のきっかけは友達。Twitter より Facebook を好むという。その理由をこう述べる。

Twitter は文字ばかりで素気ない。写真が入って見た目きれいな Facebook の方が楽しい。

そんな友達は絵と触れ合う機会の多い仕事をしている。

なるほどと思った。

ぼくのブログはテキストがメインで、写真はアクセント。だから、テキスト・メインな Twitter は簡単に入って行けた。でも、逆な人も居るのね。絵や写真が身近な人達が。そして... だからかな? Facebook の楽しさが少し分かった様な気がする。

今まで Facebook のアカウントは持っていたけれども、ただ持ってただけに近かった。これからは、Facebook を楽しんでみようと思う。どうぞ、よろしく。

2012-04-08

MacBook を買って 5 年目

2012-04-08 (日) をもって、MacBook 購入 5 年目となる。この一年を振り返ってみたい。

その前に、購入 4 年目のエントリー。

メモリー増設、外付け HDD、バッテリー交換等々、一昨年は大変な一年だった。

この一年を振り返って

一昨年に行なった延命措置の甲斐があって、特に新たな延命作業は行なわなかった (他にやれることがない、とも言う)。それでも、ちょっとしたお出掛けには持ち運んだし、iPhone/iPad の母艦としては大活躍だったかな。使い方としても、Emacs で文章を書くのがメインだったから、スペック的な不満を抱くことはなかった。わりかしと、良い感じに活躍してくれた。

悪いニュースは、ぼくの外で二つ。

一つは Apple のノート PC のラインナップから MacBook が消えたこと。ノート PC は MacBook Air と MacBook Pro の 2 ラインナップになった。MacBook ユーザーとしては、少し悲しい出来事だった。

もう一つは、ぼくの使っている MacBook がどうやら次期 OS X Mountain Lion でサポートされないらしい、というニュース。Mountain Lion が使えないのは困らないけれども、iTunes は Lion をサポートし続けてくれるのかな? iTunes のサポートが打ち切られると、iPhone/iPad との連携が悪くなるので買い替えを迫られる。まだ、もう少し MacBook を使い続けたいなぁ。

あとがき

去年は、せめて 5 年目まで持たせる なんて書いてたけど、意外と頑張ってくれた。OS と iTunes 回りがボトルネックにならない限り、まだまだ使える。MacBook よ、一緒に頑張ろうね。

2012-04-02

オーディオ・オフ会 みーさん邸訪問

2012-04-01 (日)。みーさん邸を訪問した。

先週、初の自宅オフ会を行なった。以来、オーディオを触るのが怖くなった。音楽が楽しくなくなった。どの CD をかけても心が動かない。本を読む気力も、ブログを書く気力も失せてしまった。そんな中、みーさんと連絡を取ったのが 3/31 (土)。こっちが引くほどの熱列なラブコールを受けた。明日 (つまり 4/1)、会いたいという。

無理は承知の上で すぐでも会いたいです

こういう言葉にぼくは弱い。また、「心身ボロボロ、しかし、敢えて虎穴に入る」がぼくの信条。ここまで誘われて、断るのはぼくの信条に反する。逡巡一瞬、「参ります」と返事を出した。

みーさんと会う

最寄駅の改札で待ち合わせ。現れたのは還暦を過ぎた初老の男性。ハキハキと話しかけてくれながらも、ぼくのペースに合わせて下さる (ぼくは人見知りなので、初めての人の前だと口調がゆっくりになるタイプ)。細かい気遣いを感じながら、スーパーへ。買い物をした後、バスに乗ってみーさん邸に向け出発。

みーさん宅に入ると、奥さんから「いらっしゃいませ」の声。ちょっと感動。オーディオに傾き過ぎちゃってると、「これはオーディオ仲間の集まりです」って周りを寄せつけない空気になっちゃうところがあるのだけれども、みーさん宅ではそういう空気がない。良い夫婦関係だなぁ。

オーディオ・ルームに通されて、みーさんお勧めの CD を視聴。みーさんのオーディオ・システムは、座椅子 (の様なもの) に座って聴く。床上聴きタイプ。途中、みーさんが中座してコーヒーを持って来て下さった。綺麗なコーヒー・カップに、少し砂糖の入ったコーヒー。美味しい。将棋の駒置きの様な小さなテーブルがちょこんと。これがコーヒー・テーブル。ちょうどコーヒー・カップのお皿がピッタリ乗るサイズ。場所を取らずに、音楽を楽しめる。スタイリッシュ!

昼食抜きだったので、音楽鑑賞を中断。途中で買ったラーメンを頂く。テーブルはオーディオ・ボードを工作したもの。なかなか得がたい経験をする。

ラーメン

半熟玉子がいと美味しゅうございました。

再びオーディオ・ルームに戻って音楽鑑賞。持参した CD を全てかけて、みーさんの CD ライブラリーからまた音楽を聴き、気がついたら午後 6 時。もっとお話ししたかったけれど、名残惜しく、みーさん邸を後にした。

みーさんのオーディオ・システム

みーさんのオーディオ・システムは以下の通り:

Audio Machina Pure System Mk2

リスニング・ルームはオーディオ専用。縦 2.4m、横 4.5m の 7.4 帖。部屋の長辺側にスピーカーを配置。うちの部屋より少し広い位いだけれども、布団・PC・机・衣裳ボックスそして 6 つの棚のない環境は、よりオーディオ向け。

種々の電源ケーブルに、Synergistic Research の高級インターコネクト・ケーブル及びスピーカー・ケーブル。ラックは特注で作らせたという無垢アルミ製。スピーカーやパワー・アンプの下には、無垢アルミ (飛行機に使うジュラルミン製) と真鍮のハイブリッドな固まり。これはオーディオ・ボードと呼んで良いのかどうか分からないほどにガッシリとしている。

Audio Machina の足元

オーディオの話と音楽を聴く

音楽をかける。プリ・アンプのボリュームは約 10 時。ぼくの部屋で鳴らす最大ボリュームよりも大きな音が飛び出してきた。驚愕。慣れない音量に戸惑う。一曲、二曲聞くと慣れてきた。

みーさんのオーディオは、演奏者がステージにいるとしたら、第一列目で聴く様なサウンド。広がりもあって、奥行きも深い。ボーカルの生々しさ、サックスの色っぽさが圧倒的。ピアノは低音から高音までソツなく鳴らされ、特に高音域の音の鋭さはスッと心に入って来る。ステージ目の前な表現のため、ホール・トーンの様な残響感はあまり感じられない。ただし、残響感が皆無ということはなくて、ヴァイオリンやピアノ、そしてボーカルのフッと消えゆく余韻は出色。これはステージ前でないと味わえない音だと思った。

この様な感想をみーさんに伝えると、狙ってやっているのではないと言う。スピーカーに惚れて、セッティングを重ねて行った結果が、現状なのだとか。

みーさんはオーディオの土台に「低音」を置いている。低音をしっかりと鳴らしてあげれば、大低の音楽は良く聞こえると。そういう意味では、みーさんの持つ Audio Machina The PURE System は良く出来ている。The PURE System は 2 ウェイ・システム。中高音を担当する「モニター部」と低音を担当する「サブウーファー部」に分かれている。そしてサブウーファーを鳴らすパワーアンプは、スピーカー内蔵。一般に低音用のスピーカー・ユニットほど動かすのが大変。よりパワーのあるパワーアンプを要求する。The PURE System は、最適のパワーアンプが最初から入っている。だから、ALLION のパワーアンプが鳴らしているのは、「モニター部」のスピーカー・ユニットだけ。高価なパワーアンプを要求しない。上手く出来ている。

セッティングについても伺った。最初、スピーカーは壁際に置いてあった。音がスピーカーに張り付いた様であったという。壁からスピーカーを離すと改善。現在、スピーカーは壁から 72cm 離している。スピーカーの台の間の距離は 173.5cm。ほぼ 1cm 単位でのセッティング。これ以上広げすぎるとスピーカーの間の音が希薄になるし、狭くするとまたよくない。スピーカーの振り角をつけると、音場感が悪くなる。試行錯誤を繰り返しての、スピーカー・セッティングなのだという。

みーさんのオーディオ・システムに、経験によって裏付けられた割り切りと揺るぎなさを感じた。CD プレーヤーは進化が速いので高級機は狙わない (定期的に買い替え前提)。プリ・アンプには 40 年に渡って信用を置いている Accuphase を利用。スピーカーは、低音に力があるのが第一条件。その上でみーさんの心を震わせた Audio Machina を選択。パワー・アンプには Audio Machina の特性を十分理解して、「モニター部」を鳴らすのに十分なだけのパワー・アンプに留める。インターコネクト/スピーカー・ケーブル類は Synergistic Research を採用するも、「お金があれば全て最高級ケーブルにするか?」という問いには「否」。例えば「○○を最高級ケーブルに変えたら、自分には柔らかくなり過ぎた」との答え。経験に裏打ちされたケーブルの組み合わせに舌を巻く。ケーブルは絨毯に付かないよう全て浮かす、というのも経験からくる工夫。もちろん、低音を活かす努力も怠らない。その最たるものが、巨大な無垢アルミを使ったスピーカー・ボード (?) になる。

オーディオ機器の話はこれ位いにして、「音」の話もしませう。

Hunter

Jennifer Warnes のアルバム「Hunter」から「Lights Of Lousianne」。冒頭のアコーディオンの響きは哀愁ただよい、続くギターの爪弾きは目に見えるよう。Warnes のボーカルも少し奥に立って歌っている情景が浮かぶ。曲の途中に入る小鳥の鳴き声が明瞭に聞こえ、ルイジアナの空を見る。

同アルバムから「Way Down Deep」。曲の頭に入る打楽器のドンッが凄い。低音が部屋全体を支配して、それだけでは足らずに低音が床から天丼へと伸びてゆく。部屋のキャパシティーを越えた低音が出ているのだと思うのだけれども、驚くべきはその低音の処理。普通なら、こんな低音はボーカルの音とかぶってしまう。それが、みーさんのシステムだと、Warnes のボーカルはかぶることもにごることもなく、リスナーの耳へと届いてくる。

SACD のサンプル・アルバムから、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(ペトルーシュカだったかな?)。部屋全体が震えた。それでいて、各楽器の音が一つ一つ良く聞こえる。音楽としても破綻しない。痺れる。オーケストラの目の前で聴く様な迫力が目の前にあった。

Sehnsucht

ドイツのメタル・バンド Rammstein のアルバム「Sehnsucht」から「Engel」。この曲は最初口笛で始まり、ベースが導入をした後、本格的な音楽が始まる。一つステージを進むごとに音量が上がる。で、最初、口笛に合わせてボリュームを設定してしまった。バンド全体が楽曲を演奏し始めたら、その音量の大きさにみーさんがびっくりして、流石にボリュームを絞った。それは笑い話として、音数の多く、低音の強いこの曲で、シンバルの音がちゃんと輪郭を持って再生されていて気持ち良かった。

この他にも、10 枚以上聞いたかな。演歌「津軽海峡冬景色」は低音のほとんど入っていない録音だったけれども、こぶしの入った演歌節がよく歌われて、低音が入っていなくても問題ないオーディオ・システムだと思えた。グールドの弾くバッハのフランス組曲は、オーディオ談義中に BGM がわりにかけたのだけど、話の途中に「何だこの素晴らしいメロディーは?」と集中力を持っていかれた。グレゴリオ聖歌は、あまりに美し過ぎてみーさん、ちょっと寝てた。

あとがき

家に帰ってから、みーさんと同じ位いまでボリュームを上げようとしてみた。低音がみーさんほどに引き締まっていないのを実感した。そしてボリュームを上げきる前に勇気が挫けた。無理。うちの部屋では、近所迷惑になってあれほどの音量は出せない。みーさんの環境にちょっと嫉妬した。