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2011-06-21

オーディオ・オフ会 黒川邸訪問

Phile-web コミュニティで有名な黒川さんのお宅にお邪魔してきた。3 時間たっぷりと音楽をきかせてもらったので、感想を書く。

黒川さんのメイン・システム

黒川さんは 3 つのオーディオ・システムを所有している。その詳細は自身のブログで公開なさっているが、自分用のメモに本エントリーにもメイン・システムの構成をコピーしておく。

  • LP プレーヤー
    • プレーヤー: AMAZON SYSTEM AMAZON 2
    • トーンアーム: Mørch UP-4
    • カートリッジ: BENZ MICRO GLIDER SL
    • フォノイコライザー: EINSTEIN The Little Big Phono
  • CD プレーヤー
    • CD プレーヤー: LINN IKEMI (アイケミ)
    • DAC: Wadia Digital DM-X32
  • アンプ & スピーカー
    • プリ・アンプ: CELLO ENCORE 1MΩ
    • パワー・アンプ: CELLO ENCORE POWER MONO x2
    • スピーカー: PENAUDIO CHARISMA+CHARA COMPLETE SYSTEM
    • スーパー・ツィーター: TAKET TAKET-BATPURE C set

なお、セカンド・システムは PC 用、サード・システムは DVD 鑑賞用という風に使い分けておられる様子。ぼくは一つのオーディオ・システムで全部をやろうとしてしまうので、こういう割り切り方にはアッと思わされた。目的を明確にしているから、コスト・パフォーマンスが高い。音楽を楽しむことに達感されているんでせう。

黒川さんとの出会い

黒川さんを知ったのは Primare が切っ掛けだった。

2008 年 1 月。ぼくは Primare I30 というアンプを買った。その時、ネットで Primare のアンプについて検索した。ところが、Primare はスウェーデンのアンプで、あまり日本では有名でないらしい。ブログで記事を書いている人がほとんどいなかった。

そんな中、とても丁寧に Primare I21 (I30 の一つ下の機種) の記事を書いている方がいらっしゃった。それが黒川さんだった (現在、Primare I21 は手離されたようだけれども)。

この方とは、オーディオの方向性が合うんじゃないかしらん。そう思って、以来、ずっとブログを購読していた。

その後、Twitter などでお話しする機会を得て、黒川邸訪問と相成った。

メイン・システムの音

黒川さんのメイン・システムで一番気になっていたのがスピーカー Penaudio Charisma + Chara。というのも、ぼくは北欧系のメーカーが好き。そして Penaudio はフィンランドのスピーカー・メーカー。気になってしょうがない。一度、友達が Charisma だけ試聴のため借りたことがあったけれども、その時も押しかけて聞いたほど。

ここで脱線するけれども、Charisma + Chara について少し紹介しておく。Charisma はブックシェルフ型スピーカーで 50 万円程。交響曲をかけると、オーケストラがスピーカーの後ろ側に展開する様に聞こえる。加えて、楽器の位置がピタリと定まる。音のキレもある。オーディオ的に言えば、音場表現が豊かで、後ろ側に自然に展開し、音像定位が素晴らしく、スピードが速い。欠点を挙げれば低音が強くないこと (ブックシェルフ型の宿命かな...)。

そこで Chara が登場する。Chara は Charisma とくっついて、ブックシェルフ型の Charisma をトールボーイ型へと進化させる。Chara は Charisma のスピーカー・スタンドとなると同時に、片側面にウーファーを持っていて Charisma に足りない低音を補う役目を果たす。Chara の値段も 50 万円程度。Charisma + Chara で 100 万弱のスピーカー・システムになる。

黒川邸 Penaudio とラック

写真は、Penaudio の Charisma + Chara の左スピーカーを撮影したもの。側面に見える灰色部分がウーファー。

閑話休題。

黒川さんのメイン・システムで音楽を聞く。まずは黒川さん選曲から一枚。エンリコ・オノフリの「驚愕のバロック・ヴァイオリン」からヴァイオリン編曲されたバッハの「トッカータとフーガ 二短調」。

エンリコ・オノフリ~驚愕のバロック・ヴァイオリン

CD は DAC を通さず、直接 CD プレーヤーから再生する。CD をトレイに置くときに黒川さん曰く、「低音がボワついているんですよ」。そして音楽がかかる。

Charisma 単体で聞いた時の印象は全く損われていない。素晴らしい音場表現。素晴らしい音像定位。友人宅で聞いた時よりも、元気に聞こえる。これは、アンプと電源が良いからでせう。そして、SN が非常に高い。小さな音が非常にクリアに聞こえる (あとで 1950 年録音 [モノラル] のピアノ曲を聞かせてもらったが、とてもピアノの音が澄んでいてウットリした)。

黒川さん懸念の低音。Charisma 単体で聞いた時よりも低音が出ていて楽しい。ただ、黒川さんがおっしゃる通り、少し低音に締まりがない。あとで聞かせてもらったオーケストラ曲では、特にチェロの低音で音階がちゃんと表現されていなかった。

黒川さんは続けて、CD プレーヤーとプリ・アンプの間に Wadia の DAC をかませた。すると、グッと低音がキビキビした音になった。これはイイ。ところが黒川さんによると、「DAC を入れると低音が締まる。だから、ロック系の音楽には DAC を使う。けれど、弦楽器などの艶やかさが失われる。だからクラシック音楽には DAC を入れない。ところが、DAC を入れると逆に低音がふくらんでしまう CD もある」という。オーディオって難しい。

そして黒川さんがもう一枚クラシックの CD をかけた。「これが難しくってね」。そう言って流れてきたのは、ソプラノとパイプ・オルガンだけのクラシック曲。ソプラノの艶を優先すると DAC は入れたくないけれど、パイプ・オルガンの深い低音が動き回ると DAC を入れたくなる。

低音の扱いを DAC の有無でフォローする技を見せつけた上で、「難しい」という曲をかけるあたりに、黒川さんの誠実さを見た。

持参した CD

メモ代わりに、黒川邸でかけさせてもらった CD を載せておく。

Sym 1 & 2 / Coriolan Overture Never Can Say Goodbye Beethoven's Last Night エリザベート ― オリジナル・ウィーン・キャスト The DARK KNIGHT

かけた曲は (左から)、ベートーヴェンのコリオラン序曲。マイケル・ジャクソンの Bad のピアノ・トリオ・カヴァー。トランス・シベリアン・オーケストラの「Beethoven's Last Night」から Mephistopheles' Return。オーストリア・ミュージカル「エリザベート」から Die fröhliche Apokalypse。あと一枚。バッハのパルティータ全曲をギーゼキングが演奏した CD も持参したが、これは現在廃盤の模様。

あとがき

憧れの一つだった Penaudio の Charisma + Chara が「本気(?)」で鳴っている音を聞くことができた。嬉しくてしょうがない。黒川さんのメイン・システムはもう一つの完成をみている様に感じた。更に手を入れるとしたら、大きな家へ引っ越すくらいしかないんじゃないかしらん。それ位い練り上げられているオーディオ・システムだった。

蛇足: 他の人の訪問記

黒川さんは、ぼくなんかと違って多くの人の訪問を受けている。少し検索するだけで、その訪問記が現れる。ぼくの言葉足らずな面を補完してくれると思うので、訪問順に記事を並べておく。なお、日付は訪問日ではなくブログのエントリーが投稿された日付を記した。

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