2011-11-24

オーディオ・ショップ「Living Music」を訪ねた

千代田区 (最寄駅・御茶ノ水) にあるオーディオ・ショップ Living Music を訪ねた。17:00〜18:30 まで一時間半、楽しい時間を過ごさせてもらった。

Living Music には 3 つの顔がある。一つはオーディオ・ショップの顔。もう一つはオーディオ機器のチューニング。最後の 1 つはスピーカー・メーカーの顔。

オーディオ・ショップ Living Music

Living Music は個人でやっているオーディオ・ショップ。お店のコンセプトは、十万円台で音楽を楽しめる機器をセレクトすることらしい。ただ、今回お邪魔した感じでは、50 万円位いまでの商品までなら扱っていそう。いずれにせよ、「高くない」オーディオ・コンポの提案をしてくれる店があるというのは嬉しい。現状、ミニコンポを売る家電量販店と、百万円クラスのコンポを売る (敷居の高い) オーディオ専門店の差が広すぎる。その間を埋めるお店が一つでも増えることは、オーディオ好きを増やす意味で有意義だと思う。

お店は、11:00-19:00 まで営業。定休日は水曜日。試聴には、予約制を導入している (これはお店が狭いので、試聴者のブッキングを避けるためと思われる。なので、事前の予約者さえいなければ直前に予約の電話を入れても大丈夫ではないかと思う)。せっかく行くなら、試聴機のリクエストをしておくと良い。自分の CD や LP も持参 OK。良く聞く曲を持って行のが良いでせう。

個人ショップの常として、小さな店舗に多くの商品を置けないデメリットがある。Living Music の店長は、CEC の音作りに共感する所が多いらしく CEC のほとんどの機種を常設展示しているそうな。CEC は日本のオーディオ・メーカーで CD プレーヤーからアンプまで幅広くオーディオ機器を作っている (スピーカーはないけどね)。ぼくの初購入 CD プレーヤーも CEC。

ミューズハート・チューニング

ミューズハート・チューニングは、Living Music 独自のオーディオ機器チューニング・サービス:

機器の制振材として、ほとんどのメーカーが音を汚す石油化学系の合成ゴム材やアルミ削り出し材や人造大理石等を使用しており、これが限り無く、本来の音楽信号がスムーズにながれるべきところを阻害しております。90%近くのメーカーが、このことを認識しておりません。

そこで、ミューズハート・チューニングでは、まず既成の製品から、これら音を汚している制振素材を排除する作業から始まります。 また、ミューズハート・チューニングは、製品に電気的変更を一切加えることなく、匡体と基板の響きのみをアコースティックに制御し、音楽信号そのものをストレートに流す機器にチューニングします。具体的には、メインに強力な製振材であるfo.Q製品を使用し、その他、音を汚さない天然素材を適材適所に使用し、さらに電気信号の導通をアップさせる「ミュージック・ファウンティン」を使用し、音楽そのものを再生する機器に仕上げます。

MHTサービスを開始いたしました より引用

システム全体に対するチューニングで 4 万円。新しくコンポを買うよりかく安価かな。ただし、効果のほどをぼくは保証できない。やったことないから。まあ、必ず音は変わる。極端な話、何をやってもオーディオの音は変わるから。問題なのは、それが自分の好みの変化になるかどうか。こればっかしは分からない。

Living Music のウェブページには、このミューズハート・チューニングに関するチューニング記が (現在) 9 つ載っている。興味のある方はどうぞ。

Living Music - 音咲か爺さん奮闘記

スピーカー・メーカー

Living Music はスピーカーも作っている。スピーカーのブランド名は MUSEHEART。製作は六本木工学研究所。音のチューニングに Living Music 代表の広瀬さんと元プロ指揮者の生田榮氏が関わっている。

一番安いモデルはペアで 65,600 円。フラッグシップ機はペアで 231,000 円。いずれもブックシェルフ型。

音作りの大枠を聞かせてもらった。スピーカー作りの基本はおざなりにせず、独自のチューニング法を取り入れる。具体的には、箱鳴りを抑える造り。ただし、箱の鳴りは少し残す。吸音材は入れる。スピーカー・ユニットはユニット・メーカーのものを利用。ここまではよくあるスピーカー作り。ミソはミューズハート・チューニングで培ったノウハウを投入すること。そして、自分達の耳で最終的な音のチェックをすること。

これが良いスピーカーかどうか? 試聴してきたのでレビューを書く。

試聴

以下のシステムで試聴させてもらった。

Living Music

  • CD プレーヤー: CEC TL51XR (トランスポートとして利用)
  • DAC: CEC DA53
  • アンプ: CEC AMP53
  • スピーカー: MUSEHEART S-10MC

スピーカー・スタンドはfo.Q SP-58。ケーブルはイソダ・ケーブル。CD プレーヤー、DAC、アンプ、スピーカー・スタンド、ケーブルには全てミューズハート・チューニングを適用。アクセサリー抜きで 50〜60 万円のオーディオ・システム。

試聴ディスクは 2 枚。1 枚目はモーツァルトの「レクイエム」から「怒りの日」と「奇しきラッパの響き」(ノリントン指揮・ドゥルース版)。2 枚目はマイケル・ジャクソンの「ヒストリー」1枚目から「ビリー・ジーン」。

2 枚を聴いての共通する感想。高域・中域が力強い。スピード感がある (フルレンジ・スピーカーの様)。音離れが良い。音色は素直。色付けが少ない。音場が左右に広い。奥行きはあまりない。低域は膨らまない、かわりに量感は物足りない。低音がスピーカー・スタンドの下に落ちて来る様な印象があった。これはスピーカー・スタンドとのマッチングが良いと思っていいのかな。

レクイエムを聴くと、スピーカーの間にオーケストラが広がる (写真を見ての通り、スピーカーの外はすぐ壁なのでそれ以上音は広がらなかった)。本来、オーケストラの後ろにコーラス隊がいるのだけれども、前後感をクッキリ描き出すことはなかった。中高域に力があるので、メロディー・ラインが良く聴こえて楽しい。

ソナス・ファベールが持つ様な弦の艶やかさはない。同様に、他のスピーカーが持つ個性も感じない。色付けの小さなオーディオ・システムだと思った。soulnote のスピーカーに似ている。

ビリー・ジーンはドッッパッ、ドッッパッっと低音から入る。この低音がどう鳴るか。低音は解像度高く表現されている。しかし、いかんせん量感が物足りない。これはブックシェルフ型共通の悩みかもしれない。ただ、同じブックシェルフでも QUAD 11L や sonus faber Minima Vintage はピアノの低音が響くスピーカーだった。このシステムには QUAD や Minima の様な可能性を感じない。その代わり、クラシックでもポップスでも、何でも鳴らして楽しいシステムに仕上がっている。

音場の奥行きの小ささは CEC TL51XR が原因ではないかと思う。というのも、過去に 10 万円代の CD プレーヤーを比較検討した時に感じたのと同じ印象だったから。

今回の試聴コンポーネントは全てミューズハート・チューニングを受けている。そして、ぼくはミューズハート・チューニングがどういう変化を引き起こすか耳で聞いたことがない。だから、スピーカーが良いのか、アンプ等のミューズハート・チューニングの効果が高いのか区別が出来なかった。

オーディオ・システム全体を聞けば、低域をガンガン鳴らせない家庭で音楽を楽しく聴くには、選択肢の上位に喰い込む仕上がりになっていると感じた。

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